キングオブキングな俺様のヒーローアカデミア   作:松田ゐふ

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第62話

 1年A組21人が暮らす寮の前で、担任の到着を待つ。

 周りを見ると、全員揃っているようだ。

 林間合宿であんなことがあったから、1人2人欠けてもおかしくないと思っていたが、親御さんたちから許可は降りたらしい。

 

「とりあえず1年A組、無事にまた集まれて何よりだ」

 

 しばらくすると寮の前に相澤が来て話を始める。

 相澤の言葉で、クラスメイトも近くの者とここに通い続けることができて良かったと話ている。

 特にガスによって意識を失っていた葉隠は親の説得に苦労したようだ。

 

「無事に集まれたのは先生もよ。会見を見た時はいなくなってしまうかと思って悲しかったの」

 

「うん」

 

 相澤が今回の襲撃の責任を取る形で雄英を去るのではと考えていた蛙吹は、今ここで担任として皆の前に立っている姿を見て安心したようだ。

 

「……俺もびっくりさ……まぁ……色々あんだろうよ」

 

 相澤は含みを持たせた言い方をする。

 色々の部分には触れない方がいいのだろう。

 

「さて……!これから寮について軽く説明するが、その前に一つ」

 

 雑談も程々に相澤は手を鳴らすと空気を締めて話を寮に戻す。

 

「当面は合宿で取る予定だった《仮免》取得に向けて動いていく」

 

「そういやあったなそんな話!」

 

「色々ありすぎて頭から抜けてたわ……」

 

「大事な話だいいか」

 

《仮免》という単語を聞き、色々ありすぎで頭から抜けていたと皆が喋るが、相澤はそれを黙らせる。

 

「轟、切島、緑谷、八百万、飯田」

 

 5人の名前が呼ばれる。

 俺はなぜこの5人が呼ばれたのか、特に共通点が見つからず首を傾げていると、朧気ながら記憶が蘇る。

 俺が唯に拒絶され落ち込んでいた時、病院の屋上からどこかに向かっている姿を見た気がする。

 

「この5人は()()()()()()()へ爆豪救出に赴いた」

 

 相澤の視線が鋭くなる。

 皆の反応を見ると知っていたようだ。

 

「その様子だと行く素振りは皆も把握していたワケだ。色々棚上げした上で言わせて貰うよ」

 

「オールマイトの引退がなきゃ俺は、爆豪・耳郎・葉隠・鳳以外全員除籍処分にしてる」

 

「「「「「!?」」」」」

 

 相澤の言葉に皆の顔が強ばる。

 俺たちの力を最大限引き出すために、口に出していた除籍処分だが、今回は本気だというのが相澤から伝わってくる。

 

「彼の引退によってしばらくは混乱が続く……敵連合の出方が読めない以上、今雄英から人を追い出すわけにはいかないんだ。行った5人はもちろん、把握しながら止められなかった12人も、理由はどうあれ俺たちの信頼を裏切った事に変わりない」

 

 相澤の言葉が皆の空気を重くする。

 当然のことを言っているので俺は黙って話を聞く。

 

「正規の手続きを踏み正規の活躍をして信頼を取り戻してくれるとありがたい」

 

 ここで言う正規の手続きとは《仮免》のことだろう。正規の活躍と言うのは、まだ分からないがおそらく今後に関わってくるのだと思う。

 

「以上!さっ!中に入るぞ元気に行こう!」

 

(((((いや待って行けないです……)))))

 

 切り替え下手くそか。

 この空気のまま寮の話にいけるわけがないだろう。

 俺がなにか言おうかと思ったが、何も浮かばない。今朝の出来事でも話そうかと思ったが結局気まずくなりそうなので静観することにする。

 

「来い」

 

「え?何やだ」

 

 そんなことを考えていると爆豪が上鳴の首根っこをつかみ茂みに連れて行く。

 どこからどう見てもヤンキーのいじめ現場にしか見えない。

 茂みから大量の電気が放たれる。

 

「うぇ~い……」

 

「バフォッ」

 

 アホになった上鳴が茂みから出てきて、耳郎がツボる。

 

「切島」

 

「んあ?」

 

 アホの上鳴の登場に皆が呆気にとられていると、爆豪が切島に近づいて万札を差し出す。

 

「え怖っ!?何カツアゲ!?」

 

「違ぇ俺が下ろした金だ!」

 

「いつまでもシミったれられっとこっちも気分悪ィんだ」

 

 日頃の言動で誤解されまくっていたが、爆豪なりにクラスの空気を変えようとしたのだろう。

 相澤も特に咎めることなく、上鳴の姿に盛り上がる俺たちを見ていた。

 

「皆!すまねぇ……!!詫びにもなんねぇけど……今夜はこの金で焼肉だ!!」

 

 切島の宣言でクラスの雰囲気は元に戻ったようだ。

 気を取り直して俺たちは寮に入る。

 


 

「1棟1クラス、右が女子棟左が男子棟と分かれてる。ただし一階は共同スペースだ、食事や風呂・洗濯などはここで」

 

「広キレー!!そふぁああ!!!」

 

「中庭もあんじゃん」

 

「豪邸やないかい」

 

 相澤の案内で寮の中に入ると、完成したばかりでとても綺麗な内装や広さ等に皆が興奮する。お金で苦労していると言っていた麗日が寮の凄さに横転する。

 その横で、俺は一階の共同スペースを見渡すとその広さに呟く。

 

「島根の実家より少し小さいくらいか」

 

「そういやボンボンだったな」

 

「恵まれた生まれなのは否定しないが、その言い方はやめてくれ」

 

 隣にいた瀬呂にツッコまれた。

 

「聞き間違いかな……?風呂と洗濯が共同スペース?夢か?」

 

「男女別だ。お前いい加減にしとけよ?」

 

「はい」

 

 寮の説明を聞いた変態(峰田)が別の意味で興奮していたが相澤に釘を刺されていた。

 ……さっきの今でそんな事が言えるメンタルは尊敬しよう。

 

「部屋は二階から、1フロアに男女各4部屋の5階建て」

 

 相澤は共同スペースの説明が終わると、皆を連れてエレベーターで二階に上がり、近くの部屋の扉を開け個人部屋の説明に入る。

 

「一人一部屋、エアコントイレ冷蔵庫にクローゼット付きの贅沢空間だ」

 

 至れり尽くせりな部屋だな。

 都内で同じような物件に住むなら結構な家賃になりそうだが、この寮にそんなものはない。

 

「我が家のクローゼットと同じくらいの広さですわね」

 

「豪邸やないかい」

 

 部屋の広さを見て八百万がボソッと呟く。

 育ちの違いをナチュラルに叩きつけられ麗日がまた横転する。

 

「部屋割りはこちらで決めた通り、各自事前に送ってもらった荷物が部屋に入っているから、とりあえず今日は部屋作ってろ。明日また今後の動きを説明する。以上解散!」

 

「「「「「ハイ!先生!」」」」」

 

 相澤の合図で各々自室へと移動する。

 俺の部屋は5階の砂藤の隣だ。

 

「さて始めるか」

 

 部屋に入ると、送った荷物の入ったダンボールが積まれていた。

 静岡の家から持ってきた、棚等を組み立て専門知識の本や調理器具などをダンボールから取り出し収納する。

 部屋を見渡すと実家の自室と比べてなんだか味気ないので俺好みにリフォームすることにした。

 

「今からなら夕方には終わるか……とりあえず床からだな」

 

 凝り性な俺は慣れた手つきで部屋のリフォームを始めた。

 


 

 あっという間に夜になった。

 夕飯を食べた俺たちは共同スペースで部屋作りやこれからの生活について話していた。

 

「共同生活ってワクワクすんな!」

 

「つかれたー」

 

「共同生活……これも協調性や規律を育む為の訓練……!」

 

「キバるな委員長」

 

「自室は各自で掃除するとして、とりあえず共同スペースの掃除をどうするか……後で女子と相談して当番でも決めるか。他にも休日の食事をどうするか……考えることは色々あるな」

 

「鳳も張り切ってる」

 

 共同生活を送るにあたって色々と決めなければいけないことがあるので、色々と草案を出し皆がいるこの場で前もって相談していると、女子たちがこちらに来た。

 

「男子部屋できたー?」

 

「うん、今くつろぎ中」

 

「あのね!今、話しててね!提案なんだけど!」

 

「お部屋披露大会しませんか?」

 

 芦戸の提案に、緑谷・常闇・峰田の顔色が変化した。

 反対意見も出なかったので急遽、お部屋披露大会が始まった。

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