継国の娘   作:毎日読書

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村田さん、登場!!

ちなみに、サイコロステーキ先輩はその名前に相応しい末路だったということで。
つまり、原作と同じです。


蝶屋敷

 悶え苦しんだり、何かを決意したりと、僕はそれなりに元気だったけれど、かまぼこ隊の三人はわりと重症だった。

 いくら呼吸の練度が高くても、実戦経験の少なさが響いたらしい。

 

 炭治郎は痛みに耐えまくっていた。

 善逸は一人で「薬飲んだっけ!?」と騒ぎまくっていた。

 伊之助は「ゴメンネ、弱クテ」と落ち込みまくっていた。

 禰豆子は、ただひたすら寝まくっていた。

 

 そして僕は、弱気になっている伊之助も“あり”だなと思いながら、じっと眺めまくっていた。

 

 炭治郎と善逸は、落ち込む伊之助を励ましまくっていたけれど、僕はもう少し見ていたいな、という気持ちだった。

 

 そんな日々を過ごしていたある日、あのサラサラ髪の村田さんがやってきた。

 どうやら、僕が守った隊の中に村田さんがいたらしく、隊を代表してお礼に来たらしい。

 

 正直言って、あの場で隊の人たちを守ったのは、「目の前で人が死ぬのを見捨てるのはよくない」と思ったからでもある。でも一番の理由は、かまぼこ隊の三人に経験を積ませるために、僕が鬼を狩らない理由としてちょうど良かったからだ。

 

 だから、村田さんのお礼を素直に受け取るのは少し気まずかった。

 とりあえずお礼を受け取って、いったん席を外した。

 少しして部屋に戻ると、村田さんは炭治郎とすっかり打ち解けていた。

 どうやら、聞き上手な炭治郎に、いろいろと愚痴をこぼしているようだった。

 

 ぐち、ぐち、ぐち、ぐち、ぐち、ぐち、ぐち、ぐち……

 村田さん、相当ストレスが溜まっていたらしい。

 

 そんな村田さんだったが、蟲柱のしのぶさんがやってくると、すぐさま帰っていった。

 

 しのぶさんは、かまぼこ隊の元気な様子を見て、

 

 「では、そろそろ機能回復訓練に入りましょうか」

 

 と宣言した。

 そして僕には、笑顔で、

 

 「元気なのですから、任務に行ってはどうですか」

 

 と言ってきた。

 

 その笑顔が、怖かった。

 

 だから僕は、少し蝶屋敷を離れることにした。

 確かに、怪我人でもないのに、蝶屋敷に居すぎたかなと、ちょっと反省した。

 

 ***

 

 およそ二週間ほど蝶屋敷を離れていた。

 そろそろ大丈夫かな、と思って様子を見に戻ってみると、かまぼこ隊の三人はすっかり全快していた。

 

 機能回復訓練はすでに終わっていて、しかも「全集中の呼吸・常中」まで身につけていた。

 原作ではもう少し苦戦していた気がするんだけど……僕がこれまで教えてきた成果だと思えば、ちょっと鼻が高くなる。

 

 もう任務にも行けるんじゃないかと思ったが、炭治郎と伊之助は那田蜘蛛山で刀を折ってしまったらしく、新しい刀が届くのは半月ほど先になるらしい。

 

 それまでは蝶屋敷で三人そろって鍛錬を続けるとのこと。

 特に炭治郎は、手紙で言われた「日の呼吸」、つまりヒノカミ神楽の鍛錬に熱心に取り組んでいた。

 

 その様子を見て、僕は三人を本格的に鍛えてみようと決めた。

 とりあえず、半月間でどこまで強くなるか——楽しみだ。

 

 ***

 

 朝の空気は澄んでいて、山の匂いが鼻をくすぐった。

 蝶屋敷の庭に三人を呼び出すと、炭治郎はすでに気合十分。善逸は「え、今日もやるの!?」と泣きそうな顔・伊之助は「オレ、昨日より強くなってる気がする!」と謎の自信をみなぎらせていた。

 

 「じゃあ今日は、反応速度と持久力を鍛えるよ」と僕が言うと、善逸が小さく「死ぬ…」とつぶやいた。

 

 まずは、僕が放った木の札を空中で斬る訓練。

 札は不規則に飛ぶよう細工してある。炭治郎は集中し、伊之助は野生の勘で追い、善逸は泣きながらも雷のような瞬発力で対応していた。

 

 次は、呼吸の持続を意識した走り込み。

 庭を何周も走る三人に、僕は「全集中、切らすなよー」と声をかける。炭治郎は真面目に頷き、伊之助は「全集中って何回言えばいいんだ!」と叫び、善逸は「もう全集中じゃなくて全身崩壊なんだけど!?」と叫んでいた。

 

 休憩中、炭治郎がヒノカミ神楽の型を試していた。

 その動きはまだぎこちないけれど、炎のような気配が確かに漂っていた。僕は少しだけ近づいて、「その型、もう少し腰を落としてみて」と助言すると、炭治郎は目を輝かせて「ありがとうございます!」と頭を下げた。

 

 伊之助は木に登って逆さになりながら「オレの獣の呼吸、もっと獣っぽくできないかな!」と叫び、善逸はその下で「落ちるよ!?やめてよ!?」と叫んでいた。

 

 そんな感じで三日が過ぎ、三日間の鍛錬を経て、三人の体の仕上がり具合がだいたい分かってきた。

 炭治郎は持久力と集中力が抜群。善逸は瞬発力と反応速度が異常。伊之助は……とにかく野生。筋肉と勘で生きてる。

 

 でも、三人に足りないのはやっぱり「実戦経験」。

 だから、次は模擬戦。とにかく模擬戦。

 本気でぶつかり合うことでしか得られないものがある。

 

 初日は、僕 vs 三人。

 彼らに木刀を持たせ「三人がかりなら勝てるでしょ?」と軽く言ったら、炭治郎は真剣に頷き、善逸は「え、無理じゃない!?」と叫び、伊之助は「オレ一人でいける!」と突っ込んできた。

 

 結果——三人とも地面に転がっていた。

 炭治郎は「すみません…!」と悔しそうに拳を握り、善逸は「やっぱり死ぬかと思った…」と泣き、伊之助は「オレ、まだ本気出してないし!」と謎の言い訳をしていた。

 

 二日目は、三人でチーム戦。

 炭治郎が指揮をとり、善逸が奇襲役、伊之助が突撃役。

 僕はあえて防御中心で動き、三人の連携を試す。

 炭治郎の指示は的確だった。善逸の動きは速すぎて見えない。伊之助は……とにかく叫んでいた。

 「猪突猛進!!」と叫びながら突っ込んできた伊之助に、善逸が「それ、連携になってないから!!」とツッコミを入れていた。

 

 三日目は、三人同士の総当たり戦。

 炭治郎 vs 善逸、善逸 vs 伊之助、伊之助 vs 炭治郎。

 それぞれの個性がぶつかり合い、技の応酬が続く。

 炭治郎の冷静さ、善逸の一撃必殺、伊之助の予測不能な動き——見ていて飽きない。

 

 僕は木の上からその様子を眺めながら、

 「うん、だいぶ“戦える”ようになってきたな」と思った。

 

 模擬戦四日目。

 僕は三人に告げた。

 

 「今日は、一対一でやろう。順番に、僕と戦ってもらう」

 

 炭治郎は静かに頷き、善逸は「えええええええええええええええええええええええええ!?」と叫び、伊之助は「やっとオレの出番か!」と笑った。

 

 最初の相手は――炭治郎。

 彼は深く息を吸い、全集中の呼吸を整える。

 

 「お願いします」と言って、炭治郎は踏み込んできた。

 

 「水の呼吸 壱ノ型  水面斬り」

 

 静かな斬撃。

 僕はそれを紙一重で避け、木刀を軽く打ち返す。

 

 炭治郎はすぐに次の型へ。

 水流のような連撃。そこに、ヒノカミ神楽の片鱗が混ざる。

 炎と水が交差するような動きに、僕は思わず目を見張った。

 

 思わず「成長したな」と言うと、炭治郎は少しだけ笑った。

 その笑顔は、痛みも迷いも越えた者のものだった。

 

 次は――善逸。

 彼は震えていた。

 

 「やっぱり無理だって!俺、寝てからじゃないと強くなれないんだって!」

 

 「じゃあ、寝ていいよ」と僕が言うと、善逸は「えっ」と言って、その場に倒れた。

 

 数秒後――雷が走った。

 

 「雷の呼吸 壱ノ型  霹靂一閃」

 

 空気が裂ける音とともに、善逸の木刀が僕の肩に届きかけた。

 

 僕はギリギリで受け止めた。

 その一撃は、確かに“本物”だった。

 

 善逸は目を覚まし、「えっ、勝った!?」と叫んでいた。

 「惜しかったよ」と言うと、彼は「うわああああああああああああああああああああ!」と泣きながら走り去った。

 

 最後は――伊之助。

 彼は何も言わず、獣のように構えた。

 その目は、いつになく静かだった。

 

 「来い」と言うと、伊之助は地を蹴った。

 

 「獣の呼吸 参ノ牙  喰い裂き」

 

 予測不能な軌道。僕は一度、肩を斬られた。

 

 「やるじゃん」と言うと、伊之助は「オレ、弱くない!」と叫んだ。

 その後も、伊之助は型を崩しながらも、執念で攻め続けた。

 僕はその“意志”に、少しだけ押された。

 

 最後、僕が木刀を下ろすと、伊之助は「勝ったか!?」と叫んだ。

 「負けてないよ」と言うと、彼は満足げに笑った。

 

 三人との一対一。

 それぞれが違う強さを持っていた。

 技でも、体力でもない。

 “心”の強さだ。

 

 僕はその夜、炭治郎としのぶさんが屋根の上で会話しているのを眺めながら静かに呟いた。

 

 「これなら大丈夫だ。無限列車でも、生き残れるだろう」

 

 そして、少しだけ眠った。

 夢の中で、三人が笑っていた。

 

 ただ――まだ、彼らに上弦の参は早い。

 最悪の場合、僕が炎柱と共闘することになるのかもしれない。

 

 ***

 

side : 炭治郎

 

藤宮さんは、強かった。

俺たちはすでに「全集中の呼吸・常中」を身につけていたけれど、それでもまるで歯が立たなかった。

一太刀交えるだけで、体の芯まで見透かされているような感覚になる。

 

でも、その指導は的確で、確かに俺たちの力量は伸びていくのを感じた。

特に、ヒノカミ神楽への助言がすごかった。

藤宮さんの言葉通りに動くと、呼吸が自然と整い、炎の流れが体に馴染んでいく。

 

「どうしてそんなにヒノカミ神楽について詳しいんですか?」

 

思わずそう尋ねると、藤宮さんは少し困ったような顔をした。

 

「僕の使う呼吸は、光の呼吸といってね。日の呼吸に最も近い呼吸の一つなんだ」

 

その声は静かだったけれど、確かな重みがあった。

 

「日の呼吸を知っているんですか!?」

 

俺が驚いて聞き返すと、藤宮さんはまるでごまかし方を間違えたみたいな顔をして、「多少はね」と言った。

 

その後すぐに、「鍛錬再開だ」と言われて、話はうやむやになった。

でも、ふと気づいた。藤宮さんの刀を、俺はまだ見たことがない。

何色なんだろう。きっと、きれいな色なんだろうな。

 

そう思いながら、俺は再び構えを取った。

藤宮さんの視線が鋭くなる。

その瞬間、空気が張り詰めた。

 

鍛錬は続く。

でも、俺の中にはひとつの確信が芽生えていた。

この人は、ただの剣士じゃない。

何かを背負っている。何かを守っている。

その“何か”に、俺も少しだけ近づきたいと思った。

 




主人公(藤宮)の刀、何色なんだろうなぁ~
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