キングオブキングな俺様のヒーローアカデミア   作:松田ゐふ

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第54話

 合宿三日目

 

 今日も俺様は土塊の魔獣を破壊していた。

 ただし昨日とは少し違い“王の瞳”を常時発動して戦闘をしている。

 俺様の“王の瞳”は発動すると周りがサーモグラフィーのように見え、建物などが視認できなくなる欠点があった。

 弱点がないのが弱点と言われ悩んでいたが、この合宿中に自身を見つめなおし、弱点を見つけ克服すればいい。

 

「ピクシーボブ!魔獣の数を増やせ!」

 

「OK!生意気なキティにお仕置してあげる!」

 

 ピクシーボブの【個性】で土の壁が適当に設置されたこの場で、休む間もなく迫る魔獣と戦い“王の瞳”を伸ばす。

 

「グッ!?」

 

 ピクシーボブの【個性】はこの特訓にとても有用だった。

 俺様の“王の瞳”は個性因子を見ることができるが、八百万やピクシーボブのように【個性】で作った物等は対象外で、発動中は全く見えないのだ。

 だからこそこの特訓で“王の瞳”を伸ばすことが出来れば、更に強くなることができる。

 俺様は壁にぶつかり、魔獣の攻撃を受けながらも昨日と同じく休憩を挟むことなく戦い続けた。

 

「そういえば相澤先生、もう三日目ですが.今回オールマイト……あ、いや他の先生方は来ないんですか?」

 

 俺様が魔獣と戦いっていると、プッシーキャッツの一人、虎の我ーズブートキャンプで体を鍛えていた緑谷が、相澤に質問していた。

 

「合宿前にも言った通り敵に動向を悟られぬよう人員は必要最低限」

 

「よってあちしらの4人の合宿先ね」

 

「……そして特にオールマイトは、敵側の目的の一つと推測されている以上来て貰うわけにはいかん。良くも悪くも目立つからこうなるんだあの人は.」

 

 本来なら別の合宿先があったのだが、夏休み前に緑谷が敵連合の死柄木と接触したことで、ここに変更した経緯がある。

 それによってオールマイトは当然、他の教員も大勢で動けば敵に感ずかれル可能性が上がるため、今回の形に収まったようだ。

 

「ねこねこねこ……それより皆!今日の晩はねぇ……クラス対抗肝試しを決行するよ!」

 

 俺様の特訓に付きっきりになっていたピクシーボブが、手を止め皆に夜の予定を教える。

 ……なんだその笑い方と言いたいが、緑谷のようにアイアンクローを喰らいたくないので黙っておく。

 

「しっかり訓練した後は、しっかり楽しいことがある!ザ・アメとムチ!」

 

「あぁ……忘れてた!」

 

「怖いのマジやだぁ……」

 

「闇の狂宴……」

 

「イベントらしい事もやってくれるんだ」

 

「対抗ってところが気に入った」

 

 肝試しと聞き皆の反応は様々だった。

 

 合宿がハード過ぎて忘れていた者。

 ホラーが苦手な者。

 謎にソワソワしている者。

 以外に思う者。

 対抗という言葉に反応する者。

 

 俺様はホラー耐性はある方だが、小学生の頃に親父がイタズラで俺様を脅かしたのだが、反射で燃やしてしまったのでびっくり系はあまり挑戦したくないのが本音だ。

 

「というわけで今は全力で励むのだぁ!!!」

 

「イエッサァ!!!」

 

 肝試しという飴をチラつかせ、皆のやる気が上がり特訓のキレが増す。

 俺様も再び“王の瞳”発動して特訓を再開する。

 


 

 夕方になり夕食の時間。

 今日は肉じゃがを作るらしい。

 俺様は慣れた手つきで野菜を切り分けていると後ろから耳郎が声をかけてくる。

 

「爆豪もそうだけどアンタも料理できるんだね」

 

「当たり前だ。フレンチのコース料理だって作れるぞ」

 

 実家にいた頃から母さんの手伝いで料理をしていたので、俺様の料理スキルは中々のものだと自負している。

 

「多才だね」

 

「ありとあらゆる状況を想定して己を高めてきたからな、ゲームや絵画、ダンスや音楽だってやってきたさ」

 

「ふーん……じゃあ楽器弾ける?」

 

「ギターからバイオリン、ピアノからビブラスラップまで一通り弾けるぞ、クオリティに関してはお前の方が上だとは思うがな」

 

 俺様が音楽の経験があると知ると、耳郎は急に元気になり顔を近づけてくる。

 

「マジで!?今度セッションしてみない?」

 

「同好の士を見つけて嬉しいのはわかるが距離感を考えろ」

 

「あ、ごめん」

 

「別に良い……俺様もお前がどれ程の腕前なのか気になっていた、都合のいい日に共に演奏しよう」

 

「OK!」

 

 耳郎は上機嫌で俺様を後にし割り振られた係の仕事に戻っていく。

 

「ん」

(楽しそうだね)

「……急に出てくるな、びっくりするだろう」

 

「ん」

(セッションできて良かったね)

「なんだか圧が強くないか」

 

「ん」

(気のせいだよ)

「……俺様は鈍感じゃないぞ」

 

 耳郎と楽しげに話していたからか、少し不機嫌になった唯が俺様に圧をかける。

 俺様は唯の手を取り胸元に引き寄せる。

 

「俺様が唯以外の誰かに惚れるわけがないだろう」

 

「ん」

 

「俺様が何年お前を想い続けていると思っている」

 

 唯の頭を撫でながら俺様の思いを伝える。

 雰囲気から唯の機嫌が戻ったことを察すると手を離す。

 

「ん」

(ごめんね)

「なぜ謝る」

 

「ん」

(今の私、重かったかなって)

「構わん、俺様が惚れた女性だ。重いくらいでちょうどいいさ」

 

「もう付き合っちゃえよ!!」

 

「峰田!?急にどうした!?」

 

 後方で峰田が叫んでいるが、何かあったのだろうか?

 俺様は唯と別れ肉じゃが作りに戻るのだった。

 


 

「腹もふくれた皿も洗った!お次は……」

 

「肝を試す時間だ!!」

 

 ずっと楽しみにしていた芦戸が盛り上がっている。

 ……その横で物間がブラドキングに補習に連れて行かれているが気にしないことにする。

 

「じゃあルール説明するよ!」

 

「脅かす側はまずB組から、A組は二人一組で3分おきに出発。ルートの真ん中に名前の書いたお札があるからそれを持って帰ること!」

 

「闇の狂宴」

 

 昼間から謎のテンションな常闇が、ルール説明を聞きまた呟いた。

 

「脅かす側は直接接触禁止で【個性】を使った脅かしネタを披露してくるよ」

 

「創意工夫でより多くの人数を失禁させたクラスが勝者だ」

 

 なんでそうなる。

 途中まではいい感じだったのに、勝敗の決め方に問題がありすぎる。

 普通に驚いた数を集計するか、驚いた時の声の大きさで優劣をつけるとか、色々あっただろう。

 

「なるほど!競争させることでアイデアを推敲させその結果、【個性】に更なる幅が生まれるというワケか!さすが雄英!!

 

 飯田、多分そこまで考えてないと思うぞ。

 昨日の夕飯の時も思ったが、深読みしすぎじゃないか?

 

「二人一組……あれ?21人でペアを作るから……」

 

「一人余る……!」

 

 色々あったがクジを引いた結果、緑谷が余ってしまう。

 俺様は芦戸とペアで6番だった。

 

「鳳とペアか!なんか新鮮!」

 

「俺様も同じだ。まぁ何かあったら守ってやる」

 

「鳳、そういうこと誰にでも言うの?」

 

「別におかしなことを言ってないだろう」

 

「素でこれかぁ」

 

 芦戸は首を振り呆れた様子でため息をつく。

 俺様はなぜ呆れられているのか理解できず首を傾げる。

 

「準備はいい!?クラス対抗肝試しスタート!!」

 

 ピクシーボブの合図で肝試しが始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

悪意はすぐそこまで近づいていた。

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