キングオブキングな俺様のヒーローアカデミア   作:松田ゐふ

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第77話

 通形ミリオ対1年A組の戦いは、数分も満たないうちに腹パンを喰らい、俺と爆豪を残して全滅してしまった。

 爆豪は、岩場の上からこちらを見下ろしている。

 大方俺が戦っている間に、通形の隙や弱点などの情報を集めるのだろう。

 

「まぁ好都合か」

 

「それじゃ行くよ!」

 

 爆豪が静観するというのならば、俺は思う存分通形と戦うことが出来る。

 

 “炎鳥・棍弩朧”

 

「やはり当たらんか」

 

「そんなに近づいていいのかい?」

 

「腹パン程度で俺が倒れるとでも思っているのか?」

 

「いいや全く」

 

 俺は通形に接近し、変化した足で蹴りを放つがすり抜ける。

 通形は俺の実力が、他の者と違うことを見抜いているのか、接近した俺に腹パンはせず距離を離した。

 

「おいおい、さっきまでの勢いはどうした?」

 

「正直な話、君はやりにくいんだよね!」

 

「彼奴らとは鍛え方が違うからな!」

 

 “炎鳥・鋭弓矢”

 

「外した?」

 

 俺は通形の頭上に向かって飛ぶと、腕が変化した翼から羽を周りの地面に突き刺していく。

 通形は何をするのか考えているようだが、今の行動は攻撃ではない。

 

「隙ありだ!」

 

「そういう時、普通喋らないよね」

 

 変化させた足でかかと落としをしたが、当然避けられてしまう。

 大きな隙ができた俺を通形は見逃さない。

 腹ではなく顔を狙った拳を()で捉えて受け止める。

 

「へぇー受け止めるなんて凄いね!」

 

「この程度の拳なら止まって見えるさ」

 

「やっぱり君は違うね」

 

「かつて王を目指した……全てを救う者になる男だぞ」

 

 通形と近接戦をしながら会話をする。

 的確に俺の急所を狙う拳を回避し、こちらも攻撃し返す。

 

「俺の【個性】わかってるんだよね?」

 

「あぁ……既にこの目で看破した」

 

「何で皆に共有しなかったか聞いてもいいかな?」

 

「お前がこの戦いを通して皆に伝えようとしたことが、なんとなくわかったからな。勝手に協力しただけだ」

 

「確かに君は予測と経験が他より段違いだ」

 

「10年以上前から大人相手に組手や試合をしてきたからな。純粋な力の差や体格差……不利な状況でどうすれば勝てるのか、ずっと考えてきたからな」

 

「なるほどね!」

 

「さてと……そろそろか」

 

「ん?」

 

「くたばれ!!」

 

BOOOM!!

 

 俺たちの戦いを静観してい爆豪が、隙が出来た瞬間を見逃すはずがなく、初撃よりも火力が上がった爆破を喰らわせる。

 通形と戦っている最中に、爆豪のハンドサイン(首切りからのサムズダウン)に気づき、隙を作ったが……上手くいくかどうか。

 

「いやー危ない危ない」

 

「爆豪」

 

「わかっとるわ!」

 

 煙の中から通形の声が聞こえてきた。

 

「残念だけど俺はそっちにはいないよ!」

 

「やはりかッ」

 

「クソが!」

 

 背後からの攻撃に俺たちは咄嗟に回避する。

 通形は俺に狙いを定めて、一気に距離を詰める。

 

「君の予測と経験も凄かったけど、気が緩んだよね!」

 

 回避する際に後方に飛んだ俺は格好の的だった。

 通形の拳が鳩尾に突き刺さる。

 

「うッ!?」

 

 拳を喰らった俺はコンクリートの壁に激突し煙が舞う。

 

「次は君だよ!」

 

「ざけんな!」

 

 “閃光弾(スタングレネード)

 

「それは悪手だね」

 

「グッ!?」

 

 俺がやられたことで僅かに動揺したのか、目つぶしで距離を取ろうとした爆豪だったが、【個性】を発動した通形には意味がなく、拳を喰らい倒れてしまう。

 

「さて、これで終わりかな」

 

「ミリオ!」

 

「ん?」

 

 爆豪が倒れたことで模擬戦が終わったと、気を抜いた通形の背後から俺は全力の蹴りを放つ。

 

「不意打ちかよ」

 

「お前の十八番だろ?」

 

「言うね」

 

 蹴りを透かした通形は俺の方を向き構える。

 俺もそれにならい構えをとる。

 

「さっき腹パンしたはずだけどタフだね」

 

「お前の決め手は鳩尾だったからな……避けることが出来ないと判断して、腕をかませた」

 

「なるほど」

 

 先程の通形の拳を喰らう瞬間、腕を鳩尾に密着させることで防御し致命傷を避けたのだ。

 

「時間も惜しいし……これで最後にしようか!」

 

「あぁ……楽しい時間はすぐに過ぎていく……ならばこの一瞬を有意義なものにしなくてはな!」

 

 俺たちは同時に走り出した。

 この素晴らしいに模擬戦に相応しい最後を飾るように、互いに全力で拳を放った。

 

「うッ!?」

 

「鳳くん!」

 

 通形の拳が俺の胸を貫いた。

 まさかの光景にこの場の全員が驚き声を上げる。

 しかし、胸を貫かれた俺は揺らめくと、徐々に姿が消えていく。

 

「これで勝ったとは思わない」

 

「でも凄いよ!俺に攻撃を当てるなんて」

 

 姿が揺らめいて消えた後、そこには通形の腹に拳を当てている俺がいた。

 

 “炎鳥・変乱(ヒート・ヘロン)

 

「陽炎を利用しただけだ……」

 

「その気になった俺の負けかな」

 

「とても有意義な戦いの最後に泥を塗った俺の負けだ」

 

 クラスメイトを一方的に殴り倒した通形に、どうしても一泡吹かせたくなった俺は、最後の最後で初見殺しを使った。

 まだ誰にも見せていないどころか、今この瞬間に作った新技だ。

 

「でも俺が油断したから負けだね」

 

「それを言うなら先に1発貰った俺の負けだ」

 

「俺だって」

 

「俺がだ」

 

「引き分けでいいだろう……通形さっさとインターンについて話せ、時間は有限だ」

 

「ハハ……すみませんつい熱くなっちゃてました」

 

 相澤に怒られた通形はそう言うと、すり抜けた服を着直すと、インターンについて話し始めるのだった。

 


 

「1年生の校外活動ですが、昨日協議した結果……校長先生を始め多くの先生がやめとけという意見でした」

 

 翌日のHRで相澤から衝撃的なことを言われた。

 昨日、ビッグ3を呼んで有意義な話を聞かせてもらったのに、あんまりである。

 

「えーあんな説明会までして!?」

 

「でも全寮制になった経緯から考えたらそうなるか……」

 

「クソが」

 

 皆もインターンに参加したかったようだが、上鳴が言ったように、教師たちがまだ早いというのも理解できる。

 

「が……今の保護下方針では、強いヒーローは育たないという意見もあり、方針として『インターン受け入れの実績が多い、事務所に限り1年生の実施を許可する』という結論に至りました」

 

 HRが終わると俺は頭を抱えていた。

 俺は、仮免試験でミルコから強引なスカウトを受けた。しかし、HRで言われたインターン受け入れ実績の多い事務所が俺が頭を抱える原因になっていた。

 プロヒーローミルコは事務所を持たないヒーローとして活動している。

 当然、これまで雄英からのインターン受け入れなどしたことがないだろう。

 

「絶対文句言うよな」

 

 気分転換に外の空気を吸っていたが、ミルコのあの強引なところを考えると、絶対に面倒なことになると思う。

 まともに話を聞いてくれるか怪しいのでどうするべきか悩んでいる。

 

「……噂をすればか」

 

 ポケットに入っているスマホが震えた。

 画面を見ると、ミルコからの着信だった。

 

『インターンについて説明は聞いたな?明日から私のとこに来い!』

 

「いやそれがだな……」

 

『うるせぇ来い!』

 

 今日聞いたことを話そうとしたが、やっぱり聞く耳は持ってくれなかった。

 

「終わった」

 

 とりあえず、相澤に相談しよう。

 俺は重い足を引きづって職員室に向かうのだった。




活動報告にて、皆様の反応お待ちしております。

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