キングオブキングな俺様のヒーローアカデミア   作:松田ゐふ

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第63話

 というわけで唐突に始まったお部屋披露大会、トップバッターは緑谷出久。

 

「わああダメダメ!ちょっと待ー!!!」

 

「オールマイトだらけだ!オタク部屋だ!!」

 

「憧れなんで……恥ずかしい……」

 

 緑谷の静止も虚しく女子陣を中心に部屋に入っていく。

 そこには360℃オールマイトのグッズが飾られた、オタク部屋だった。

 悪気はないのだが麗日の言葉は人によってはダメージを与える可能性があるが、緑谷は照れているようで傷ついてはいないようだ。

 

「やべぇ何か始まりやがった……!」

 

「でもちょっと楽しいぞコレ……」

 

 上鳴や瀬呂が乗り気になり、本格的にお部屋披露大会が開催される。

 

「フン、下らん」

 

 盛り上がってきたお部屋披露大会を下らないと言う常闇は、自室の扉にもたれかかっている。

 隠されると見たくなるのが人の性で、芦戸と葉隠の2人が常闇を押し退けて部屋にはいる。

 

「黒!!怖!!」

 

 常闇の部屋は凄かった。

 全体的に黒く、あちこちに骸骨や剣等が飾られた厨二チックな部屋だった。

 

「このキーホルダー、中学ん時に買ってたわぁ」

 

「男子ってこういうのが好きなんね」

 

「カッコイイ……」

 

「出ていけ!!」

 

 切島、芦戸、緑谷の反応を聞き耐えられなくなった常闇が声を荒らげたことで次の部屋に移る。

 

「次は僕だね☆」

 

 青山はそう言って部屋を披露する。

 想像通り、ミラーボールやライトで輝いている部屋だった。

 

「まぶしい!!」

 

「ノンノンまぶしいじゃなくてま・ば・ゆ・い!

 

「思ってた通りだ」

 

「想定の範疇を出ない」

 

 葉隠と芦戸はなかなか厳しいコメントを残した。

 

「あと二階の人は……」

 

「入れよ……すげぇの見せてやんよ」

 

 青山の部屋を出ると次は誰かと麗日が奥の部屋を見る。

 そこには峰田がいた。

 扉の隙間から血走った目をこちらに向け、皆に自室に入るよう促すが、その様子に底知れぬ何かを感じ上の階へ移動する。

 

「三階行こ」

 

「入れよ……なァ……」

 


 

 峰田の部屋を見ることなく三階に移動した俺たちは早速、尾白の自室に入る。

 

「ワァー普通だァ!!」

 

「普通だァ!すごい!!」

 

「これが普通ということなんだね!」

 

「言うことないならいいんだよ……?」

 

 オタク部屋(緑谷)厨二部屋(常闇)眩い部屋(青山)の後だからか、これといって特徴のない尾白の部屋が箸休めになってありがたい。

 

「おかしなものなどないぞ」

 

「難しそうな本がズラッと……さすが委員長!」

 

 次は飯田の部屋だ。

 飯田らしく沢山の本が丁寧に収納されている、ザ・真面目を体現した部屋だ。

 しかし、どうしても一部に目がいっていしまう。

 

「メガネクソある!」

 

 机の上に取り付けられた棚にメガネが置かれていたのだ。それも一つ二つではなく十個以上置いてあるので妙な面白さがある。

 

 飯田のあとは上鳴の部屋だ。

 一言で言うとチャラい。壁にかけられたダーツ、床に転がるバスケットボール、タンスに立てかけたスケートボードなど手当り次第に趣味を詰め込んだ部屋だった。

 

 次の口田の部屋だが、動物のグッズが置かれている以外は尾白とそこまで大差はないのだが……。

 

「ウサギいるー!!可愛いいい!!」

 

 ウサギがいたのだ。

 当然女子はウサギに大はしゃぎし、撫でたり抱っこしたりする。

 

 さてここで男子の半分が終わったのだが、部屋についてあまり良く言われなかった、上鳴たちが釈然としないと声を上げる。

 

「男子だけが言われっ放しってのはぁ変だよなァ?」

 

 ここでずっと黙っていた峰田が女子たちにある提案をする。

 

「『大会』っつったよな?なら当然!女子の部屋も見て決めるべきじゃねえのか?」

 

「誰がクラス一のインテリアセンスか、全員で決めるべきなんじゃねえのか!!?

 

 ……多分だが、峰田はそんなこと思っていない。部屋を良く言われなかった男子の声に便乗して、女子部屋を見たいだけだと思う。

 

「いいじゃん」

 

「え!?」

 

 そんなことも露知らず芦戸はその提案に乗ってしまう。

 

「えっとじゃあ部屋王を決めるってことで!!」

 

「部屋王」

 

 耳郎が俺に視線を向けてくる。

 

「王ならなんでもいいわけじゃないぞ」

 

 何か言いたげな耳郎にそう言うと、次の部屋を見るためにエレベーターで上の階に上がる。

 

「この階は爆豪くんと切島くんと障子くん……だね」

 

「爆豪くんは?」

 

「「くだらねぇ先に寝る」ってよ俺も眠い」

 

 朝から部屋作りでバタバタしていたこともあってか、一部を除いて睡魔が襲っているようだ。

 

「じゃあ切島部屋!!ガンガン行こうぜ!!」

 

「どーでもいいけど多分女子にはわかんねぇぞ」

 

 眠気を吹き飛ばすようにテンションを上げる葉隠に促され切島は自室を紹介する。

 

「この男らしさは!!」

 

 切島の部屋はザ・漢という感じだ。

 サンドバッグやダンベルなどのトレーニング器具があり、壁には熱い言葉が書かれたポスターを貼ってある。

 

「……うん」

 

「彼氏にやってほしくない部屋ランキング2位くらいにありそう」

 

「アツイね!アツクルシイ!」

 

「ホラな」

 

 女子たちからの正直な評価に【硬化】の切島も耐えられず、涙をうかべる。

 切島を慰めながら次の部屋に移る。

 

「特に面白いものはないぞ」

 

「面白いものどころか!!」

 

 障子はそう言って扉を開けた。

 そこには布団と机があるだけで他に何も無かった。

 

「ミニマリストだったのか」

 

「まぁ幼い頃からあまり物欲がなかったからな」

 

「こういうのに限ってドスケベなんだぜ」

 

「それは偏見だろう」

 

 障子について話ていると五階に行くようなので俺たちも上に上がる。

 

「さて一階上がって5F男子!」

 

「瀬呂からだ!」

 

「まじで全員やんのか……?」

 

 瀬呂は自室に案内する。

 

「おお!!!」

 

 これまでの部屋と違い、女子の反応が良い。

 それもそうだろう、瀬呂は地味な活躍が多いが意外とこういうところでギャップを見せる男だ。

 

「エイジアン!!」

 

「ステキー」

 

「瀬呂こういうのこだわる奴だったんだ」

 

「へっへっへギャップ男の瀬呂くんだよ!」

 

 女子に褒められて少し嬉しそうな瀬呂を横目に次の部屋に移る。

 

「次いこ次!」

 

「轟さんですわね」

 

 次は轟だ。

 女子の雰囲気も少し変わったのを感じる。

 それもそうだろう、クラス上位の実力者でツラもいいそんな男の部屋が気にならないわけがない。

 

「さっさと済ましてくれねみぃ」

 

 女子の雰囲気にも気づかず普段のテンションのまま扉を開ける。

 そこには和室が広がっていた。

 

「和室だ!!」

 

「造りが違くね!?」

 

 これには女子も男子も驚いた。

 

「実家が日本家屋だからよフローリングは落ち着かねぇ」

 

「理由はどうでもいいわ!当日即リフォームってどうやったんだお前!」

 

「…………頑張った……」

 

「なんだよこいつ!!」

 

 予想の斜め上を突きぬけた轟に上鳴たちが質問するが、本人はなんとも思ってないのか頑張ったとしか答えない。

 

「大物になりそ」

 

「イケメンのやることは違ぇな」

 

「じゃ次!砂藤くんだね」

 

 轟の後に自室を見せることになった砂藤は女子からの反応を想像したのかあまり乗り気では無い。

 

「まーつまんねー部屋だよ」

 

「轟の後は誰でも同じだぜ」

 

 部屋自体は普通だったのだが、なぜかいい匂いがする。

 

「ああイケね!!忘れてた!!だいぶ早く片付いたんでよ……シフォンケーキ焼いてたんだった!!」

 

 尾白に指摘されたことで作っていたケーキの存在を思い出し、慌ててオーブンからケーキを取り出す。

 

「ホイップがあるともっと美味いんだが…………食う?」

 

 砂藤が差し出したシフォンケーキに女子が食いついた。

 スイーツの魅力には抗えないから仕方ないな。

 

「「模範的意外な一面かよ!!」」

 

 まさかの展開に上鳴と峰田は頭を抱えていた。

 

「美味い」

 

「鳳もそう言ってくれるか」

 

 話を戻して気になるシフォンケーキの味だが、肥えた舌を持つ俺ですら唸らせるほど美味かった。

 砂藤の腕があれば、母さんのアップルパイも再現出来るかもしれないと、今度誘うことを決意する。

 

「さて……最後は俺だな」

 

「鳳かぁー想像できないなぁ」

 

「案外普通だったりして」

 

 皆が好き勝手に俺の部屋について予想するが、俺は何も答えず自室の扉を開ける。

 

「ここが俺の部屋だ」

 

「なんということでしょう!!」

 

 俺の部屋は黒を基調としたアンティークな感じでまとめた。見る人によっては貴族の一室ようにも感じられるだろう。

 

「轟もそうだけどどうやったんだよ!」

 

「床どころか壁も天井も変わってんじゃねぇか!」

 

「……頑張った」

 

「俺の真似か?」

 

 部屋王が誰になるかどうでもいいが、俺の部屋に対していい感じのリアクションが見れて満足だ。

 

「さて次に行くとするか」

 

 俺は皆を次の部屋へ行くよう促す。あまり詳しく見られると主に峰田が騒ぐものがあるので長いして欲しくない。

 

「ん?」

 

 唐突に俺のスマホが震えたので画面を確認する。

 どうやら唯からの電話だったようだ。

 

「鳳くん電話?」

 

「そうみたいだ、悪いが先に次の部屋行っててくれ」

 

「そっか皆にも言っとくね」

 

「頼む」

 

 近くにいた麗日に話を通して自室に戻ろうとする。

 

「唯ちゃんと仲良いよね」

 

「あぁ付き合う前からずっといいぞ」

 

「そっか……えっ!?付き合ったの!?」

 

「あ」

 

 唯からの連絡に頭がそっちにつられてしまい、ついポロッと付き合ったことを言ってしまった。

 俺がしまったという顔をして部屋に戻ろうとする姿を見て、皆は確信したらしい。

 

「鳳ィ!!貴様貴重なヒーロー科女子をよくもォ!!」

 

「黙れ、俺はもう部屋に戻る。話は明日以降にしろいいな!」

 

「いいわけあるか!!」

 

 当然の如く血涙を流して突っかかって来た峰田を剥がし、自室に戻る。扉の鍵を閉めると、キャーキャー騒いでいる女子たちに詳しくは明日話すと言い難を逃れる。

 ……問題を先延ばしにしたとか言うな。

 

「もしもし俺だ」

 

『ワンコールで出ないの珍しいね』

 

「今、クラスメイトにお前との仲がバレたんだ」

 

『バラしたの間違いじゃない?』

 

「見ていたのか?」

 

『やっぱりそうなんだ』

 

「嵌めたな?」

 

『火鳥が勝手に嵌ったんだよ』

 

 俺はベッドに寝転ぶと、唯との通話を楽しむ。

 部屋の前から人の気配は消えたので、安心して通話を続けることが出来る。

 

「すまんな……付き合ってることをバラしてしまって」

 

『気にしてないよ。むしろバラしてくれてありがとう』

 

「いいのか?」

 

『うん……だって火鳥に近づく女の子に私のモノって宣言したみたいじゃん』

 

「俺はお前のモノになったつもりはないぞ」

 

『え?私は火鳥のモノだって思ってたのに』

 

「……あまりそういうことを言わないでくれ……慣れてないんだ」

 

『可愛いね。慣れるまで言い続けてあげるから、カッコよく返せるようになってね』

 

「……善処する」

 

 それから唯が今日のことを楽しそうに話すのを聞き、ビデオ通話に切り替えてもらい部屋を見せ合いっこしたりと、寝るまでの僅かな時間を有意義に過ごした。

 

「それじゃ……おやすみ」

 

『うん、おやすみ』

 

 もうすぐ零時になるので明日に備えてそろそろ眠ることにする。

 通話を切ると、どっと疲れを感じてそのまま枕に顔を埋める。

 

「歯磨きせねばな……」

 

 何とか体を起こして、一階の洗面所で歯を磨く。幸いお部屋披露大会は終了しており、皆部屋に戻ったらしく共同スペースには誰もいなかった。

 

 手早く歯磨きを済ませると、部屋に戻りベッドに入る。

 明日から始まる《仮免》取得に向けて、大量に消費した体力を回復させるた眠りにつくのだった。

 

 

 

 後日緑谷から第一回部屋王は砂藤に決まったと伝えられた。

 理由はシフォンケーキが美味かったから。

 部屋関係ねぇなと言いたくなったが、ツッコんだら負けだと思いこれ以降、話題に出すことはなかった。

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