雄英高校の入学式当日、俺様たちヒーロー科A組は担任の相澤から、個性把握テストの最下位が除籍という最初の苦難を与えられた。
クラスメイトは突然の除籍宣言に戸惑っていたが、俺様は逆に盛り上がっていた。何故ならば、王である俺様の力をこんなにも早く見せつけることが出来るからだ。
「それと鳳、あれだけ大層な演説したんだお前はその心構えができていると捉えていいんだな?」
「はなからそのつもりだ」
「そうか……ならお前は、総合成績1位じゃなかったら除籍だからな」
「えっ!?」
「先生それはひどいですよ!」
クラスメイトが抗議するが、相澤は有無を言わさぬオーラを放っている。
「構わぬ、俺様は王になる男だ。この程度の苦難など造作もない」
相澤が俺様に新たな苦難を与えたが、その程度で狼狽える俺様ではない。確かに1種目だけなら俺様に勝てる奴はチラホラいるが、全種目で勝てる奴など存在しない。
「では始めようか。王の力を見るがいい」
《50m走》
入試の眼鏡……
「3.04秒」
「50mじゃ3速が限界か……鳳くん、君には悪いがぼ、俺も本気だ」
「それでいい、本気を出してくれなければこちらも面白くないからな。まぁ見ていろ俺様の実力をな」
飯田は申し訳なさそうに俺様に声をかけるが、どうでもいい。この程度の苦難で終わるならとっくの昔に俺様は終わっている。むしろ乗り越える壁が高ければそれだけ達成感も凄まじいだろう。
「鳳、最後はお前だ」
「あぁ」
相澤に呼ばれ、準備を始める。両腕の袖と両足の裾をまくる。こうしないと【個性】によって体操服が燃えてしまう。靴や靴下、下着等は俺様専用のオーダーメイドで、変化に合わせて体と一体化し燃えることはないが、いきなり下着姿になる王などありえないからな。
『START』
計測用のロボが合図を出すと同時に、四肢を変化させる。変化した足で地面を蹴り体を浮かせ、炎で推進力を強化し50mを一瞬でゴールする。
「1.25秒」
「速さを競う競技で俺が負けるとは」
「これが100mならまた話しは変わってくるだろう、そう気を落とすな」
項垂れる飯田を背に、次の種目に移る。
《握力》
ソフトボール投げと同じで変化した足で計測する。
「200キロか」
俺様は自分の記録を確認していると、隣から驚きの声が上がる。どうやら大柄な男子……
「540キロってマジか!?」
「ゴリラか!タコか!」
「……タコってエロいよな」
障子は腕についた触手のような器官から腕を複製し計測したようだ。
ぶどう頭の男子……
「すまない、お前も除籍がかかっているのに」
「気にする必要は無い。この程度で俺様の1位が揺らぐことはないからな」
「それならいいが……お互い頑張ろう」
「あぁ」
《立ち幅跳び》
「鳳、それいつまで保てる」
相澤が上空にいる俺様に声をかける。この種目なら俺様の【個性】が大いに役立つ。両腕を変化させ飛ぶだけでいいのだからな。
「いつまでもだ。眠ったままでも維持できるぞ」
「なら、記録は∞だ。降りてこい」
「∞ってなんだよッ!?」
「やっべぇ……」
「……クソが」
地面に着地した俺様は、唖然とするクラスメイトの間を通り抜け、悔しそうにこちらを睨みつける爆豪を一瞥し、余裕の笑みを浮かべた。
《反復横跳び》
これに関しては変化した足で普通に計測した。
「120か、まぁまぁだな」
「オイラが輝くとき!」
俺様の後に測った峰田は頭のボールを上手く使い、俺様の記録を超えていた。
《ソフトボール投げ》
俺様は、先程のデモンストレーションで測ったため皆が終わるまで待機している。
クラスメイトは【個性】を創意工夫し記録を伸ばしていく。
「セイ」
麗らか女子……
「記録∞」
「∞だ!また∞が出たぞ!」
「……」
俺様に続き∞が出たことでクラスメイトは沸き立つが、緑谷の顔色が優れていないことに気がつく。これまでの種目もパッとした記録を出ていないが、大丈夫だろうか。
「緑谷、気分が優れないのか」
「えっ!?ち、違うよ!?」
「……そうか「次、緑谷」……頭は常に冷静であれ」
記録が伸びないことに焦っていたので、何かアドバイスをと思ったが相澤が釘を刺してきた。仕方がなく焦るなとだけ言うに留めて、静観することにする。
「緑谷くんこのままではマズいぞ」
「ったりめーだ!無個性のザコだぞ!」
「無個性!?彼が入試時に何を成したのか知らんのか!?」
「面白そうな話をしているな、俺様に教えろ」
「お、鳳くん!?……彼は入試時に0p敵を破壊している」
「なっ!?……ふざけてんじゃッ「話の邪魔だ。黙っていろ」
飯田が興味深いことを言っていたので、爆豪との間に割り込むことにする。爆豪が突っかかってくるが、口を塞ぎ黙らせる。
入試前の爆豪の評価を改めなければならないな。緑谷だけでなく、周りの人にも態度が悪く口も悪い。
「しばらく黙っていろ。……それにしてもあの敵を俺様以外に破壊する者がいたとはな」
「ッ!?」
「だが、【個性】の影響か腕と両足の骨が折れていたんだ」
「……」
「……自壊する程の超パワーか、まだ制御ができておらず1発限りだからそれらしい記録が出なかったわけか」
「……クッソ!いつまで塞いどんじゃ!」
「じっとしてられんのか、近所の子どもの方がまだ大人しいぞ」
「んだと!?」
「2人ともやめないか!?」
痺れを切らした爆豪が俺様を跳ね除ける。俺様もこいつの態度には、少しばかり怒りを覚えていたので灸を据えるいいタイミングだと【個性】発動させるが、肉体が変化しない。それは爆豪も同じようで掌を見て【個性】が発動しないことに驚いている。
「入学初日から喧嘩とは元気があって大変よろしい。お前ら次やったら、成績に関係なく除籍だからな」
「仕方ない」
「クソが」
「緑谷、さっさと投げろ」
俺様たちに釘を刺した相澤は緑谷にボールを投げるよう促す。
覚悟を決めた緑谷は、全力でボールを投げるが記録は46mだった。
「イレイザーヘッド……俺様も思い出すのに時間がかかってしまったな」
二度、【個性】を消す光景を目にして、俺様は記憶から該当するヒーローを思い出す。
抹消ヒーロー:イレイザーヘッド……メディア露出が少なく、世間からの認知度は高くないが、親父と関わりのあるヒーローからの話では、同業者の間ではその【個性】もあって有名らしい。
相澤ことイレイザーヘッドについて思い出している間に、緑谷は何か言われていたようだ。爆豪は除籍宣告だと興味なさげだが……どうする緑谷。
「あいつ駄目なんじゃ」
誰かが呟いた一言がクラスの空気を重くするが、それを吹き飛ばすように緑谷がボールを遥か彼方に投げ飛ばした。
「SMASH!!!」
緑谷から放たれた衝撃が、空気を揺らしクラスメイトの度肝を抜く。
「なかなかクレバーなことをするな。自壊を防げないなら、壊す部位を絞ることにしたか」
「しかしそれは」
「飯田、お前の考えていることは分かる。緑谷は壊れると分かっていた、その上で壊したんだ。普通できることじゃない、とんでもない奴だ」
緑谷の現状を打開する策を見て、俺様は評価を数段上げた。
「先生……まだ、動けます!」
精一杯の強がりだが、相澤に自分はまだいけると宣言する緑谷、初対面のオドオドした雰囲気はそこになく、狂気にも似た執念があった。
「……クソ……クソが!」
「爆豪……次は無いんだぞ?」
「わかっとるわ」
また爆豪が暴れそうだったので声をかけるが、何とか踏みとどまっている。
それからテストは続き、全ての種目が終了する。
「んじゃ、パパっと結果発表」
相澤が手にした携帯端末からホログラムが投影され、クラス全員の成績が発表される。
「トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。……それと除籍はウソな」
「はぁー!?」
「君らの最大限を引き出すための合理的虚偽」
相澤の発言に当然だがクラスメイトは驚く。緑谷なんか作画が崩壊する程には仰天している。
俺様はホログラムに移った成績を確認する。1番上に名前があることを確認し、改めて俺様が1番であると知らしめすことはできた。
「それじゃ、さっさと着替えて戻れ。教室にカリキュラム等の書類あるから目を通しとけ」
こうして俺様の入学初日は終わり、明日から始まる本格的な授業に少し心が踊るのだった。
鳳火鳥の種目別の順位
50m走:1位
握力:3位(1位八百万、2位障子)
立ち幅跳び:1位
反復横跳び:2位(1位峰田)
ソフトボール投げ:同率1位
持久走:1位
上体起こし:2位(1位尾白)
長座体前屈:3位(1位蛙吹、2位障子)
劇場版を入れるかどうかアンケート取ります。
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やってくれ必要だろう
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本編だけで大丈夫
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どちらでもいいよ