バグDバトル、ファイト!! ~正真正銘「言ったもん勝ち」カードゲーム~ 作:龍川芥/タツガワアクタ
『バグDバトル』。
名の通り、バグDを用いた1対1の
それは言ってしまえば、バグDをカードとして扱うカードゲーム。
ただし他のカードゲームと違い、バグDバトルのカード、特にSカードには
つまりバグDバトルとは、プレイヤーの想像力・発想力、そしてバグDとの絆が試される、
私立
今、またひとつ新しいバグDバトルが始まった。
賭けるモノは互いが持つバグDと、互いのプライド。
ふたりの少年とその
ファイト vs
――FIGHT !!
「先行は貰う! 俺様のターン、ドロー!」
▶TRUN 01
山札:35→34枚
先行は
彼はDフォンの画面に指を置き、半実体化した
そのまま流れるように戦略を組み立てた彼は、対戦相手である
「例え相手がクソ雑魚だろうと、手加減はできねえってのが俺様絶対の現実だァ。ゆえに! 俺様は
「! いきなり高レアのドローカードを……!」
Dフォンの画面から飛び出た
「
山札:33→31枚
宣言通り、
その様子に眉根を寄せるファイト……そんな彼に対し、唐突に声がかかる。
『マスター、いきなり相手の
「うわ!? オマエどっから――」
『ココです、ココ!』
瞠目したファイトが目を向ければ……声の出どころは、彼の手札の中にある【
「マジか……カード状態でも喋れるのか、オマエ」
『はい! それよりマスター、相手はいきなり山札を3枚も減らしました。バグDバトルは
そうはしゃぐミライ……確かに、バグDバトルはバグDの攻撃によって相手の
つまり、いきなり山札を3枚失った
だが、ファイトは首を横に振った。
「……違う。有利になったのは
『え?』
説明の時間は与えられなかった。
それより早く、
「そして、当然ドローだけじゃ終わらねえ。プレイヤーは自分ターンに1度、手札からバグDを
電脳勇者
伝説の勇者に相応しい、立派な鎧と精悍な顔立ちの人型バグD。
自らの
「更に
その言葉に従い、
電脳勇者
聖剣を装備したことでバグDのパワーがアップ。
それに満足したのか、
「バグDの
手札:6枚
場 :【電脳勇者
「さあ、テメエのターンだぞファイト! さっさとDフォンからカードを引きな!」
「……ドロー」
▶TRUN 02
ファイト 手札:5→6枚
山札:35→34枚
プレイヤーはターンの初めに、山札の上からカードを1枚ドローする。これはバグDバトル絶対のルール。
もうバグDバトルは始まってしまった……ファイトは促されるままに、Dフォンからカードを引き手札に加える。
と、手札のミライがまた声を上げた。
『相手
(……今オレが持ってるバグDは
ファイトは内心で何かに言い訳しつつ、指で挟んだそのカードを翳す。
「オレはこいつを召喚する……行け、ミライ!」
『命令受諾! ミライに向かって全速全身――【
翳したカードが光を放ち……次の瞬間、フィールドに人影が出現した。
ふわり、金髪が妖精の羽めいて広がる。
スカートが可憐に翻り、ぱちりと開いた碧眼でウィンク。
華麗な決めポーズと共に、そのバグDは現れる。
「――って、パワー10じゃねえかオマエ! 『わたしも負けてません』ってのは何だったんだよ!?」
『うぐ。それはその……気合い、というか?』
「ああもう!」
強気な言葉に反して、ミライのパワーは強化された
バグDバトルにおける戦闘の勝敗は、バグDが持つパワーの大小で決まる。その数字を前に、気合など何の足しにもならない。
そんなミライを前に肩透かしをくらったのは、何も彼女の主たるファイトだけではなかった。
「なんだァ、レアなバグDかと思ったら、パワーはたったの10ぽっちか。つまんねえ現実だぜ。それとも、何か強力な効果でもあるのか?」
「くっ……」
煽るような
だが。
(テキストが、ない……!?)
ミライのカードには、パワーの数値以外のテキストが一切存在しなかった。
喋る、という
(そんなバグDありえるのか? いや、でも大丈夫だ)
とても尋常なバグDではない。
それでもファイトは冷静だった。それはミライの特性ゆえに。
「ミライ! オマエは一体何ができるバグDなんだ? オレにオマエの能力を教えてくれ」
『能力……』
そう。ミライは『喋るバグD』。つまりテキストが読めずとも、何ができるのかを直接訊いてしまえばいい。
そんなファイトの目論見は。
『す、すみませんマスター。どうやらデータ圧縮・解凍の工程に不備があったらしく……わたし、自分の能力を思い出せません……』
という、ミライの申し訳なさそうな返答によって瓦解した。
「な、なんだって――!?」
――通常、バグDはパワーの他にテキストを持ち、それに沿った効果を使う事でバトルを有利に進めることができる。テキストによっては、パワーの低いバグDがパワーの高いバグDに勝利を収めることも可能だ。
だが「
そんなファイトの焦燥を感じ取ったか、正面の
「ハッ。ファイト、今までバグDを持ってなかったテメエが、急にバグDを使いこなせるワケねえんだよ、現実的になぁ! 何も無いなら俺様のターンだ、ドロー!」
▶TRUN 03
山札:31→30枚
チラリ、と
(俺様の手札にはもう1体バグDが居るが、ファイト程度、コイツを出すまでもねえ現実だろう。ならここは……)
その視線はすぐに正面に向けられた。即ち、動揺する
「相手の
電脳勇者
この攻撃が通れば、パワーで劣るミライは破壊され、更にオレはその数値の差ぶんのライフ……つまり10枚の山札を
聖剣を手に飛び掛かる勇者――そんな脅威を前に、ミライが自分の危機を悟る。
『わわっ、ちょっと待って――』
だが、ファイトもそれを黙って見てはいない。
「オマエの好きにさせてたまるか、
ファイトが
瞬間、現れた半透明の鎖がミライを取り囲んだ。けれどそれはミライへの攻撃ではない。
長い鎖は球の形を作ってミライの全身をすっぽりと覆い、更に出現した錠前によって空中に固定。勇者の刃からミライを守る盾となった。
聖剣による大上段の降り下ろし――その斬撃軌道上に現れた鎖と錠前の防壁は、与えられた不壊の特性で刃が降り下ろされるのを拒む。
それは、己のバグDを守るファイトの一手。
このままなら斬撃は鎖に弾かれ、
だが。
手札から
「いいや残念、させて貰うぜ好き勝手ェ!
同時、
そのまま斬撃は、青ざめた顔のミライを襲う――。
「くっ、ならこのカード、【
「そいつも無駄なのが現実さァ!
「なに――!?」
ファイトと
鎖錠も超え。距離も超え。
様々な障害を乗り越え、聖なる刃がついにミライの体を切り裂く――。
「(もうオレの手札に攻撃を止められるSカードは無い――) くそ、ミライ!」
『ひええ、マスター!』
ミライが思わず目を瞑る。
ファイトが悲壮にミライの名を呼ぶ。
だがそれは、完全に打つ手がなくなったということを意味しない。彼の手にはもう1枚、最後の抵抗のためのカードが握られていたのだから。
「悪い、攻撃は止めれない! けど――発動、
聖剣の斬撃がミライの体を袈裟に切り裂く――。
が、目を開けたミライの体に一切の傷はなかった。それはファイトの発動した
それでも、
「だが、ソレはダメージを受けるってコトだよなぁ、ファイト! ならテメエの命たる
「くっ……」
ゴウッ! とファイトの体を暴風が叩く。その風に煽られるように、ファイトの山札の上からカードが10枚吹き飛び、
ファイト 山札:34→24枚
風が止み、ダメージにファイトが片膝を突く。
その様子に、振り向いたミライは顔を青くした。
『マスター、わたしを庇ったせいでダメージを……!』
「――ハッ、ド素人の割には
現実を突き付けるような
(くそ、強い! ほとんどミライの奴が自動生成した初見のSカードたちとはいえ、手札を3枚も使って防ぎきれなかった……!)
ファイト
最初のドローで3枚の
しかし、今の残り
その現実を前に、ミライは呆然と呟く。
『い、一瞬でデッキ枚数が逆転……』
何故こうなってしまったのか。
その回答は、立ち上がるファイトから齎された。
「そうだ、アイツの狙いはこれだったんだ、ミライ。最初にバグDバトルの命たるデッキを削ってまで手札を増やしたのは、攻撃の手数を増やす為……」
『そんな……それじゃあ最初のターン、わたしはただのぬか喜びを……!』
過去の自分の浅はかさを恥じるミライに対し、思惑が現実となった
「そう言うコトだ、ファイト! いつでも何枚でもSカードを使えるバグDバトルでは、手札の数がモノを言う! つまり今現状、
ファイト 手札:2枚
手札枚数、2対5。
つまり
単純な数字の差が、
「……これがカントーチャンピオン、
改めて、ファイトとミライは敵の力量を理解した。
今や彼等が