キングオブキングな俺様のヒーローアカデミア   作:松田ゐふ

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今日から第2部が始まります。
今回は導入ということで少し短いです。



本編・第2部
第61話


 8月中旬……まだまだ暑い日が続く中、俺たちは雄英の制服に身を包み、数ヶ月の間世話になった家を出て寮に移る。

 

「二人とも忘れ物はないかしら?」

 

「あぁ大丈夫だ」

 

「何度も確認したから大丈夫です」

 

 

 玄関先で俺の両親は俺たちに声をかける。

 唯の両親は島根に戻ったのだが、俺の両親はなぜかここに残るらしい。

 

「火鳥、付き合ったからって節度は守れよ」

 

「誰にものを言っている」

 

「私はもうちょっと求めて欲しいけどね」

 

 先日、長い片思いの末に付き合った俺を親父がからかってくる。

 俺はまだ学生の身なので万が一がないように気をつけているのだが、唯はグイグイと迫ってくるので嬉しい反面、耐えるのに必死だった。

 

「それよりも親父たちは実家に戻らないのか?」

 

「あ〜いや、それなんだがな……えっと……」

 

「ん?」

 

 からかわれたついでに何時までここにいるのか聞いたのだが、親父は何か言いたいようだが歯切れが悪く、頭をかいて誤魔化そうとしていた。

 

「そうだったわ!ひーくん!あなたお兄ちゃんになるのよ!」

 

「は?」

 

「母さん!?今じゃないよ!?」

 

「あら?そうだったかしら?」

 

 俺の頭は真っ白になった。

 ただでさえ普段からバカップルみたいなイチャつきを見せられているのに、弟/妹ができたなんて報告されれば思考が停止するのも無理はないだろう。

 別に弟/妹ができたことが嫌なんじゃない、両親のそういう事情を知りたくないだけだ。

 せめて10年前じゃ駄目だったのかと頭を抱える。

 俺はもう慣れてしまったが、歳頃の子供との接し方を勉強して欲しいと切実に思う。

 

「なぜ俺の旅立ちはこう格好がつかんのだ」

 

「まぁ今に始まったことじゃないだろ」

 

 実家を出る時もそうだったが、両親といるといい感じの雰囲気も、一気にギャグ時空に変わってしまう。

 このままここにいるとより詳しく話されそうなので、落ち着いてからメッセージで性別などを聞くことにする。

 

「……つーわけでお前が産まれた病院を悪く言うつもりはないが、偽物の件でもしかしたらと考えると信用できなくてな。だから信頼できる友人の病院にしようって決めたんだよ」

 

「その病院がここ(静岡県)にあるのよ」

 

「なるほどな」

 

 出発前というのにどっと疲れたが、気を取り直して雄英に向かうことにする。

 

「はぁ……それでは行ってくる」

 

「行ってきます」

 

「「行ってらっしゃい」」

 

 俺たちは家を出て雄英へと向かうのだった。

 


 

「あれがハイツアライアンスか……結構でかいな」

 

「そうだね……」

 

 雄英に着き集合場所に向かっていると、遠くからいくつもの寮が建ち並んでいるのが確認できた。

 ハイツアライアンス……度重なる敵の襲撃を受け生徒たちの安全を守るために用意された俺たちの新たな家である。

 

「(表向きにはそうだろうが……裏切り者の調査も極秘で進めているのだろうな)」

 

 学校側から当然説明はないが、何度も襲撃を受けたことについて、裏で誰かが手引きした可能性がある。裏切り者が誰なのかは分からないが、調査対象には教師だけでなく生徒も入っているのだろう。故にヒーロー科だけでなく普通科、サポート科、経営科の全生徒が寮生活に移る運びとなった。

 俺も学校側の意図を理解しても誰かに伝えるつもりはない、寮という狭いコミュ二ティでそんなことを言ってしまえば、互いが互いを疑う地獄が始まるだろう。

 そういうわけで俺も積極的に裏切り者探しをするつもりは無いし、うちのクラスにそんな奴はいないと信じている。

 

「どうかした?」

 

「いや、少し感動していただけだ……入試の際に雄英を城と称したがそれが実現するとはな」

 

「実際は敷地内の寮だけどね」

 

「細かいことはいいんだよ」

 

 つい考え込んでしまったが切り替えて寮に向かう。

 隣を歩く唯と手を繋ごうとするが、周りの視線が気になってしまい差し出した手を引っ込めてしまう。

 

「いくじなし」

 

「すまん……幼なじみ(片思い中)だった頃はあまり気にしなかったんだが……こ、恋人になったら意識してしまってな」

 

「そっか……///」

 

 互いに顔を赤くながら歩く。

 クラスが違うのため集合場所も別々だ。

 そうなるとしばらく会う時間が取れなくなる、俺は意を決して唯を木陰に誘導する。

 唯の髪に触れ、軽く頬に口付けをする。

 周りからは髪についたゴミか何かを取っているように見えるはずだ。

 顔を離すと、顔を赤くした唯が目をぱちくりさせて驚いている。

 それもそうだろう、付き合ってから引越しまでの数日間、俺からスキンシップを取ったのは片手で数える程度だったのだから。

 さっきみたいに自分から動こうとしても照れてしまいなかなか行動できなかったのだ。

 その分、唯からボディタッチやハグ、キスをされたので役得ではあったのだが、彼氏の俺が何もしないというのも悪いのでキスをしてみた。

 

「今はこれで我慢してくれ……///」

 

「う、うん……///」

 

「そ、それじゃ俺は自分のクラスの寮に行くからな……何かあったらすぐに連絡してくれ飛んで行く」

 

「うん……またね」

 

「あぁまたな」

 

 俺たちは自分たちクラスの寮に向かって歩き出す。

 寮に近づくにつれて、寮の前で集まっているクラスメイトたちが見える。

 俺に気づいた皆は挨拶をしてくれる。

 

「ここがハイツアライアンスか……俺の城にふさわしいな」

 

「何言ってんだ?」

 

「わからんか?俺の新たな伝説が始まるんだ。お前たちも幸運だな、伝説の瞬間に立ち会えたんだからな」

 

 寮を見上げ、これから始まる新生活に胸を踊らせるのだった。

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