継国の娘   作:毎日読書

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小説投稿初めての初心者です。よろしくお願いします。


戦国時代
プロローグ


 突然だが、俺は死んだ。もはや、愚痴になってしまうだろうが、言わせてくれ。俺は確かに死んだはずだ。

 

 地球温暖化が進み、40℃が当たり前のようになった8月の中旬に俺はゲームをしていた。ただし、節約だとか言って、エアコンのついていないサウナのような部屋でだ。俺はそこでおそらく熱中症になったのだろう、意識が朦朧としてきて、倒れた。そして、三途の川っぽいものを渡った。ここまでは覚えている。

 

 なのに、気が付いたら、赤ん坊になっていた。

 

 しかし、いわゆる転生した当初は動揺していたが、様々なファンタジー小説を読んできた俺は、少しの時間で転生したことを理解できた。というか、赤ん坊の体はすぐに眠くなるため、長い時間頭を働かせる程の体力がなかった。そのため、動揺が長くは続けられなかったというのが正しいのかもしれない。

 

 

 ***

 

 

 そんなことは置いといて、俺は3歳になった。体が俺の思考に耐えられる程、成長したのだ。これまでは、一日のほとんどを寝て過ごす日々であったから、あっという間だった。

 

 生まれてからの3年間は、寝ることか聞き耳を立てることかをただただしていた。その中で、俺は2つ重大なことに気が付いてしまった。

 

 

 1つ目は、俺は 女 であった。つまり、TSだ!

 前世は男であった身からすると、少し、いやかなり複雑だが、これはまだいい。

 

 2つ目がもっとやばいのだが、俺が生まれたのは 継国家 であったのだ。つまり、この世界は『鬼滅の刃』であることがおそらく確定した。

 

 

 『鬼滅の刃』についての説明は今更しなくても十分だろう。単行本の発行部数が2億を超えたあの鬼滅だ。

 

 生まれたときから聞こえてくる言葉遣いや周囲の人の服装から、俺が転生した時代が現代から遥かに遠い過去であることはわかっていた。それでも、転生先が『鬼滅の刃』であることにはかなり絶望した。なぜなら、常人では鬼に勝てず、食われるのに、そんな鬼が鬼舞辻無惨によって大量に量産され、日本中にいるからだ。

 

 けれども、まだ希望はあった。それは、継国縁壱の存在だ。継国縁壱は、作中最強の人物だ。それに、呼吸の開祖でもある。彼に全集中の呼吸を教わり、幼い頃から鍛えていけば、鬼が相手でも生き残れると思っていた。

 

 周囲の人の話から、父親が失踪していることと兄がいることがわかっていた。話では、兄は一人しかいないようだが、作中で縁壱は痣があることから冷遇されていた。だからこそ、縁壱のことは秘匿されているだけで、兄は2人いて、噂の兄は継国巌勝であるのだと信じていた。

 

 なのに、今日会いに来た兄は巌勝ではなかった。つい、動揺してしまい、巌勝の名を出すと、兄は言った。その名は私たちを捨てた父の名だ、と。

 

 俺は放心した。俺は、継国巌勝の娘であった。この事実は受け入れがたいものであった。

 

 それでも、俺は巌勝の、後に上弦の壱となる男の、娘として生きていく覚悟を決めるしかなかったのだった。

 

 それからというもの、俺は日々、己の運命と向き合い続けていた。

 

 3歳になったばかりの俺にとって、鬼や剣士の世界はまだ実感の湧かないものだったが、それでも確かな恐怖は心の奥底に巣食っていた。鬼――それは夜に現れ、人を喰らう怪物。この世界では、それが現実として存在している。俺の知るフィクションは、もはやこの身に迫るリアルになっていた。

 

 

 けれど、考えてみれば――俺が継国巌勝の娘であることは絶望でもあり、希望でもあった。なぜなら、継国の才能は素晴らしい。このことは、遥か遠い子孫である時透無一郎が証明している。それに、”継国巌勝の子供”は原作で細かく描かれていない。であれば、俺の未来はまだ決定していないということだ。

 

 そう考えた瞬間、俺の中に一つの思いが生まれた。

 

 

 ――強くなって変えてやる、この世界を。

 

 

 元の世界で何もできず、熱中症で情けなく倒れて死んだ俺が、この地獄のような世界で何ができるのかはわからない。だが、せめて自分の運命くらい、自分で握りたい。たとえこの身が女子であっても、継国巌勝の娘であっても。

 

 

 ***

 

 

 5歳になった。体もずいぶんと動くようになった。字も読めるし、書ける。周囲に知識を悟られぬように、馬鹿な子どもを演じながら、俺は少しずつ鍛錬を始めた。

 

 まずは、呼吸だ。

 

 全集中の呼吸――これこそ、鬼に対抗するために人間が使える唯一の術だ。もちろん、縁壱のような天賦の才は俺にはない。だが、知識ならある。俺はあの世界を隅々まで読み込んでいたファンの一人だった。呼吸の原理、痣の発現、赫刀、透き通る世界。全ては記憶の中にある。

 

 けれど、知っているからといって、できるとは限らない。

 

 筋肉痛に泣き、転び、擦り傷をつけ、時には吐きながら、それでも俺は毎日、呼吸の練習と素振りを繰り返した。幼児の筋力では思うようには動けない。それでも、必ず「戦える体」になっていなければならない。でなければ、鬼に食われて死ぬ。

 

 俺が生まれた時点がいつなのかは、まだ正確にはわからない。だが、縁壱がまだ生きているなら、彼に会わねばならない。会って、教えを請い、俺もまた鬼を殺す剣士になる。

 

 俺は継国巌勝の娘だ。おそらく、たぶん、きっと才能はある。この肉体の才能を信じて、刀を持ち、強くなる。

 

 死にたくない。だから、強くなる。

 そう、俺はもう決めたんだ。

 

 この物語は、『鬼滅の刃』の裏で語られなかった――“継国巌勝の娘”による抗いの物語だ。




思ったより、筆が乗ったので、短編から連載(連載中)に変更しました。(9月2日)

一日一話を目標に頑張りますので、よろしくお願いします。
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