キングオブキングな俺様のヒーローアカデミア   作:松田ゐふ

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第71話

 クラス全員が一次試験を通過したことに喜んでいるのも束の間、アナウンスが流れる。

 

『えー100人の皆さん、これをご覧ください』

 

「さっきのフィールド?」

 

「なんだろうね……」

 

「……嫌な予感が」

 

BOOM

 

BA-DOOOOM

 

 フィールドに建てられたビルが爆発し、音を立てながら崩れていく。

 それに連なるようにフィールドのあちこちから爆発していき、先程までの状態から壊れていく。

 

「……さすが仮免試験……やることが違うな」

 

『次の試験でラストになります!皆さんにはこれからこの被災現場でバイスタンダーとして、救助演習を行ってもらいます』

 

「「パイスライダー……?」」

 

「現場に居合わせた人のことだよ。授業でやったでしょ」

 

「一般市民を指す意味でも使われたりしますが……」

 

『ここでは一般市民としてではなく、仮免許を取得した者として……どれだけ適切な救助を行われるか試させて頂きます』

 

「あれは……」

 

「人がいる」

 

「何してるんだ!危ねぇぞ!?」

 

 アナウンスから次の試験について説明を聞いていると、画面に映る壊れた試験会場に人がいることに気づく。

 

『彼らは訓練において今、引っ張りダコの()救助者のプロ!!』

 

「そんな者までいるのだな」

 

『《HELP(ヘルプ)US(アス)COMPANY(カンパニー)》略して《HUC(フック)》の皆さんです』

 

「色んな仕事があるんだな……!」

 

「ヒーロー人気のこの現代に即した仕事だ」

 

『傷病者に扮した《HUC》がフィールド全域にスタンバイ中。皆さんにはこれから彼らの救出を行ってもらいます』

 

 最終試験について大体わかった。

 一次試験と違ってこの試験は皆で協力することが前提になっているな。

 俺たち21人だけでこの試験に挑んでも、練度の違いが如実に現れるだろう、ならここにいる100人で挑んだ方がより効率的に救出ができる。

 

『尚、今回皆さんの救出活動をポイントで採点していき、演習終了後に基準値を超えていれば合格とします。10分後に始めますのでトイレなど済ましといて下さいね……』

 

 アナウンスが終わると俺は控室の上へ飛び、皆の視線を集める。

 

「俺は雄英高校ヒーロー科1年鳳火鳥だ!皆は今の放送を聞いたな!次の試験一次と違って皆で協力するべきだと俺は考えている!俺の【個性】ならこの試験会場全ての要救助者を探し当てることができる!皆が力を合わせればより迅速により正確に救出できるはずだ!」

 

 クラスメイトはまた何かやるのかと怪訝な顔を向けるが、気にせずこの場にいる全ての者に俺の意見を伝える。

 

「皆も神野での一件は知っているな!この試験はあれを模している……ならば俺たちは学校や年齢の垣根を越えてこの試験に挑まねばならない!……俺は100人全員合格を目指す!そのために協力してくれないだろうか」

 

 皆はどうするのか顔を見合せている。沈黙が続く中、一人の声が控室に響く。

 

「俺は協力するっス!!」

 

「夜嵐……」

 

「皆さんも一緒に頑張ましょう!どうせなら皆で合格したいっスよね!」

 

「イナサ……。鳳くん、我々士傑高校は君の提案に賛成だ。ぜひ協力させてくれないか」

 

「……感謝する」

 

 夜嵐の声が沈黙を破り、士傑の代表が俺に協力してくれる旨を皆に聞こえるように伝える。

 それがきっかけとなりあちこちから声が聞こえてくる。

 

「俺たち傑物学園も協力する!」

 

「俺達も!」

 

「私達も!」

 

「皆!ありがとう!」

 

 ここにいる全員が協力してくれるようだ。

 皆の言葉に嬉しくなるが、それより先にするべきことがあるので、近くにいた八百万に視線を向ける。

 

「皆の協力感謝する!先程も言ったが俺の【個性】なら誰がどこにいるか全て分かる。故に皆にそれを知らせるためにインカムを渡そうと思う、必要な者はウチの八百万……赤いレオタードを着た女子に声をかけてくれ。各学園の代表者が必要数を言ってくれるとありがたい!」

 

 そう言うと、俺は八百万の近くに着地し事後承諾になってしまったことを謝る。

 

「八百万、お前の許可もなく勝手に決めてしまってすまん……だが協力して欲しい」

 

「構いませんわ。私も鳳さんの提案に賛成してますから」

 

「感謝する……。皆!貴重な時間をありがとう!試験が始まるまで時間もない……栄養補給する者や用を足す者もいるだろう、残りの時間で各自行ってくれ!一時解散!」

 

 各々試験に向けて動き始めたことを確認すると、俺は一次試験で爆豪と一緒にいた二人に近く。

 

「……切島、上鳴ちょっといいか?」

 

「ん」

 

「なんか用か?」

 

「次の試験も爆豪と一緒に行動するなら、彼奴の言動に注意しておいてくれ。体育祭から矯正してきたが少し心配でな」

 

「任せろ」

 

「おう!」

 

「頼むぞ」

 


 

ジリリリリリ!!!

 

 控室で試験に向けて準備していた俺たちの耳にけたたましい音が響き渡る。

 

『敵による大規模破壊(テロ)が発生!規模は〇〇市全域、建物倒壊により傷病者多数!』

 

「ッ!?」

 

「演習のシナリオね」

 

「え!?じゃあ……」

 

 急に流れた警報に皆が驚く中、いち早く状況を理解した蛙吹が説明する

 

「始まりね」

 

「行くぞ」

 

『道路の損壊が激しく救急先着帯の到着に著しい遅れ!到着するまでの救出活動はその場にいるヒーロー達が指揮をとり行う』

 

 一次試験と同じように控室が展開し、試験会場へと向かう俺たちが、つっかからないように道を開けてくれる。

 

『一人でも多くの命を救い出すこと!!!』

 

 スタートの合図が聞こえ俺はフェニックスと融合して上空に向かう。

 強化された“王の瞳”で試験会場を見渡し、傷病者を探す。

 倒壊したビルの下敷きになった者、炎が燃え上がるビルの中にいる者、比較的軽症なのか助けを求めて彷徨う者、沢山の人が俺の瞳に映る。

 

「皆の者!聞こえているか……全ての傷病者の状態、居場所は俺が把握した。まず、スタート地点から十時の方向に倒壊したビルに三人。救出の際に瓦礫が崩れる恐れがあるため力に自信のある者と瓦礫を固定できる者が向かってくれ。次に……」

 

 俺はインカムを通して傷病者の居場所を伝えていく。

 その俺の下では瓦礫を撤去してヘリの離発着場をつくる士傑の生徒や救護所を用意する者などがおり、俺たちより訓練を積んだことがよくわかる。

 

 俺も気を引き締めると、スタート地点から近場の傷病者の場所を伝えたので、奥の方にいる傷病者たちの居場所を知らせるために、そして指示を出すために試験会場を飛び回る。

 複数ある火災現場の一つに近くと着陸しビルに残った人たちを救出する。

 

「轟!お前もこっちを手伝ってくれ!お前ならこの炎の中でも活動できるだろう!」

 

「任せろ!」

 

「炎なら俺たちも平気だ!手伝うぜ!」

 

「力仕事なら任せろ後輩!」

 

「感謝する!」

 

 指示を出すだけでなく、自分も現場に向かい救出活動を行っていると、クラスメイトだけじゃなく、他校の生徒たちと合流して力を合わせて傷病者を救出していく。

 

「……」

 

「考え事か?」

 

「……俺が敵ならこのまま大人しくしているのかと思ってな」

 

 火災現場から救出した傷病者を救護所に運んでいる最中、試験開始から思っていたことを呟いた。

 この試験のシナリオは敵よる大規模破壊だ……それならばまだこの近くにいると想定した方がいいと思うが、まずは目の前のことに集中しよう。

 

「この人を頼む!足を瓦礫で痛めたようだが意識はハッキリしている」

 

「わかった」

 

 救護所に到着すると、近くにいる生徒に傷病者を預けると重傷者が運ばれている場所に行く。

 

「ここに回復系の【個性】持ちはいるか!」

 

「いや、いない。応急処置は施したが……」

 

「なら俺が治す!」

 

 一体化した影響か“王の瞳”は【個性】や個性因子だけでなく、宿主の状態もある程度把握できるようになっていた。

 俺は翼を広げて炎で傷を焼く。意識がある者が見てもあまり驚かないよう患部にだけに集中して炎を出し再生させていく。

 苦しむフリをする《HUC》たちは炎を通して僅かに俺の体力を譲渡したことで安らかな表情になっていく。

 

「よし次だ!」

 

 重傷者の治療が終わったので次の者達を治そうとした瞬間だった。

 

BOOOOM

 

 試験会場を囲むドームの壁が破壊され次々に周りの建物が爆発していく。

 

「お前たち敵だ!傷病者たちを避難させるぞ!」

 

 “王の瞳”でいち早く状況を理解した俺は皆に大声で叫ぶ。

 敵役として現れたのはビルボードチャート上半期10位のトッププロ《ギャングオルカ》と謎のスーツに身を包んだ戦闘員たちだ。

 

『敵が姿を現し追撃を開始!現場のヒーロー候補生は敵を制圧しつつ救助を続行して下さい』

 

「全く……一筋縄ではいかんな」

 

 俺は敵を見ながらそう呟いた。

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