継国の娘   作:毎日読書

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割とその日の気分で書いているため、話の整合性がとれないことがあるかもしれませんが、ご了承ください。


竈門家

 山で王を自称して、数か月は経ったころだったと思う。俺は本物の王と出会った。

 それは、熊である。体長3mはあるKUMAであった。

 

 「グオオォォォオオオォォオオオ!!!」

 

 KUMAの鳴き声を聞いて、俺は生まれて初めて恐怖を感じた。

 8歳女子の平均身長はおよそ125cm。俺の身長もだいだいそれぐらいだった。相手のKUMAは熊の平均体長1~2mを大きく上回るKUMA。その体格さは圧倒的にKUMAが有利であり、しかも俺の獲物は素手。相手には爪がある。

 

 「こりゃー、逃げるが勝ちだな」

 

 本能が負け、人の理性が蘇った俺は、すぐに逃走を選択したかった。

 けれども、熊の足の速さ方は人より速い。全集中の呼吸もどきが使えるおれでも、KUMAの足には負ける。

 だからこそ、俺は覚悟を決めた。

 

 「俺が、俺こそが山の王だぁああぁぁぁぁぁあああああ!!!」

 

 ただただ叫び、殴りかかった。そして、返り討ちにあった。

 

 ***

 

 KUMAは堅かった。その筋肉の鎧を俺の拳は壊すことができなかった。

 だから、俺はひたすら目を狙った。柔らかい目を。

 

 「グアァァアア!」

 

 KUMAの片目を俺の貫手が貫いたとき、俺はKUMAの爪により重症であった。右肩から胸にかけての爪による引っ搔き傷。出血多量による死がみえた。

 

 ゆえに、俺はKUMAが片目をなくし、ひるんでいる隙に逃げた。

 無我夢中にただただ逃げた。

 

 そして、意識を失う前、

 

 「し、しっかりしろ。今助けるからな」

 

一人の男が駆け寄ってくるのがみえた。

 

 ***

 

 意識が戻ったとき、俺は藁布団の上に寝かされていた。

 天井は低く、木の梁がむき出しで、壁には干された薬草が吊るされていた。

 鼻をくすぐるのは、煮炊きの匂いと、土と薪の香り。

 ここが“人の暮らし”の中であることを、五感が教えてくれた。

 

 「目が覚めたかい。よかった……」

 

 女の声は、まるで水音のように静かで優しかった。

 男は、俺の手を握りながら言った。

 

 「山で倒れてたんだ。熊にやられたんだろう?よく生きてたな」

 

 俺は、言葉が出なかった。

 命を奪われかけた恐怖と、命を救われた安堵が、胸の奥でせめぎ合っていた。

 

 俺は、一週間生死をさまよったらしい。

 俺を助けてくれた男とその妻の献身的な介護により、一命をとりとめた。

 男は竈門炭吉、女は竈門すやこ、と名乗った。

 

 山での死闘から一命を取り留めた俺は、竈門炭吉とすやこ夫婦の家に身を寄せることになった。

彼らは質素ながらも温かい暮らしをしており、俺のような“訳ありの子”にも分け隔てなく接してくれた。

 

 「お前さん、名前はあるのかい?」

 

 「……名乗るほどの者じゃないです」

 

 「じゃあ、うちの子として“ひかり”と呼ぼうかね。山から来た光みたいだったから」

 

 “ひかり”――それは、俺がこの家で生きるための新しい名前だった。

 

 俺は、すやこさんの裁縫を手伝いながら、炭吉さんの畑を耕しながら、少しずつ“人としての暮らし”を取り戻していった。強くなるために生きてきた俺が、誰かのために米を炊き、布を縫い、笑うようになった。

 それは、強くなるために必要なものではなかった。

 でも、人として生きるために、必要な時間だった。

 

 ***

 

 俺はずっとなにかに怯えていた。それは――鬼があふれる危険な世界、もしくは先のわからない未来に対してかもしれない。

 竈門家での生活はとても平和で、穏やかなものだった。夜になるたびに、鬼に食われるのではないか、と怖がる俺を慰め、一緒に寝てくれた。

 

 KUMAとの闘いは俺の臆病な心を呼び起こすには十分過ぎるものだった。山での生活で理性をとばし、GORIRAとなっていた俺を人に戻すには過分なものであったのだ。

 けれども、この世界にはKUMAと同等かそれ以上の”鬼”がいる。この幸せな暮らしが薄氷の上で成り立っていることを俺は知っている。

 なのに、俺はKUMAに再戦せず、幸せにただただ溺れるのであった。




主人公の名前は、とりあえず”ひかり”にしましたが、変更する可能性もあります。
主人子のTS要素をもっと強調していきたい。
これからもよろしくお願いします。

次回、縁壱現る!
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