バグDバトル、ファイト!! ~正真正銘「言ったもん勝ち」カードゲーム~   作:龍川芥/タツガワアクタ

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⑦ファイト逆転!? ミライに賭けた大博打

 ▶TRUN 03

 

 理或(リアル)   山札(ライフ):30枚

      手札:5枚

      場 :【電脳勇者AAAA(オールエー)】ATK 20↑

 

 ファイト 山札(ライフ):24枚

      手札:2枚

      場 :【o-BUG(オーバーグ)ミライ】ATK 10

 

 

 遂に始まったファイトと理或(リアル)のバグDバトル。

 理或(リアル)の2ターン目を終えた現在、趨勢はかなり理或(リアル)の方に傾いていると言えた。

 

 手札の数もバグDのパワーも理或(リアル)の方が勝っている。

 おまけにファイトのバグDであるミライには、効果を使う為のテキストがない。

 

 苦しい状況の中、ファイトの2ターン目が始まる。

 

「くっ……オレのターン、ドロー……!」

 

 ▶TRUN 04

 ファイト 手札:2→3枚

      山札:24→23枚

 

 ファイトはドローした手札を確認する……だが、その顔は険しいままだった。

 

理或(リアル)のバグD、AAAA(オールエー)のパワーは20。それに対して、こっちのミライはパワー10。このまま何もせずターンを返せば、再びミライが攻撃される厳しい状況……けど、オレの手札にこの状況を覆せるカードも、次の攻撃を耐えるためのカードすらない。なら、ここはリスクを承知で――)

 

 少しの逡巡の後、ファイトは手札からそのカードを発動した。

 

「オレはS(サポート)カード流行求めし回転札(タイムライン・リロードロー)*1、発動。手札のSカードを全て墓地(トラッシュ)へ送り、手札の枚数が発動前と同じになるようドローする……!」

(手札交換……ハッ、どうやら状況を打開するためのカードが欲しい現実らしい、が!)

『ドローの代償に、更にマスターの山札(ライフ)が減ってしまいます……!』

 

 ファイト 手札:3→3枚(交換)

      山札:23→20枚

 

 ファイトの手札が全て墓地(トラッシュ)に消え、同じ枚数を山札からドローする。

 有効な手札を引き込むための行動……けれど、それは(ライフ)たる山札を自ら削ることでもある。

 不利状況での更なるリスクに思わず声を上げたミライに対し、ファイトは諫めるように言った。

 

「承知の上だ。今は多少の山札(ライフ)より、有用なカードの方が必要!」

『わ、わかってますよぅ。よりよいミライの為、なんですよね!』

 

 ミライも少し前の説明で、バグDバトルにおける手札の重要さを理解している。

 今のドローで有効なカードが手札に入れば、苦境を覆せるかもしれないのだから。

 だが、故にこそ――それを黙って見過ごす理或(リアル)では、カントーチャンピオンではなかった。

 

「テメエのS(サポート)カードの効果が適用されたこの瞬間! 俺様はS(サポート)カード禁忌作戦:物質透視(ウォールハック・グリッチ)*2発動! ファイト、テメエの新しい手札を透視してやる!」

「な、なんだと……!?」

 

 理或(リアル)の発動したS(サポート)カードの効果により、ファイトの手札は半透明となり裏面からその内容を覗けるようになってしまった。

 

『マ、マスターどうしましょう、わたしたちの手札がスケスケに……これじゃせっかく新調した手の内が丸見えです……!』

「──」

(クク、文字が裏返ってるから細かい部分は見れねえが……思った通り、3枚全部Sカードだなぁ。恐らく、奴の持つバグDは【o-BUG(オーバーグ)ミライ】1体のみ……そして手札のカードの名前は、【大炎上!】、【渾身の一投】、【自演工作:水増し編】、か? この中だと【大炎上!】が厄介そうだ。『大』とつくほどの炎に包まれれば、俺様のAAAA(オールエー)のパワーが下がったり破壊されたりという厄介な現実になりかねねえ。そして今の俺様の手札には、それに対する対策カードもねえ……が!)

 

 透視によって敵の手札の大まかな内容を把握した理或(リアル)は、その情報を元に再び動いた。

 

代償問わずの補給令(コラテラルドロー)*3、発動! デッキの上から10枚のカードを墓地に送り、その後2枚ドローする! これで更に手札を増やし、テメエを追い詰めるって現実よぉ!」

「! 更に手札を……!」

 

 理或(リアル) 残り山札(ライフ):30→18枚

    手札:3→5枚

 

 理或(リアル)の山札から10枚が墓地(トラッシュ)に消え、更に2枚がドローされる。

 その様子を前に、ミライは驚愕の声を漏らした。

 

『ま、また相手の手札が増えました! でも、その為に山札(ライフ)を自分から12枚も……!?』

「……ああ。かなりリスクのあるドローだが、ちっとも迷いが見えなかった。つまり、オレたちは舐められてるんだ」

『うぅ……ごめんなさいマスター、わたしが役立たずなばっかりに……』

「違うぜミライ、バグDバトルの勝敗はバグDの性能だけで決まる訳じゃない……押されてるのはオレらふたりの責任だ」

 

 そう言うファイトの推測は当たっていた。山札(ライフ)の枚数を逆転される形になったというのに、理或(リアル)は一層笑みを深くするのみ。

 

(多少山札(ライフ)を失ったが、どうせファイトと雑魚バグDのコンビ程度に俺様のAAAA(オールエー)は倒せねえってのが現実だ、問題はねえ。それに……来たぜ! 奴の『炎』を潰す為の、絶好の対策カードがよぉ!)

 

 理或(リアル)は今引き込んだばかりのカードを見てほくそ笑む。

 そんな彼に対し、ファイトは効果で透けた己の手札3枚を見ながらただ静かに思考に耽る。

 

(このバトル、勝てる可能性は万に一つ──)

 

 もし、理或(リアル)が透視した()()()()()を警戒しているのなら。

 その対策(カード)を引き込むためにリスクを承知でドローしたのなら。

 万に一つだが……万に一つだけなら、勝機はある。

 だから。

 

「……このターン、オレはバグDで攻撃しない。ターン、エンドだ」

『そんなっ、マスター!?』

「ハッ、ようやく分かったか現実が! 俺様のターン、ドロー!」

 

 予想外の言葉にミライの動揺が落ち着くのも待たず、理或(リアル)が威勢よくカードを引き抜く。

 

 ▶TRUN 05

 理或(リアル) 手札:5→6枚

    山札:18→17枚

 

 結局、AAAA(オールエー)とミライのパワー差は縮まらなかった。

 ゆえに、理或(リアル)が取る選択は単純明快。

 

「再び聖剣の輝きを見せろAAAA(オールエー)、ファイトの雑魚バグDに攻撃だ──!」

 

 電脳勇者AAAA(オールエー):ATK 20

 o-BUG(オーバーグ)ミライ:ATK 10

 

 理或(リアル)、再びの攻撃宣言。

 その命令を受け、勇者が聖剣を手に再度突進を仕掛けて来る。

 先程はファイトが身を挺して庇う事でミライは破壊を免れたが、今回は果たして。

 

 ファイト 手札:3枚

 

(来た――コレに賭けるしかない!)

 

 内心で叫び、ファイトは手札からそのカードを発動した。

 

「この瞬間、オレは手札からS(サポート)カード大炎上(バズバーン)!】を発動! これによって理或(リアル)、オマエの【電脳勇者AAAA(オールエー)】を『炎上』させ、そのパワーをダウンさせる!」

 

 発動されたのはAAAA(オールエー)に対する妨害カード。虚空より現れた赤い炎が、突進する勇者の全身を包み込む。

 だが、理或(リアル)はそれを読んでいた。

 

「ハッ、さっきテメエの手札を見たのを忘れたかファイトォ、そのカードへの対策札は持ってるから攻撃してんだよぉ! 俺様は耐火藥A(クーラーポーション・アメイジング)*4を発動、これを飲んだバグDは1ターン炎への完全な耐性を得る! コレで【大炎上!(バズバーン)】は不発だァ!」

 

 理或(リアル)が叫び、現れた【耐火藥A(クーラーポーション・アメイジング)】が勇者の体に吸い込まれ。

 見れば、AAAA(オールエー)は炎に包まれながら平然としていた。耐火の薬の効果なのか、赤く猛る炎はその肌を焼き焦がせず、その歩は微塵も緩まずにいる。

 

 【大炎上(バズバーン)!】によるパワー低下が不発となれば、ミライがバトルに勝つことは絶望的。理或(リアル)が計算通りと口の端を吊り上げ、己の窮地を悟ったミライが頭を抱え。

 そして、拓条(たくじょう)ファイトは――。

 

「――いいや、それはどうかな、だぜ!」

「何ィ!?」

 

 死域で掴んだ『万に一つの可能性』に、笑った。

 

 それは紛れもなく賭け、それも分の悪い賭けだった。

 理或(リアル)が【大炎上(バズバーン)!】を()()()()()()()S()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()など。

 だが、ここに条件は全てクリアされた――そう、ファイトは己の幸運に感謝する。

 

 何故ならば。

 

「【大炎上(バズバーン)!】は相手を高熱の炎で燃やすカードじゃない……ここで言う『炎上』とは()()()()()()()()、つまり()()()()()()()()()()()だ! 高熱への耐性を得る【耐火藥A(クーラーポーション・アメイジング)】じゃあ、この『炎上』は防げない!」

「な――なんだとォ……ッ!?」

 

 そうだ。AAAA(オールエー)を包んだ赤い炎は、初めから燃焼を引き起こすものではなかった。

 その赤い炎の正体とは、インターネットにおける『炎上』の炎。

 物理的熱を持たぬまま人の心を焼き焦がす、正義にして悪罵たる電脳の火刑(ぐれん)である――。

 

「そして! 少女(ミライ)への暴力行為という悪評で『炎上』した勇者を、果たして聖剣が認めるかな!?」

 

 まるで、ファイトの言葉が現実となるかのように。

 『炎上』の炎に包まれながらも、今にも斬りかかろうとしていた電脳の勇者――その手から聖剣がすっぽ抜けた。否、それは剣自身が主を見放し、生物めいて手中から跳躍したかのようで。

 ともあれ聖剣を失った勇者のパワーが、元の数値まで低下する。

 

 電脳勇者AAAA(オールエー):ATK 20→15

 

「バカな……! 聖剣が、AAAA(オールエー)の手を弾いただと――!?」

「これで装備状態は解除、上昇していたAAAA(オールエー)のパワーが元に戻った上で、更に大炎上!(バズバーン)*5の効果が適用されパワーダウン!」

 

 赤い炎が揺らめく人影の姿を取り、勇者を取り囲んで非難を始める。

 吹き荒れる誹謗中傷・罵詈雑言の嵐。囂々と燃え盛るは悪評の火。それに苛まれ、攻撃しようとしたAAAA(オールエー)の足取りが鈍る。

 

 電脳勇者AAAA(オールエー):ATK 15→10

 

 【大炎上!(バズバーン)】の効果によるパワーダウン――しかし、それでファイトは満足しない。

 彼は強運で引き寄せた流れのままに、更なるS(サポート)カードを発動する。

 

「そして神山(かみやま)理或(リアル)、オマエはこのカードも透視して(みて)いたよな! S(サポート)カード発動、渾身の一投(オールイン・ポスト)*6!」

 

 敵のバグDのパワーを下げたファイトが次に狙うのは、当然――自分のバグD、つまりミライのパワーアップ。

 

「このカードの効果で、デッキから好きなカード1枚を墓地(トラッシュ)に送る! そして選んだカードの魅力(バズり)度によって、1ターンのあいだ自分のバグD1体のパワーをアップさせる! オレが選ぶのはS(サポート)カード【華麗なる複製(パーフェクト・ツインズ)】! なんでも見事に複製しちまうこのカードなら、それなりにバズってくれるハズ!」

 

 その言葉を審判(ジャッジ)AIが承認したのか。

 発動されたS(サポート)カードから数多のハート型の光が飛び出し、それがミライの全身を覆って輝きを放つ。

 

『わわっ、なんだか力が溢れてきます!?』

 

 o-BUG(オーバーグ)ミライ:ATK 10→15

 

 その変化に、理或(リアル)は瞠目しファイトはガッツポーズした。

 

「ま、まさかコレは――!」

「そうだ、これで聖剣を失い『炎上』したAAAA(オールエー)のパワーを、ミライのパワーが上回った!」

 

 電脳勇者AAAA(オールエー):ATK 10↓

 o-BUG(オーバーグ)ミライ:ATK 15↑

 

 ここに来て、遂に両者の力関係が入れ替わって。

 そしてバグDバトルでは、一度命じたバグDの攻撃を中断できない――。

 

「返り討ちだ、ミライ!」

『は――はいっ! マスターが切り拓いてくれた未来、この名に懸けて無駄にはしませんっ!』

 

 聖剣を失い、『炎上』しながらも歩みを止めない勇者を迎え撃つのは、むんと気合いを入れ直したミライ。

 彼女が両手を前に突き出せば、両の掌の先に現れるのは四角い光。

 メールアイコンを模したそれは、質量を持たぬ光であると同時に敵を貫く砲弾であり。

 その両の手は砲身、その意志は火薬。

 果たして引き金(トリガー)を引くように、桜色の唇が開く。

 

『行きますよぅ! これがわたしの、希望☆流星(ミライ☆ドライブ)――!!』

 

 閃光、発射――。

 ミライが叫ぶと同時、流星と化した光弾が放たれ。

 空気に軌跡を刻みながら駆ける砲弾が、迫り来る勇者の胴を貫いた。

 

『――』

 

 ミライと違い喋れないそのバグDは、自身を貫いた衝撃に声にならない呻きのみを漏らし。

 ぶわん、と。

 無力な光の塊になって、主たる理或(リアル)のDフォンの中に吸い込まれて行った。

 つまり、これは――。

 

 【電脳勇者AAAA(オールエー)】、破壊。

 そして攻撃力の差ぶんのダメージを、主たる理或(リアル)山札(ライフ)が受ける――。

 

「――!」

 

 理或(リアル)   山札(ライフ):17→12枚

      手札:6→5枚

      場 :なし

 

 ファイト 山札(ライフ):19枚

      手札:3→1枚

      場 :【o-BUG(オーバーグ)ミライ】ATK 15↑

 

 墓地(トラッシュ)に散る5枚の山札。理或(リアル)の体を襲うダメージの衝撃。

 反射的に衝撃に耐えながら、けれど理或(リアル)は殆ど呆然と言葉を溢す。

 

「バカな……コレは現実か……? 俺様の相棒(オールエー)が、バグDも持ってなかったファイトの奴に、敗れたってのか……?」

 

 がら空きになった自身の(フィールド)を……予想だにしなかった現実を受け止めきれぬ、という様子の理或(リアル)

 そんな彼とは対照的に、ミライは予想外の出来事に――攻撃を耐えるどころか返り討ちにした大戦果に驚愕と歓喜の声を上げる。

 

『ポンコツなわたしが、あの勇者さんに勝っちゃうなんて……マスター、アナタのバグDバトルの腕前はカントーチャンピオンと互角、あるいはそれ以上です! 超凄いです見直しました!』

「『見直した』って……今までなんだと思ってたんだよ……」

 

 微妙に失礼なミライの賛辞に対し、ファイトが呆れたように呟く。

 それでもミライの感動は本物であった。

 ほとんど博打とはいえ、バグDバトルのカントーチャンピオンに対し競り勝ったファイトの力は、それこそ予想外のもので。

 

『でも……だからこそこれほどの技術、一夕一朝で身につけられるものとは思えません。どうして昨日までバグDを持っていなかったマスターが、これほどのバトルの腕前を……?』

「……まあ、色々あんだよ。それより集中しろ、ミライ。まだ相手の山札(ライフ)がゼロになったワケじゃない――」

 

 問いへの答えはあくまで濁し。

 続いた戒めるような言葉は、けれど半ば自戒であった。

 なにせファイトの内心でも、「賭けに勝った」という高揚と、顔を覗かせた勝機への興奮とが炎めいて渦巻いていたのだから。

 

 そう、今はまだ理或(リアル)のターン。もし理或(リアル)がこのままターンエンドすれば、次のターン、ファイトはがら空きのフィールドをミライに攻撃させることができる。そこまでがファイトの計算……自分のターンに攻撃を仕掛けなかったのは、AAAA(オールエー)を撃破した上でのターン獲得→速攻追撃という状況を、逆転の可能性を掴み取る為。

 ただ、それ以前に理或(リアル)の相棒たるAAAA(オールエー)を撃破できたこと自体も非常に大きいだろう。更に山札(ライフ)の残り枚数も逆転した。これで万に一つだった勝率は、殆ど五分まで上がったと見ていい、とファイトは確信する。

 

 苦難の末、ようやく見えた勝機。

 これを掴んで離すまいとファイトは気合いを入れ直して――。

 

 けれど。

 そんな心を打ち据えるように、怒号めいた叫びが響いた。

 

「――調子に乗るなよファイトォ!」

 

 神山(かみやま)理或(リアル)

 相棒(バグD)を撃破された彼の目が、憤怒を宿してファイトを睨む。

 ぶるり、ファイトとミライの体が震えた。

 おかしい……バグDを(フィールド)から失ったというのに、理或(リアル)の放つ圧が、迫力がどんどんと増していく……!?

 

AAAA(オールエー)が敗れた所で、俺様が負けたワケじゃねえ! 現実はそう甘くねえんだよぉ……そうだ、テメエはAAAA(オールエー)を突破するために持てる力の全てを使った! 俺様の相棒はAAAA(オールエー)って有名な話だろうしなぁ、俺様の最強のバグDがAAAA(オールエー)だと思い込むのも無理はねえ! だが……ソイツが現実じゃねえとしたら、テメエの『未来』とやらは消え失せるよなぁ!」

 

 叫んで、理或(リアル)は手札の1枚に指をかけた。

 

「【電脳勇者AAAA(オールエー)】が破壊されたその瞬間、俺様の手札から召喚できる特殊なバグDが居る!」

「な、なんだと……!?」

「ファイト、テメエの未来は、現実は絶望一択だ! カントーチャンピオンの俺様に勝つなど、ありえねえんだよ現実的にぃ!」

 

 激昂しながら言い放ち――理或(リアル)はそのカードを全力で虚空に叩き付けた。

 瞬間、そのカードから膨大な闇が噴出し、世界を黒一色に染め上げていく。

 

「!?」

『そんな……このパワー、さっきの勇者さんよりずっと上……!?』

 

 ギン、と暗黒の中から赤い双眸が瞬き。

 怒りによって凶相を作った理或(リアル)が、2体目の相棒(バグD)の名を叫ぶ。

 

「さあ、不快な雑魚を叩き潰せ! RPGラスボスのバグDにして俺様の真の相棒、【電脳魔王Z(ゼット)エンド】――ォ!!」

 

 そうして、虚空よりバグDが現れ――。

 

 ずん、と地が揺れた。

 巨木めいた太さの、地に牙を突き立てる双竜めいた脚だった。

 ばさり、黒が翻った。

 それだけで周囲を夜にする、闇そのものであるかのような黒衣だった。

 ずあ、と圧が奔った。

 腕のひと振りで、凶眼のひと睨みで、全てを平伏させてしまいそうな存在感だった。

 

 びしゃり、降る雷霆の色さえ黒。

 不吉極まる後光を背負いながら、そのバグDは咆哮する。

 

『オオオオオオオ――――!!』

 

 電脳魔王Z(ゼット)エンド:ATK 30*7

 

 顕現せしは巨躯の魔王。

 未来を絶望の色に染める巨悪(ラスボス)が、今、ファイトたちの前に立ちはだかる――!

*1
S / Sカードを好きな枚数墓地に送り、発動前の数と同じになるよう補充する。――最新情報、お届けします!

*2
S / とある世界の法則、物体を透視する現象を現実に再現するコマンド。乱用すれば世界線の崩壊を招くと言われている。

*3
S / 代償として、デッキの上からカードを10枚墓地に送って発動。カードを2枚ドローする。他に釣り合う代償が用意できれば、それで代用してもよい。

*4
S / 一定時間強力な熱耐性を得られるポーション、その試作版。一口飲めばどんな溶岩地帯もへっちゃらになる。とあるゲームのアイテムが現実世界に再現されたもの。

*5
S / バグDなど対象1体の悪評を流布し『炎上』させる。炎上した対象は基本的にパワーがダウンする。対象に問題があればあるほど効果は大きくなる。――燃え尽きるほどバーニング、です!

*6
S / 山札からカードを1枚選んで墓地に送り、そのカードの魅力の分だけバグD1体のパワーをアップさせる。パワーアップさせるバグDが素でバズれそうなら、カードを墓地に送らなくても発動できる。――みんなのエールを力に変えます!

*7
バグD / ATK 30 / 世界を絶望で染め上げた性格最悪の大魔王という設定を持つ、RPGゲームのラスボスから発生したバグD。普通に召喚することはできず、世を照らす希望が翳ったときにのみ顕現し地平を絶望の闇で閉ざす。全ての武術・魔法を使いこなすことができるが、力が強大過ぎるため制御は難しい。

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