キングオブキングな俺様のヒーローアカデミア   作:松田ゐふ

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第68話

 訓練の日々は流れ……

 

「降りろ到着だ」

 

「試験会場、国立多古場競技場」

 

ヒーロー仮免許取得試験当日!!

 

 俺たちは相澤の引率のもとバスから降り、会場へ向かっている。

 皆が会場に近づくにつれて緊張していくのがわかる。

 

「緊張してきたァ」

 

「多古場でやるんだ」

 

「いつかここに銅像でも建ててやるか……王が仮免を取得した歴史ある場所としてな」

 

「鳳はブレないね」

 

「普段の訓練で学んだことを活かせばいいだけだ。俺はその程度で緊張はしないさ」

 

「そういう所は尊敬できるんだけどね」

 

 緊張している耳郎が俺に話しかけてくる。

 俺はいつも通り緊張する必要が無いと胸を張って言うと、耳郎は呆れが混じった声色でやれやれと笑う。

 

「試験て何やるんだろ、ハー……仮免取れっかなァ」

 

「峰田、取れるかじゃない取って来い」

 

「おっもっ……モロチンだぜ!!

 

「この試験に合格し仮免許を取得出来ればお前ら志望者(タマゴ)は晴れてヒヨっ子……セミプロへと孵化できる……頑張ってこい

 

 同じく緊張していた峰田が、相澤の言葉に反応していた。続けて相澤は試験を受ける俺たちに向けて頑張ってこいと応援する。

 珍しい相澤からの応援に俺たちの調子は上がる。

 

「っしゃあ!なってやろうぜヒヨっ子によォ!!」

 

「いつもの一発に決めて行こーぜ!」

 

 切島の提案に乗り、俺も円陣に加わるといつもの掛け声を雄英の校訓を叫ぶ。

 

「せーの」

 

「「「「「Plus……「Ultra!!」」」」」」

 

 俺たちの円陣に混じって謎のバカでかい声が響く。

 俺たちが声の方に視線を向けると、ガタイのいい丸刈りの男がいた。

 

「勝手に他所様の円陣に加わるのは良くないよ……イナサ」

 

「ああ、しまった!!」

 

 同じ学校なのか後ろで手を組んだ男子生徒が大声の主をイナサと呼び、俺たちの円陣に加わったことを注意する。

 

「どうも大変」

 

「失礼致しました!!!」

 

 イナサは大声と大きな動きで俺たちに頭を下げ謝罪する。

 勢いよく頭を下げたせいで地面に脳天をぶつけている。

 皆は此奴のテンションについていけず慄いている。

 

「なんだこのテンションだけで乗り切る感じの人は!?」

 

「飯田と切島を足して二乗したような……!」

 

 一連の出来事で周りが騒がしくなってきた。

 十中八九、此奴の大声のせいだ。

 

「待ってあの制服……!」

 

「あ!マジでか」

 

「アレじゃん!!西の!!有名な!!」

 

 俺は雄英以外眼中になかったので他のヒーロー科についてあまり知らないがそんなに有名なのだろうか。

 俺が此奴らの学校について考えていると、爆豪が口を開いた。

 

「東の雄英、西の士傑」

 

「数あるヒーロー科の中でも雄英に匹敵する程の難関校……士傑高校!

 

 珍しく爆豪が解説してくれた。

 俺はそんな学校があるのかくらいの感想しか出てこないが、周りは違うらしい。

 

「一度言ってみたかったっス!!プルスウルトラ!!」

 

「自分、雄英高校大好きっス!!!」

 

「雄英の皆さんと競えるなんて光栄の極みっスよろしくお願いします!!」

 

 しかしうるさいな……額から血を流すイナサに俺は辟易する。

 

「あ、血」

 

「行くぞ」

 

 恐らく先輩である男子生徒に言われイナサは会場に向かう。

 

「はァ……ちょっと待て」

 

「なんスか!」

 

「……試験前に怪我をするな」

 

「大丈夫っス!血好きなんで!」

 

「そういう問題じゃない」

 

 俺はイナサの頭を炎で燃やす。

 傷が塞がり額にこびりついた血が焦げて消えていく。

 

「うぉぉお!!凄いっスね!!」

 

「次は治さんから気をつけろ」

 

「お心遣い感謝します!!」

 

 イナサはまた頭を下げ、先輩らを追って会場へ入っていった。

 テンションについていけないだけで悪い奴じゃないことは分かった。

 

「夜嵐イナサ」

 

 相澤が意味ありげに彼奴の名を告げる。

 

「先生、知ってる人ですか?」

 

「すごい前のめりだな……よく聞きゃ言ってることは普通に気の良い感じだ」

 

「ありゃ……強いぞ」

 

 俺は相澤のイナサ……夜嵐に対する評価に興味が湧く。

 相澤がはっきり強いと断言したんだ、それだけの実力があるなら俺の踏み台になれるだろう。

 

「夜嵐、昨年度……つまりお前らの年の推薦入試、トップの成績で合格したのにも関わらず、なぜか入学を辞退した男だ」

 

 全員の視線が轟に向けられる。

 

「え!?じゃあ……1年!?ていうか推薦トップの成績って轟くん以上の実力!?」

 

「これから試験だというのに不安を煽るようなことは言うな」

 

「ご、ごめん」

 

「まぁしかし……雄英大好きとか言ってたわりには入学蹴るってよくわかんねぇな」

 

「ねー変なの」

 

「変だが()()だマークしとけ」

 

 夜嵐について皆の認識が変だが強い奴になり、気を引き締めていると、後方から声が聞こえる。

 

「イレイザー!?イレイザーじゃないか!!」

 

 明るい女性の声は相澤を呼んでいるようだ。

 相澤は声の方へ振り返ると、めちゃくちゃ嫌な顔をした。

 

「テレビや体育祭じゃ姿は見てたけど、こうして直で会うのは久しぶりだな!!」

 

「あのこの人は」

 

「結婚しようぜ」

 

「しない」

 

「わぁ!!」

 

 緑谷が女性について相澤に聞こうとした次の瞬間、女性が相澤に求婚した。

 相澤は食い気味にしないと答え、恋バナの気配を感じだ芦戸が舞い上がる。

 

「しないのかよ!!ウケる!」

 

「相変わらず絡み辛いなジョーク」

 

「OK緑谷、彼女について教えてくれ」

 

「鳳くん……僕はG〇ogleじゃないよ……彼女はスマイルヒーロー《Ms.ジョーク》!【個性】は【爆笑】!近くの人を強制的に笑わせて思考・行動共に鈍らせるんだ!彼女の敵退治は狂気に満ちてるよ!」

 

 さすが緑谷だ。こういう時、本当にありがたい。

 緑谷が解説をしている間も、ジョークは相澤に結婚を迫っていた。

 似た感じのピクシーボブとは大違いだ、やはり必死感がないからだろうか。

 

「……お前の高校(とこ)もか」

 

「そうそう、おいで皆!雄英だよ!」

 

 相澤の話から彼女もまた教師とプロヒーローの二足の草鞋を履いているようだ。

 ジョークに呼ばれた生徒たちが続々とこちらに集まってくる。

 

「おお!本物じゃないか!!」

 

「すごいよ!すごいよ!TVで見た人ばっかり!」

 

「1年で仮免?へぇーずいぶんハイペースなんだね、まァ色々あったからねえ、さすがやることが違うよ」

 

 夜嵐程ではないが、個性的な生徒が俺たちについて話し合っている。

 

「傑物学園高校2年2組!私の受け持ちよろしくな」

 

「俺は真堂!今年の雄英はトラブル続きで大変だったね」

 

「えっあ」

 

 ジョークの紹介が終わると、生徒の一人真堂が俺たちに近づき握手をしながら自己紹介を始めた。

 

「君の活躍もTVで見たよ!よろしく」

 

「ああこちらこそよろしく」

 

 俺は真堂と握手をする。

 手を離す前に、俺は真堂の耳元であることをつぶやく。

 

「その薄っぺらい笑み、俺には通用せんぞ」

 

「なんのことかな?」

 

「いくら取り繕っても黒い腹が透けて見えると言ったんだ」

 

「……へぇ」

 

 さっきから思っていたが真堂の笑顔の裏が透けて見えたので指摘しておく。

 爺さんや親父の会社のあれそれで、俺に声をかけてくる奴らと雰囲気が似ていたのでずっと気になっていたのだ。

 

「おい!コスチュームに着替えてから説明会だぞ、時間を無駄にするな」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

 会場の前で話し込んでいた俺たちを相澤は注意する。

 

「……お前ら最後にちゃんと円陣やっとこう」

 

「鳳から珍しい提案」

 

「初期とり君からは考えられないほど丸くなったよな」

 

「やっぱりそうだよね、ウチの勘違いじゃなかったんだ」

 

「俺様キャラは無理してたか」

 

「その過去は未来永劫、貴様を蝕み続けるぞ」

 

 俺が皆の為に提案したら、ボロカスに言われたんだが怒ってもいいか?

 孤高の王(唯だけの王)を目指すのをやめ、全てを救ける王(皆のヒーロー)になると決めたからこそ、一人称を変えたというのに散々な言われようである。

 それと常闇お前は俺のことを言えないからな。

 

「別に無理をしとらんわ……目指す目標が変わったから一人称も変えたんだ……そこに深い意味はない」

 

「それより、時間も押してるんだやるのかやらないのかさっさと決めろ」

 

「悪ぃ悪ぃ……よし改めて1年A組!」

 

「Plus・Ultra!」

 

 改めて円陣を組み仮免試験に向けて心を一つにする。

 波乱の仮免試験が始まる。

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