バグDバトル、ファイト!! ~正真正銘「言ったもん勝ち」カードゲーム~ 作:龍川芥/タツガワアクタ
バグで
あらゆる電子機器やプログラムの『
そんなバグDをカード化させ、絆と戦略を競う
『バグDバトルカントー大会決勝戦!
極東の島国、カントー地方の某所にて。
声援を上げる観客達の視線を一身に受けながら、巨大なドームの中心で、ふたりの少年が向かい合っていた。
互いの手に握られているのは、
手札:2枚
場 :0枚
墓地:33枚
手札:1枚
場 :0枚
墓地:35枚
観客が見守る中、向かい合う少年、その片側が動く。
「俺様のターン、ドロー!」
▶TRUN 08
山札4→3枚
「来た来た来たぁ! 行くぜ相棒――俺様は手札からRPGゲームのバグD、【電脳勇者
電脳勇者
少年――
ファンタジーの勇者ド真ん中の外見を持つ、鎧を着た人型のバグD。そのバグDが天高く手を掲げれば、聖雷が来たりて闇を裂く。
「そして。勇者の聖剣は決して壊れず、真の持ち主の元に舞い戻る――そうだよなぁ!?
『審議中……完了。
「よし、通ったァ! さあ、不壊の誓いで舞い戻り、聖なる刃で敵を討て――【電脳聖剣
バグDバトルでは、それぞれのカードに厳密な効果が記されている訳ではない。
それ故にプレイヤーはそのテキストから可能であろう効果を推測・提示し、それを審判AIが「あり」だと判断することで、提示したアイデアが実際の効果として適用されるのだ。
アイデアが認められた
勇者が掲げた腕目掛けて落雷が降り……次の瞬間には、落雷が変じたと思しき剣がその手の中に握られていた。
電脳勇者
対する
好機と笑い、
「行け、
「させるか! ボクは手札から
「なんだと!?」
だが、
相棒たるバグDを支え、時には反撃の一手となる補助用カード――手札にさえあれば相手ターンだろうといつでも使える
「【
『審議中……完了。宙斗選手の要請を承認。宙斗選手は1アクションだけ自分ターンと同じ行動を実行できます』
「よし! この奪った1秒で、ボクは自分ターンにのみ許されるバグDの
カチリ、世界の時が一瞬停止し。
星空が透けて見える不思議なマントを纏った魔術師が、時間の狭間より降臨した。魔術師は
「クロノスターシスは時間に干渉したターンのみ
「ハッ、テメエお得意の時間操作コンボを現実にはさせねえよ!」
「何!?」
勇者の行く手を阻むように現れた魔術師。だが
そう。それを発動できるのは、なにも守る側だけではない。攻撃する側も同様に、いつでも手札の
果たして、
「
『審議中……完了。両者の要請を承認。【
「よっしゃあ!」
「し、しまった……!」
電脳勇者
本来、自身の効果によりパワーを上昇させるはずだったクロノスターシス。だが
両選手の手札は共に0枚。ここに趨勢は決定した。
「これでパワーは上回った! 行け
主の命に従い、聖剣の勇者が突進し――。
一閃。
雷光を帯びた斬撃が、魔術師を杖ごと両断する。
「これでバトルに負けたテメエのクロノスターシスは破壊。そして貫通ダメージとして、パワーの差の数値……つまり5枚の
「うわあああああ――!!」
ダメージの衝撃によって、
『決まった――! バグDバトルカントー大会、優勝は
大歓声がドームを包んだ。
それらの声はドームの中心に立つ1人の少年に、勝利した
そして
そんな
「何回見てもスゲー!」
「
「こんなにバグDバトルが強いなんて、憧れます!」
教室の中、口々に騒がれる賛辞の声。
そんな賞賛を受けて、机に腰掛けていた当の本人、この学校の生徒でもある
「ハッ、当たり前だろ。俺様以上のバグD使いなんているワケねえよ、現実的になァ」
その強気の態度に、またもすげーと声が上がる。
それがここ最近の教室の日常。
バグDバトルのカントーチャンピオンとなり一躍時の人となった
ああ、けれどお決まりの流れには続きがあって。
「それに比べて、
「ああ。イマドキ『バグD』も持ってないなんて、遅れすぎだぜ」
そんな声とクスクス笑いが、今日もオレに注がれる。
そうだ。残念ながら、この物語の主人公たる『オレ』は、学校中で大人気の
言うなれば、その正反対。
「……はぁ。バグDバトルできるのがそんなに偉いのかよ、まったく」
頬杖を突き、そう呟く。
オレの名前は
この学校内で――いいや、きっとこのトーキョーの中で唯一、バグDを持ってない高校生だ。
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青い数字をタッチすることで、登場カードのテキストを素早く確認できるぞ!