もし、那須玲に兄貴がいたならば   作:RAKU0221

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お久しぶりです。


友達の作った飯は美味い

 

 ボーダーの戦闘訓練の仕組みは、ネイバーフッドにある近隣諸国よりもかなり優れている(遠征組談)

 

 部隊制度、ポイント制度、ランク制度、A級のみに与えられる固定給制度、全てが若い隊員達のモチベを高い水準で保つのに一役買っている。

 特によく出来ていると思うのはポイント制度とランク制度だ。ポイントはそいつが装備している攻撃用トリガーの1つ1つに振られており、個人戦やランク戦、もしくは訓練で上げる事ができる。そのポイントの多さで、ポジションと綜合のランキングが付けられている。

 

 学生が圧倒的に多いボーダーでこの制度は、さながらテストの点や部活の成績を競う様な物だ。必然的に、ランキングで上位の部隊や個人は皆からの羨望を集めている。

 

 

「本部で会うのは久しぶりだな、高雅」

 

「あんまりそっちに顔出すこと無いしな、まぁそのうち土産持って行くよ」

 

 

 木崎レイジ。

 俺や諏訪と同い年のボーダー隊員で、非公式ではあるが、持っている総ポイントはボーダー内トップ。アタッカー、ガンナー、スナイパーのトリガーそれぞれで8000p、つまりマスタークラスの実力を持つ。ボーダー唯一無二のパーフェクトオールラウンダーだ。

 

 

「こっちにきたら、また小南と訓練してやってくれ」

 

「嫌だよ、勝てない勝負はできるだけしたく無い」

 

 

 昔は今ほど隊員も多くなく、同じ奴と何度もバリバリに戦闘訓練をしたりした。俺が特に戦ってたのは、小南、風間、三輪、太刀川だ。まぁ太刀川は誰にでも戦い挑むんだけども。

 小南以外の3人は今もたまに訓練で戦ったりするんだが、玉狛支部の奴らは今ほとんど本部に顔を出さないので機会が無いのである。

 

 

「…………そうだ、もしこの後時間あればうちに飯食いに来ないか?荒船達の所に顔を出すから、少し待ってもらう事になるが」

 

「お、嬉しい誘いだな。今日は防衛任務も無いし、ランク戦でもしながら時間潰してるから全然オーケー」

 

「そうか、じゃあまた後でな」

 

 

 よっしゃ、久々にレイジの作った飯が食える!マジで美味いんだよアイツの料理。よし、モチベ上がってきた。なんかランク戦も結構勝てる気がしてきたぞ。

 

 

 

 

 

 その後、フラッと現れた太刀川、鍛錬しにきた影浦と激闘を繰り広げた末に、太刀川にはあっさり負け越し、影浦には前線こそしたが、4対6で惜敗の末ポイント収支マイナスになりました。ランク戦はクソゲーです。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「………ふぅ、いやー戦った後のこういう時間が一番落ち着くー」

 

「そうですね」

 

 

 俺は今、ボーダー本部の外でレイジが出てくるのを待っている。だがそんな俺の隣には、小中学生程の女子が1人。俺が奢ったジュースに口をつけ一息ついている。

 いやどういう状況?となると思うが、彼女は加古が最近チームに引き入れた新人の黒江双葉という隊員だ。俺がランク戦で太刀川達にボコられた後、急に俺に声をかけてきた。俺としても加古が引き入れた期待の新人ということで少し気になっていたので、こうしてお話ししているというわけだ。

 

 

「それで?何で急に俺に声をかけてきたんだ?」

 

「加古さんが、先輩の話をしていたんです。それでどんな人なのかと少し気になって」

 

「…………一体どんな話をしているのか少々心配になるな」

 

「何度かオファーを掛けたけど悉く断られていると、あととても強い人だって言ってました」

 

「あはは………なら、さっきのランク戦を見られたのは恥ずかしいな。めちゃくちゃに負けたし」

 

「いえ、新人の私から見るととても高次元の戦いで、学びがありました」

 

 

 小中学生にしては、やけに出来た子だ。いやこの子に限った話じゃないか、ボーダーにいる子は皆随分と大人びていてたまに自分が恥ずかしいと思うことも少なくない。

 

 

「加古の部隊に入るってことは、これからはあのクラスのアタッカー達と戦うってことだ。加古がスカウトするって事は才能があるって事だから、励むと良い」

 

「はい、ありがとうございます」

 

 

 丁度そこで、お互いの飲み物が無くなった。さて、ここからどう時間を潰そうかというところで、丁度本部からレイジと加古が出てくるところだった。随分珍しい組み合わせだな。

 

 

「随分珍しい組み合わせね、那須さん」

 

「お互い様だろ…………用は終わったのか?レイジ」

 

「ああ、待たせてすまなかった。丁度そこで加古にあってな、加古も隊員を待たせていると言っていたからまさかとは思ったが………君が加古隊の新人か」

 

「はい、黒江双葉です」

 

「俺は玉狛の木崎レイジだ。本部にはあまり来ないから会うことは少ないと思うが、よろしく頼む」

 

「それじゃ、行きましょうか双葉。それじゃ木崎さん、那須さん、またね」

 

「ああ、気を付けて帰れよ」

 

「ふふ、ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 加古と黒江を見送った後、俺はレイジと共に玉狛支部に向かった。道中で材料を買い、軽く世間話をしながら歩くと、すぐに支部に着いた。

 

 

「ただいま」

 

「お邪魔しまーす」

 

「むっ、高雅か。久しぶりだな」

 

 

 中に入ると、目の前にはでかいカピバラの背に乗った子供が居た。

 林藤陽太郎、玉狛支部のマスコット(あくまで個人の感想です)くんだ。しかし、子供の成長は早いというかなんというか、最後に見た時よりも少し背が伸びただろうか?

 

 

「おう陽太郎、久しぶりだな。少しでかくなったな」

 

「うむ、育ち盛りですからな」

 

「この調子なら、すぐに雷神丸に乗れなくなるな」

 

「むぅ、それは困りますな」

 

 

 陽太郎と雷神丸とわちゃわちゃとしていると、奥から小南が出てきた。そして俺を見るなりギョッと目を見開いた。

 

 

「な、那須さん!?なんでウチにいんの?!」

 

「相変わらず賑やかだな小南、今日は飯をご馳走になりにきた」

 

「俺が誘ったんだ」

 

「連絡くらいしてよ!びっくりするじゃない!」

 

 

 そういいながら、寝間着同然の格好の小南は奥へと引っ込んでいった。ボーダーの高校生はみんな落ち着いてる奴が多いから、小南の反応はなんだか新鮮だな。

 

 キッチンに行くと、最近本部から玉狛に移籍した宇佐美と、モサモサした男前烏丸京介がいた。

 

 

「玄関が騒がしいと思ったら、那須さんだったんだ!こっちで会うのは初めてですね」

 

「お疲れ様です、那須さん。なんで玉狛に?」

 

「飯をご馳走になりに来たんだ。林藤さんは居るか?」

 

「部屋にいるよー、多分迅さんも」

 

 

 挨拶のため、俺はここのボスである林藤支部長の部屋に行く。部屋に入ると、ふわっと漂ってくるタバコの香りと共に、林藤さんと迅が俺を出迎えた。特にリアクションがない辺り、迅が予知していたんだろう。

 

 

「久しぶりだね、那須さん」

 

「おう、林藤さんもお久しぶりです」

 

「半年くれぇ経ったか?成人したんだろ?飯んときちょっくら付き合ってくれよ」

 

 

 手首をクイっと曲げるジェスチャー。確かに、最後に会った時に成人したら飲みましょうとか、そんな話をした気がする。

 

 

「俺でよければ…………一服しても?」

 

「おう吸え吸え」

 

 

 胸ポケから少しクシャクシャになったタバコとジッポライターを取り出して火を付ける。深く煙を肺に取り込み、ゆっくりと吐き出した。林藤さんも煙を吐き、背もたれに体重を預ける。

 

 

「悪いな迅、煙たいだろう」

 

「気にしないよ、それにしても那須さんがタバコにハマるなんて意外だったな」

 

「一息つく時とか、考え事する時には丁度いい。おすすめはしないけどな」

 

 

 それから少しばかり、俺と迅と林藤さんで語らっているとすぐに飯ができた。今日の献立は野菜炒めと麻婆茄子、麻婆茄子は俺がリクエストした。

 

 

『いただきまーす』

 

 

 出来立て熱々の麻婆茄子を火傷しない様に口に運ぶ。

 陽太郎がまだ幼いため辛さはないが、ホッとする味だ。大学に上がると同時に一人暮らしを始めてからというもの、人に振る舞いでもしない限り食事は手軽に済ませることが多くなったため、家庭的な味に安心感を覚える。

 

 たまには顔を見せるようにと親に言われているのと、俺自身家族の様子を見たいとも思うのでたまに実家に顔を出す。その時にはこんなふうに家族みんなで食卓を囲むのだが、この賑やかさは玉狛特有だな。

 

 こら小南、陽太郎と喧嘩しながら飯を食うな。まだ陽太郎4か5歳とかだっただろ。

 

 

「おい高雅!おら飲め」

 

「親戚のオヤジですかアンタは」

 

 

 グラスを差し出すと、林藤さんが酒を注いでくれた。レイジは今日は飲まないらしいので、この人の酒の相手は必然的に俺1人になる。

 

 

「那須さんてお酒飲めるの!?」

 

「何を驚いてんだよ小南、俺はもう20歳だからな。そりゃ飲めるさ」

 

「私も意外だったかも〜、何となくお酒は反対!て感じだと思ってた。タバコも吸うんでしょ?」

 

 

 那須玲が俺の妹である事はボーダーじゃ割と知れ渡ってる。体の弱い妹を持つ兄貴が酒もタバコもやるなんてのは、確かに意外だろうしあまりいい印象は持たれないだろう。

 

 

「どーせ玲ちゃんに叱られてるわよ」

 

「おいやめろ、この間もお叱りを受けたばかりなんだ」

 

 

 大学の友人らと飲んだ帰り道に、たまたま防衛任務終わりの玲とその友人らにばったり遭遇し、その場で軽いお叱りを受けた後家に帰り携帯を見たら割と長々とお叱りメールが届いていた。

 確かにあの日は割と大所帯だったし、大学の先輩なども居たので過去1飲んだし飲まされたが…………。

 

 

「まぁいいじゃねーの、こういう場でくらい…………ほれ」

 

「この流れでグラスを満たす酒ほど飲みづらいものは無い………」

 

 

 まぁそんな感じで、玉狛での夕食は賑やかで暖かな時間になりましたとさ。

 

 

 

 夕食を食べた後、陽太郎や雷神丸と少しの間戯れたり、腹ごなしに小南や烏丸と軽く模擬戦をしたりした。小南は相変わらずバカ強かったし、烏丸も歳の割に堅実で良い意味でシブイ動きだった。流石は元太刀川隊。

 

 

「…………それじゃ、俺はそろそろお暇することにするよ」

 

「あれ?那須さん帰るの〜?」

 

「もう良い時間だしな、また来るよ」

 

「達者でな!次は良いとこのどら焼きを持ってきてくれ」

 

「フッ……ああ、またな」

 

 

 陽太郎と雷神丸の撫で回し、俺は玉狛を後にした。

 思いの外長いこと居座ってしまったな、帰って飲み直す…………いや、今日は辞めておくか。風呂に入って寝よ。

 

 

「那須さん」

 

「迅?どうした?俺なんか忘れ物でもしたか?」

 

 

 鼻歌混じりに歩いていたところ、玉狛から迅が追いかけてきた。

 俺はその場でポケットの中身を確認する。財布、携帯、トリガーにタバコとライター。持ち物は全てある。

 

 

「いや、ちょっと言っておきたくてさ」

 

「………何か見えたか?」

 

「まぁね、とはいってもはっきり見えたわけじゃないから多分まだ先のことだけど…………那須さんが死ぬかもしれない未来が見えた」

 

「そうか……なら気を付けないとな」

 

「予想はついてたけど、反応薄いよね」

 

「俺たちは日々トリオン兵と戦ってる。ベイルアウトがあるから、実感がある奴は少ないだろうが…………俺たちがやってる事は防衛戦争だ。そういう可能性もなくは無いだろ」

 

「那須さんはそう言うと思ったよ、それじゃ気を付けて」

 

 

 少し呆れた様に息を吐き、迅は来た道を帰って行った。俺も再び帰路に着く、俺の心境は自分でも驚くほどに落ち着いていた。

 もう一度言う、俺たちがやっている事は防衛戦争なのだ。そして俺ボーダー隊員は少年兵、この街と人を守るために体を張るのが俺たちの役目なのだ。

 

 

「…………もし本当に死ぬんなら、カッコいい兄貴として散りたい所だ」

 

 

 

 




 次回はオリ主の詳細情報回で、その次から原作軸に合流させようかなと思ってます。よろしく。
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