ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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ひよりさんの水着ファッションショー

 そんな元気な言葉に続いて、シャーッというカーテンがスライドする音が響く。

 振り返った僕は、試着室の中でドヤ顔を浮かべながら自分の水着姿を披露するひよりさんを見て、ドキッと心臓を高鳴らせた。

 

「は~い! まず最初は大人しめなワンピースタイプの水着にしてみました~! どう? どう!?」

 

「あっ、うん。かわいいと思うよ」

 

 くるりと一回転した後、かわいらしくポーズを取ったひよりさんへと思ったままの感想を述べる。

 

 落ち着いた紺色をしているワンピースタイプの水着は、ひよりさんの体のほとんどを隠してくれていた。

 肩は出ているが二の腕を隠す程度の袖は付いているし、下半身も太腿くらいまでを隠してくれるスカート付きだ。

 

 デザインとしては見ていて安心できるから、かなりいいと思うのだが……紺色というのはちょっとひよりさんに合わないかもしれないなとも思う。

 もう少し明るく弾けるような色合いの方が好みかもしれないなと僕がひよりさんへの印象を踏まえながら改めて彼女の姿を見つめる中、ひよりさんはにししと笑うとこう言ってきた。

 

「まあまあ、ちょっと残念な感じだっていうのは自覚してるよ。折角の水着なんだし、もっと肌も胸も出していかないとね!」

 

「いや、別にそこは気にしてないんだけど……」

 

 デザインとしては目のやり場に困らなくて非常に助かっていたんだけどなと思う僕の前で、笑顔のひよりさんが再びカーテンを閉める。

 もぞもぞと動き、着ていた水着を脱ぎ捨てて次の水着を纏った彼女は、元気よくカーテンを開けてその姿を僕にお披露目してきた。

 

「じゃじゃ~んっ! こちら、あたしイチオシの水着となっておりま~す!」

 

「うわっ……!?」

 

 そう言いながら、腰に手を当ててえっへんと胸を張るひよりさんの姿を目にした僕は、思わず声を漏らしてしまった。

 その水着自体は白とオレンジのストライプ柄をした、実にシンプルなデザインをしているものなのだが……そのシンプルさが着ている人間のスタイルをとんでもないレベルで引き立てている。

 

「んっふっふ~! 雄介くん、本当にいい反応を見せてくれるよね~! さっきとは大違いじゃ~ん!」

 

「うぐっ……!!」

 

 何も言い返せない。全部事実だ。だがしかし、しょうがない部分もあるんじゃないだろうか?

 もう本当にわかりきっていたことではあるが……ひよりさんは、()()()。間近でこうして見せつけられると、理解していてもそう思わざるを得ない。

 

 シンプルなデザインの三角ビキニは大きな胸とその谷間をほとんど隠すことなく曝け出させていて、楽し気にポーズを取る度にゆさっと揺れる二つの山が僕の理性を激しくノックしている。

 肌の露出の多さがさっきのワンピース型の水着にはない解放感を作り出している他、オレンジと白という明るい色の組み合わせもひよりさんの雰囲気にぴったり過ぎて色んな意味で眩しく見えていた。

 

(もしかして、あの地味な色のワンピースを選んだのはここでギャップを感じさせるための作戦だったんじゃ……?)

 

 肌を覆い隠す露出少な目の水着から、一気に開放的なビキニへのスイッチ。

 色もひよりさんに合っていなかった地味目のものから雰囲気にぴったりのストライプ柄とカラーリングの合わせ技とくれば、僕の目には彼女の姿が一層眩しく映ってしまう。

 

 そんなふうに僕が先ほどとは全く違う反応を見せる中、ひよりさんはさらなる追撃を繰り出してきた。

 

「ふっふっふ……! まあでも、雄介くん的に期待してるのは、こっちの方だもんね……!」

 

「こっちって、まさか――っ!?」

 

 ちょっと嫌な予感がした僕が呻く中、にやっと笑ったひよりさんがくるりと反転する。

 首だけを振り向かせて僕を見つめる彼女は、そのまま下着ほどの面積しかない布地に隠されたお尻をこちらへと見せつけてきた。

 

「これがホントの()()()大サービスってね! ほらほら~♥ 雄介くんが大好きなあたしのお尻、好きなだけ見ていいよ~♥」

 

「ちょっ、ひよりさん!? 流石にふざけ過ぎだって! っていうか、そもそも別にお尻が好きってわけじゃないから!!」

 

「え~? ほんとかな~? 雄介くん、普通にお尻好きだと思うけどな~?」

 

 周囲に人がいないことをわかってやっているのだろうが、それでもやっぱりおふざけが過ぎる。

 お尻を左右に振ったり、ぺんぺんと軽く自分で叩いてみせたり……と、誰かに迷惑をかけているわけではないが、見ている側としてはかなり恥ずかしくなるその姿に僕が顔を赤くすれば、ひよりさんは楽しそうにお腹を抱えて笑ってきた。

 

「あははははっ! やっぱり雄介くんはからかい甲斐がありますな~! 実に楽しくて良し!」

 

「ぐぬぅ……! 前はお尻が大きいことを気にして僕にプリンを奢らせたこともあったのに、今では自分から見せつけてくるだなんて、どういう心境の変化があったわけ?」

 

「ん~? コンプレックスではあるけれど、雄介くんが好きでいてくれるならお尻が大きいのも悪くないかもな~って! 愛の力、的な?」

 

「なんか違う気がするし、何度も言ってるけど僕は別に尻フェチじゃ――」

 

「え~っ? 違うの? あたし、雄介くんに好きって言ってもらえたらすっごく嬉しいんだけどな~……♥」

 

「うぐぅ……!!」

 

 実にズルい言い方だ。そう言われると、好きじゃないだなんて口が裂けても言えなくなってしまう。

 色々と葛藤した末に諦めた僕は、ひよりさんの目を見ずに視線を逸らしながら口を開く。

 

「べ、別に僕は尻フェチじゃあないよ。ただその、ひよりさんが特別枠ってだけで、他の女の子のお尻に興味があるわけじゃあないし……」

 

「あはっ……♥ そっかそっか~……♥ いいこと聞いちゃったな~♥♥♥」

 

 ……発言をミスった気しかしない。いや、これに関してはほとんど事実だしひよりさんも喜んでくれているけど、何かを間違えた気しかしない。

 僕がそんなふうに後悔する中、ニコニコとどこか意味深な笑みを浮かべながら三度カーテンを閉めたひよりさんは、最後の水着……僕が選んだ水着を手に取ると、それに着替え始めた。

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