ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする 作:烏丸英
「お待たせっ! 準備終わったよ~っ!!」
またしてもドタドタという慌ただしい音が響くと共に、ひよりさんが階段を駆け下りてくる。
彼女が転ばないか心配する僕の前で、最後の数段を思いっきりジャンプして飛び降りたひよりさんは、その勢いでふわりとスカートを浮かび上がらせ、中の下着を見せつけながら着地してみせた。
「ぶっ……!?」
「ふっふっふ~……! 待たせちゃったお詫びのパンチラサービス! どう? バッチリ見えた!?」
「み、見えたけど、そういうの良くないと思うよ!? 睦美さんに見られてたらどうするの!?」
捲れたスカートの中にあったピンク色の布地をしっかり見ておいてなんだが、もしもご両親に見られていたらどうするつもりだったのだろうかと心配になる。
まあ、近くに睦美さんがいないことを確認してやったとは思うが……さてはひよりさん、慎みを身につけることを諦めたなと彼女の行動から色々と察する中、楽しそうに笑ったひよりさんが言う。
「まあまあ、逆セクハラはここまでにして……行こっか!」
「うん、そうだね」
気を取り直しつつ、笑顔で彼女に応えつつ、僕は軽くその場を退いてひよりさんのためにスペースを空ける。
靴を履く最中、ひよりさんは楽しそうに声を弾ませながら僕へと話しかけ続けていた。
「もうちょっとで夏休みだね~! 約束、覚えてる?」
「色んなところに遊びに行きたいってやつでしょ? もちろん、覚えてるよ」
「にししっ! なら、良し! 毎日のように連れ回してあげるから、覚悟してね! その代わり、最高に楽しい夏休みにしてあげるからさ!」
「ふふっ……! うん、期待してるよ」
花火大会の日にひよりさんも言っていたが、遠い未来よりすぐ近くの毎日の話だ。
訪れようとしている夏休みの中で、彼女と一緒にどんな日々を過ごすか……その中でどれだけひよりさんの笑顔を見ることができるのか、楽しみで仕方がない。
彼女が行きたい場所やしたいことだけじゃなくて、僕も彼女と一緒にやりたいことを伝えて、それを実現していこう。
きっと、多分……それが、恋人の正しい形ってやつだと思うから。片方だけじゃなく、お互いの気持ちをちゃんと伝えて、一緒に歩いていきたい。
やりたいことだけじゃなくて、
「よ~し! 準備万端! それじゃあ、学校に行くまでの間に夏休みの予定を立てちゃおうよ!」
「あははっ、気が早いって。課題とか、やらなくちゃいけないこともあるってことを忘れちゃダメだよ?」
「わかってるって! それでも、気が早くなんてないってば! もう夏は目の前! もたもたしてると乗り遅れちゃうぞ~!」
「今日、準備が遅れたのはひよりさんだけどね」
「おっ? まだ誠意を見せたりなかった? 謝罪のパンツサービス、もう一回いっとく?」
「ごめん、冗談です。許してください」
そんなおふざけのやり取りをしつつ、くすくすと笑う。
確かにひよりさんの言う通り、目の前にまで迫った夏休みの計画を立てておいた方が期待感も膨れ上がっていいかもなと思いながら、僕は頷いた。
(解決しなくちゃいけない問題も、まだ残ってはいる。でも、今は――)
遠い未来よりも近い毎日。それよりも大事なのは今、この瞬間だ。
一歩一歩、歩んでいこう。大切な彼女の笑顔を大切にしながら、その笑顔を一つでも多く生み出せるように想いながら、一緒に今を過ごしていく。
そのためならばきっと、どんな困難も乗り越えられる……心の底から、そう思えた。
「じゃあ、行ってきま~す!」
リビングに居る母親へと挨拶をするひよりさんに先んじて、玄関の扉を開く。
ギラギラと輝く日差しと澄み渡る青い空を見上げた僕は、夏の雰囲気を感じ取ると共に……ひよりさんと一緒にその空の下へと歩み出していった。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする、第二章はここまでになります。
一章に続き、二章も最後まで読んでくださってありがとうございました。
途中で書いたかもしれませんが、この章は書籍版とweb版とで結構内容が変わっているというか、大まかな流れは変えずに気になった部分を手直ししたものを書籍版として発売させていただいております。
なのでこっちのweb版はクオリティが低いんじゃないかなと不安になったりしましたが、面白いという感想をいただけたり、たくさんの方々にブックマーク登録していただけたおかげで本当に安心できました。
次回からは三章というわけではなく、書籍版第二巻にも追加させていただいた水泳の授業のお話を投稿させていただく予定です。
特設サイトに瑠川先生が描いてくださったひよりさん&親友コンビのスク水イラストが掲載されているはずのなので、よろしければそちらもチラ見していただけると嬉しいです。
ロリ巨乳っていいよね……。