それと、今話でオリ主が炭治郎たちに戦闘のアドバイスをするのですが、これは後方腕組み師匠面したオリ主を書きたかっただけなので、内容には気にしないでください。
はっきり言って、作者に戦闘の心得はありません。
朝霧がまだ庭に残る頃、煉獄家の庭にはすでに熱気が満ちていた。煉獄さんの声が響く。
「もっと腰を落とせ!炭治郎、踏み込みが甘いぞ!」
炭治郎、善逸、伊之助の三人は汗だくになりながらも、煉獄さんの指導に食らいついていた。炎の呼吸の型を応用した訓練。踏み込み、捌き、呼吸の連動──そのすべてが試される。
僕は少し離れた縁側に腰を下ろし、静かにその様子を見守っていた。
その背後から、低く渋い声がかかる。
「お前はよく見ているな。あの三人の癖、もう気づいているだろう?」
振り返ると、槇寿郎さんが湯呑を片手に立っていた。かつての炎柱の面影を残しながらも、今は静かに見守る立場にある。
「善逸は恐怖を力に変えるが、持続が難しい。伊之助は感覚で動く分、型に縛られると鈍る。炭治郎は…心が真っ直ぐすぎて、時に隙を生む。お前なら、どう導く?」
僕は少し考え、静かに答える。
「善逸には“間”を教えたい。伊之助親分には“流れ”を。炭治郎には…“しなやかさ”を知ってほしいです」
槇寿郎さんは目を細め、ふっと笑った。
「…面白いことを言う」
僕は言葉を続けた。
「“間”は、恐れを制御する鍵です。善逸は瞬間の爆発力はあるけれど、次の一手を待てない。間を知れば、相手との適切な距離感を掴めれば、焦りの中にも静けさを持てる。敵の呼吸を感じ、己の鼓動を整える余白です」
「“流れ”は、伊之助親分の本能に近い。でも彼は、型に縛られるとその流れが断ち切られてしまう。流れとは、動きの連続性。止まらず、途切れず、自然に繋がること。型に捕らわれず、本能に型を取り入れて、より高度な戦い方を学んでほしい」
「そして“しなやかさ”──これは炭治郎にこそ必要だと思うんです。彼は真っ直ぐすぎて、心が硬くなってしまう。しなやかさは、心の柔らかさ。迷いや葛藤を否定せず、受け入れること。それが、技にも隙を生まないし、相手の痛みを感じる力になる」
槇寿郎さんは湯呑を軽く傾け、静かに頷いた。
「なるほどな…“間”は恐怖を制する、“流れ”は本能を活かす、“しなやかさ”は心を解く。お前の言葉は、技ではなく生き方に近い」
その頃、庭の中央では、三人が肩で息をしながらも、まだ煉獄さんの声に応えようとしていた。だが、その動きには疲労の色が濃い。
僕は立ち上がり、地面を踏みしめる。
「煉獄さん。次は、僕が相手になります」
その声に、炭治郎たちが驚いて振り向く。煉獄さんは一瞬目を見開き、すぐに笑みを浮かべた。
「うむ!」
道場の空気が再び張り詰める。僕は深く息を吸い、自分の呼吸を整える。
交差する一閃。踏み込み、捌き、呼吸の連動。煉獄さんの太刀は重く、熱く、真っ直ぐだ。そんな連撃を、僕はしなやかに受け流し、間合いを見極めては、一撃を差し込む。
縁側では、炭治郎たちが見入っていた。
「すげぇ…やっぱり強ぇ…!」と伊之助が口を開く。
「あぁ。それにしても、藤宮さんの闘い方がいつもと違うような」と炭治郎が目を細める。
善逸は震える手で茶碗を持ちながら、ぽつりと呟いた。
「“間”だ…攻撃の合間に、さりげなく距離を取って、呼吸を整えてる。あれ、俺にもできるかな…」
その背後で、槇寿郎さんが静かに言葉を紡ぐ。
「お前たちも、よく見ているな。今の二人の闘いは一種の見取り稽古だ。三人とも見て学べ。」
炭治郎たち三人は、槇寿郎さんの言葉に耳を傾けながら、目の前の闘いに釘付けになる。
「杏寿郎の太刀は、真っ直ぐだ。迷いがない分、熱を持つ。だが、藤宮の動きは違う。あれは、受けて、流して、見極めている。力で押すのではなく、技で捌いている」
善逸が小さく息を呑む。炭治郎は拳を握り、伊之助は目を見開いたまま動かない。
「“間”を取るとは、逃げることではない。“流れ”に乗るとは、考えずに動くことではない。“しなやかさ”を持つとは、折れないために、曲がることだ。」
槇寿郎さんの声は低く、けれど確かに響いていた。
「技は教えられる。だが、心の在り方は、自分で掴むしかない。今の藤宮は、それを示している。お前たちがそれを見て、何を感じるか──それが、次の一歩になる。」
庭の中心で、僕と煉獄さんの太刀が再び交差する。鍛錬の先にあるもの──それは、技ではなく、心の在り方だった。
鍛錬が一段落ついた頃、家の奥から軽やかな声が響いた。
「皆さん、ご飯ができましたよ!」
千寿郎君が両手に大きな盆を抱えて現れる。湯気の立つ味噌汁、焼き魚、炊きたての白米。鍛錬の疲れを癒す、煉獄家の温もりがそこにあった。
煉獄杏寿郎が笑顔で声を張る。
「よし!鍛錬はここまで!千寿郎、ありがとう!皆、命の糧をいただこう!」
炭治郎たち三人が歓声を上げ、僕も立ち上がる。槇寿郎さんは黙って盆を手伝う。
そんな感じで、僕たちはおよそ2か月半の間、煉獄家で過ごした。
***
その日、かまぼこ隊の三人はそれぞれ単独任務のため、煉獄家を離れていた。
そのため、僕と煉獄さんの二人だけで鍛錬を行っていたのだが、そこへ一羽の鎹鴉が舞い降りた。
その鎹鴉は、僕と煉獄さんにお館様のもとへ行くよう告げた。
話を聞くと、柱や甲といった鬼殺隊の上位隊士たちが一堂に召集されているという。
お館様の屋敷に到着すると、すでに二十名ほどの隊士たちが集まっていた。
柱と甲の見分けはすぐについた。原作に登場しているかどうかでも判断できたが、それ以上に、両者の力量差が歴然としていたのだ。
甲の実力は、せいぜい継子レベル。現在の炭治郎たちと同等か、それ以下といったところだろう。炭治郎たちが急成長しすぎているというのもあるかもしれない。
だが、はっきり言って、柱たちの強さは桁違いだった。
甲が弱いのではなく、柱が異常なほどに強すぎるのだ。まさに歴代最強クラス。
その力は、前世で見た戦国時代の柱たちと、ほとんど変わりはなかった。
もっとも、煉獄さんを初めて見たときから、柱の強さは感じていた。
煉獄さんは確かに強い。けれど、まだ成長の途中だ。
そんな煉獄さんでさえ、あの強さなのだから――最強と噂される岩柱は、いったいどれほどの力を秘めているのか。
その存在に、以前から密かに期待を寄せていた。
そして、その岩柱は圧倒的な体格ゆえにすぐに見つかった。
初めて目にした岩柱には、正直、驚かされた。
その力量は、下手をすれば前世で見た――人間だった頃の巌勝に匹敵するほどだった。
痣を発現させていた月柱と、痣を出していない岩柱が互角。
それを目の当たりにして、ただ「これはやばい」としか思えなかった。
さすがに、今や鬼となった巌勝――黒死牟には及ばないだろう。
それでもなお、岩柱の力は、常人の域を遥かに超えていた。
光の呼吸を使う今世の僕と、岩柱はほぼ同等。
けれど、痣を発現させ、透き通る世界と、日の呼吸を使えば――
岩柱が痣を出そうが、透き通る世界を使おうが、僕の方が強い。
……たぶん、だけど。
そんなことを考えているうちに、全員が揃ったようで――お館様が静かに姿を現された。
その瞬間、場の空気が一変する。皆が一斉に跪き、敬意を示す。僕も少し遅れて、慌ててその列に加わった。
「皆、朝早くからすまないね。こうして顔を揃えてくれたこと、心から嬉しく思うよ」
風柱が一歩前に出て、丁寧にご挨拶をする。
「お館様におかれましてはご壮健とのこと、何よりの喜びです。益々のご多幸を、心よりお祈り申し上げます」
「ありがとう、実弥」
「さて、今日は皆にどうしても伝えたいことがあって、集まってもらったんだ」
「実は――上弦の居場所を突き止めた」
その言葉に、場の空気が再び揺れた。ほとんどの者が息を呑み、驚きの色を隠せない。
ただ、蟲柱と音柱、そして僕の三人だけは、動じることなく静かにその言葉を受け止めていた。
(しまった、驚いたふりをするのを忘れてた)と、内心で焦る僕。
お館様はそんな僕に一瞬だけ視線を向けると、何も言わず、静かに話を続けられた。
「判明したのは――上弦の弐と陸の居場所だ」
「例の手紙から、上弦の弐が“万世極楽教の教祖”であり、上弦の陸が花魁として人の社会に紛れていることが分かっていた。彼らがその立場を利用して人々と関わっていることも、すでに把握している」
「そこで、上弦の弐については隠たちに探索を任せていたが、ついに所在を突き止めた。また、上弦の陸に関しては、天元に吉原を探らせていたところ、“蕨姫花魁”という花魁が上弦の陸であることが判明した。最近、彼らは何かを探しているようで、活動が活発化していたため、発見しやすかった」
「彼らの戦い方についても、手紙からある程度の情報は得ている。もちろん、すべてを鵜呑みにするつもりはないが、対策を講じておくに越したことはない」
「上弦の弐は“氷”の鬼血術を操る。そこで、産屋敷家が保有する爆薬としのぶの毒を組み合わせた特殊な化学兵器を、彼女に開発してもらった。もっとも、この兵器の主目的は爆薬による火力で氷を消滅させることにある。毒はあくまで補助的なもので、鬼の動きを多少鈍らせる程度――言ってしまえば、気休めに過ぎない。甲の者たちには、この兵器を用いて上弦の弐に対し投擲を行う任務を担ってもらう。剣士である君たちにこのような任務を頼むのは心苦しいが、隠たちでは太刀打ちできない相手だ。どうか、力を貸してほしい」
お館様の言葉に、甲の隊士たちは一瞬戸惑いながらも、次々と「任せてください」「もちろんです」と力強く応じる。
――何と言うか、お館様の声には、心を揺さぶる力があるな、と僕は思った。
場が静まり返ったのを見計らい、お館様は再び口を開かれた。
「上弦の弐には、行冥、実弥、義勇、そして甲の隊士たちを。上弦の陸には、天元、杏寿郎、しのぶを向かわせる。残る小芭内、蜜璃、無一郎には、討伐に向かう柱たちの任務を代行してもらいたい」
お館様の言葉が静かに場を満たした後、柱たちも甲の隊士たちも、次々と「承知しました」「お任せください」と声を上げた。誰一人として、迷いを口にする者はいなかった。
――上弦の陸が見つかるのは、原作で知っていた。けれど、まさか上弦の弐まで居場所が判明するなんて。驚いた。でも、さすがはお館様だ。毒を使う上弦の陸に対して、蟲柱のしのぶさんを向かわせる采配。理にかなっているし、何より彼女には生きてもらわないと困る。
しのぶさんが珠世さんと共同で開発する予定の毒――あれがなければ、無惨戦で勝てる保証なんてどこにもない。彼女の命は、戦局そのものに関わっている。だからこそ、彼女が前線に立つことには、複雑な思いがあったけど、上弦の陸の方が上弦の弐よりは生存率は高い。
その時、しのぶさんが静かに前へ出た。
「お館様。ひとつ、お願いがございます」
その声は、いつもの柔らかな調子とは違っていた。芯のある、揺るぎない決意が込められていた。
「先日の手紙の内容から――上弦の弐が、姉・カナエを殺した鬼と特徴が一致している可能性が高いと判断しました。氷の血鬼術、容姿。すべてが、あの夜の姉の遺言と重なります」
場が静まり返る。しのぶさんの瞳は、真昼の光を受けてなお、深い影を湛えていた。
「どうしても、私自身の手で決着をつけたいのです。姉のために。私自身のために」
お館様はしばらく黙っていた。風が庭の木々を揺らし、葉の影が地面に踊る。
「……しのぶ。君の気持ちは痛いほど分かる。だが、上弦の弐は危険だ。君の毒が通じないかもしれない」
お館様の言葉に、しのぶさんは一歩も引かなかった。
「承知しております。それでも、行かせてください」
お館様は静かに頷いた。そして、代案を口にした。
「では、上弦の陸には――杏寿郎と共に、彼の継子を向かわせよう。上弦の参との戦いを共に経験した者だ。杏寿郎との連携も取れるはずだ」
その言葉に、しのぶさんは深く頭を下げた。
「ありがとうございます。必ず、姉の仇を取って参ります」
――やばい。しのぶさん、まじで死ぬかもしれない。
僕の胸が急にざわついた。原作では、上弦の弐・童磨は、しのぶさんの毒をほとんど一瞬で分解していた。あの冷たい笑みと、無邪気な残酷さ。しのぶさんの命を、まるで玩具のように弄んだあの鬼。
確か、珠世さんの協力で毒は強化されていたはずだ。無惨や上弦の鬼に対抗するための、複合的な毒。でも、それでも効かなかった。最終的に、しのぶさんが自らの体に毒を蓄積し、鬼に吸収されることで毒をやっと効かせた――それが、原作での彼女の覚悟だった。
でも、今はどうなんだ。珠世さんとの連携は進んでいるのか?そもそも珠世さんと会っているのか?毒の完成度は?しのぶさんはもう、接種を始めているのか?それとも、まだ準備段階なのか?
まずい。まずいぞ。今のままだと、完全に終わる。
僕は思わず、しのぶさんの背中を見つめた。真昼の光に包まれたその姿は、あまりにも静かで、あまりにも遠く感じられた。
――しのぶさんには、生きていてもらわないと困る。無惨戦の鍵を握るのは、彼女と珠世さんの毒だ。
焦りが喉元まで込み上げる。胸の奥がざわつき、冷静さが揺らぎそうになる。
けれど、そんな僕の動揺とは裏腹に隊士たちはそれぞれの任務に向けて動き始めた。真昼の陽光が庭を照らし、白い砂利がまぶしく光っている。空は雲ひとつなく、あまりにも穏やかで――これから始まる戦いが、まるで嘘のように思えた。
武器の手入れを始める者、毒の扱いを確認する者、仲間と小声で作戦を練る者――その姿には、恐れよりも静かな覚悟が滲んでいた。
ある隊士は、刃を研ぎながら目を閉じ、過去の戦いを思い返していた。血に染まった夜、仲間の叫び、そして自分の無力さ。それらすべてが、今の自分を支えている。
別の者は、しのぶさんから渡された毒爆弾を何度も手に取り、投擲の角度や距離を頭の中で反復していた。手が震えるのは、恐怖ではない。任務の重さを理解している証だった。
「氷の鬼か……爆弾を外したら終わりだな」と呟いた若い隊士に、隣の者が静かに言葉を返す。
「だからこそ、俺たちがやるんだ。柱たちが命を懸けるなら、俺たちも支えなきゃ意味がない」
その言葉に、周囲の者たちが黙って頷く。誰もが不安を抱えている。だが、それ以上に――誰もが、鬼狩りのために戦う覚悟を持っていた。
準備が整う頃、隊士たちはそれぞれの持ち場へと向かっていく。吉原へ、教団の本拠地へ、そして柱たちの任務を代行する地へ。背中には、恐れも、誇りも、すべてが混ざり合っていた。
そんな中、僕も歩き出そうとした瞬間――
「菜葉、君は少し待ってくれるかい」
お館様の声が、静かに僕を呼び止めた。
振り返ると、お館様は穏やかな微笑みを浮かべながら、僕にだけ視線を向けていた。周囲の隊士たちは既に動き出しており、僕たちの間には静寂が広がっていた。
「君と、話しておきたいことがあるんだ」
その言葉に、僕の胸が少しだけ高鳴った。
――しのぶさんには、何としても生き延びてもらわなければならない。最悪の場合は僕が守らなきゃ。
そんな覚悟を固めていた矢先の呼び止めに、僕の心はざわついた。
何を話されるんだろう。お館様の微笑みは穏やかで、優しい。でも、その奥にあるものが、どうしても読めなかった。
僕は、足を止めた。
「……はい」
声が少しだけ震えていた。
お館様は僕の返事を受けて、ゆっくりと視線を庭へ向けた。穏やかな昼の空気の中で、次の言葉が静かに落ちてきた。
「しのぶは、姉の仇と向き合う覚悟を決めた。だが、彼女の毒は、無惨を倒す鍵となると私は思っている。だからこそ、君に彼女の背を守ってほしい」
僕は息を呑んだ。やはり、そう来たか。しのぶさんの護衛――それは、僕が覚悟していたことでもあり、最も重い任務でもある。
「君の秘密は、ある程度把握しているよ」
その一言に、心臓が跳ねた。
――まだ僕が力を隠していることが、ばれたのか?
それとも、僕の前世が“ひかり”であることまで……?
お館様の微笑みは変わらない。けれど、その奥にあるものが、まるで霧のように掴めなかった。僕の中にあるもの――それを、どこまで見抜かれているのか。
「それは……どの程度、ですか?」
思わず問い返した僕の声は、少しだけ上ずっていた。
お館様は、答えなかった。ただ、静かに目を細めて言った。
「いざというときは、頼むよ。君にしかできないことがあると、私は思っている」
その言葉は、重く、優しく、そして逃れられないものだった。
僕は、ただ頷くしかなかった。
――しのぶさんを守る。彼女の命を、未来へ繋ぎながらも、上弦の弐を討伐する。そのためなら、僕は痣を出す覚悟も、もう持っておかなければならないのかもしれない。
最近、更新が遅くなっている言い訳をさせてください。
某フロムゲーが11日から夜をさらに深くしたため、それを渡っていました。
深度5に行きてー!!と頑張っているけど、現在深度4でうろちょろしている作者です。
つまり、ゲームに夢中になっていました。
申し訳ございませんでした!!!