キングオブキングな俺様のヒーローアカデミア   作:松田ゐふ

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第74話

 仮免試験が終わり、俺たちは雄英に戻ってきた。

 長いようで短かった夏休みは終わり、明日から二学期が始まる。

 雄英に戻ると相澤から仮免試験の総評を聞き、自由時間となった。

 とはいえ、もう日も暮れていて休む以外することもないので、俺たちは風呂に入り就寝の準備を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ひーくん!おめでとう!』

 

「母さん……喜んでくれるのは嬉しいがはしゃぎすぎだ」

 

『だってひーくんが仮免許を取ったのよ!こんなに嬉しいことなんてないわ!』

 

「結構あると思うぞ……」

 

 風呂に上がった俺は仮免を取ったことを両親に()()()()()で報告した。すると秒で電話が来て今に至る。

 母さんはとてもはしゃいだ、色々とあるので安静にして欲しいが、俺の口からそのことを伝えたくないので親父にメッセージを送る。

 

『母さん、嬉しいのはわかるけど安静にね。まだ大丈夫だとは思うけど念の為にね』

 

 俺のメッセージを見た親父が母さんに安静にするように言ってくれる。なんだかんだ言って頼れる親父で良かった。

 

『そうね……ごめんなさい。ひーくんが夢に近づいたのが嬉しくって』

 

『俺も同じ気持ちだよ。やっぱり俺たちって結ばれるべくして結ばれたんだな』

 

 前言撤回、たまに株が上がることがあってもすぐに下落する。それが俺の親父だった。

 

『もうパパったら♪』

 

 親父たちがイチャつき始めたので、俺は通話を切った。何度もでも言うが、慣れたとはいえ年頃の息子の前でイチャつかないで欲しい。

 これから新しく家族が増えるというのに、変わらないいつものやりとりに俺はため息をつく。

 新しく弟妹が産まれてくるというのに、相変わらずな両親に俺は、どうするべきか頭を抱える。

 

「俺を大事にしてくれるのはわかるが……もう少しこう距離感を考えて欲しいな」

 

「贅沢な悩みだな」

 

「あぁ……俺もそう思う……は?」

 

 両親について独り言を呟いていると、急にそれに同意する声が聞こえてきた。

 顔を上げると、目の前の机の上にフェニックスがいた。

 

「なんでお前がここに?」

 

「余もわからんが……恐らく一体化を進めた結果だろうな」

 

「だからっていきなり出てくるな。何のために念話があるのだ」

 

「余だって外に出てみたかったのだ。むしろ1人になったタイミングで出てきてやったのだから感謝せよ」

 

「感謝も何もするわけないだろうが」

 

「じゃあいいのか?お前が皆といる時に急に現れて、自分にしか見えない存在にあたふたする漫画の主人公ムーブをやらせてもいいのだぞ」

 

「長い……というか絶妙に古い作品を選んできたな……なんで知ってたんだ?」

 

「ずっとお前と感覚を共有していたからな」

 

「改めて言われると嫌だな」

 

「一応言っておくが、余はお前のデリケートなあれそれは共有しておらんからな」

 

「これからもそうしてくれ」

 

 それから俺たちはフェニックスと軽口を言い合ったり、他愛もない話に花を咲かせて過ごした。

 就寝時間も過ぎそろそろ眠ろうと布団に入ろうとした時だった。

 突然、窓の外を眺めていたフェニックスが、俺の腹の上に乗ってきた。

 

「なにをする!?」

 

「お前のクラスメイトが寮を抜け出したのが見えた」

 

「なんだと?」

 

 フェニックスからの報告にベッドから飛び出しカーテンを開けると、“王の瞳”を使い寮を抜け出した者を探す。

 

「あれか……緑谷と爆豪……」

 

「相澤とやらに報告せんのか?」

 

「……あの二人は好きにさせようと思う」

 

 緑谷と爆豪は入試の時からの付き合いだが、二人の仲はとても酷かった。入学してからも気にしていたが、一向に直る気配がない。それどころか、緑谷の成長を目にするにつれて、どんどん爆豪の態度が荒れていくのがわかった。

 

「……」

 

「恐らく爆豪からの誘いなんだろう……彼奴が意味もなくルールを破るわけがない。彼奴はみみっちいからな」

 

「では余たちは何もしないんだな」

 

「あぁ……あれは彼奴らの問題だ。俺や他の者が気安く立ち入ってはならんのだ」

 

「なるほど」

 

「それにここは雄英の中だ。厳重なシステムで守られている……すぐに相澤にも連絡は行くだろうさ」

 

 二人……特に爆豪の様子から一悶着ありそうな雰囲気を感じるが、俺は止めなかった。

 ここで爆豪を止めてしまうと、取り返しのつかないことになりそうな予感がしたからだ。

 なら好きにやらせて、満足したら相澤に怒られればいいと思い、俺は“王の瞳”を解除してカーテンを閉めると、再び布団に入り眠るのだった。

 


 

 翌朝。

 

「ケンカして」

 

「謹慎~~~!?」

 

 どうやら、緑谷と爆豪は俺が眠った後に殴り合いの喧嘩をしたらしく、相澤から謹慎を言い渡されたようだ。

 顔や腕にある絆創膏や包帯から結構激しめな喧嘩をしてのだろうことが伺える。

 だがその顔は昨日よりマシになっていた。

 なんというか、溜まっていたモヤモヤを全て吐き出したかのような清々しいものだった。

 

「緑谷……言いたいことは言えたか?」

 

「お、鳳くん……一応は言えたよ?」

 

「……なら良い」

 

 俺に怒られるかと思ったのか、緑谷はオドオドしながら質問に答える。

 

「あ、鳳くん!僕たちの謹慎が明けたらなんだけど……時間って取れたりする?」

 

「……時間は取れるが……僕たち?」

 

「色々あって……詳しいことは謹慎明けに話すよ……ごめんね」

 

「わかった空けておく」

 

「ありがとう」

 

 緑谷との話が終わると俺は皆と共に校舎に向かった。

 校舎に向かう道中、先程の緑谷の言葉が引っかかる、なぜ自分だけでなく爆豪の謹慎が明けるのを待たねばならないのか……。

 

 緑谷がわざわざ時間を空けて欲しいと言うということは、何か重要なことだろう。

 俺たちの中で重要な話で真っ先に思いつくのは、【ワン・フォー・オール】関係だろう……まさか爆豪に知られたのか?だから僕ではなく僕たちのと言ったのか?

 

「いや……今は置いておこう」

 

 余計なことを考えて、二学期以降の流れを聞き漏らしても不味いので、詳しいことは謹慎明けに聞くことにし、この後始まる始業式に集中するのだった。




完結後に予定している、鳳火鳥の反応集のコメントはいつでも募集しています。
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