ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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遊んだ後は、温泉でゆったり……

「うわ~っ! 本当に町になってる!」

 

「すごいよね。これぞこういうテーマパークの温泉、って感じだ」

 

 休憩を取った後、再びみんなと合流して遊びに遊んだ僕たちは、存分にプールでの一時を堪能した。

 だが、遊ぶだけで終わらないのがこういうレジャー施設のいいところだ。

 

 施設内に併設されている温泉へと遊び疲れた体を癒しにやって来た僕たちは、レジャー施設ならではの面白さに満ちたその造りに感心していた。

 江戸の町並みを再現した広い空間には大量の湯が満ちていて、まるで町そのものが温泉になってしまったかのような雰囲気がある。

 古き良き時代の面白さというか、風情というか……とにかくそういうものを感じながら水着のままに温泉へと浸かった僕たちは、その心地良さに思わずため息を漏らしてしまった。

 

「はぁ~……! 極楽、極楽……! やっぱ温泉っていいよなぁ……」

 

「わかる。露天風呂とかあったらそっちも行きたかったけど、ないっぽいな」

 

「水着を着たまま入るんじゃなくって、男女別に分かれたやつだったらあるみたいだけどどうする? そっちも行ってみる?」

 

「いや、いいわ……露天風呂よりも女子たちとの混浴を楽しみてぇからさ……!」

 

 ぐで~んとだらしのない姿を見せながら話し合うみんなは、随分とリラックスしているようだ。

 かく言う僕も滅多に入ることのない温泉を気持ち良く楽しんでいたところで、遊佐くんとひよりさんが声をかけてくる。

 

「いいお湯だね~……! 遊び疲れた体が回復していくのがわかる~……!!」

 

「授業もそうだけど、プールって上がった後に疲れがくるからな。こりゃあ帰りのバスはみんな揃って爆睡しちまいそうだ」

 

「だね……そういえば、帰りのバスまで結構時間あるよね? この後はどうするの?」

 

 さっきちらっと時間を確認したが、帰りのシャトルバスの発車時間までかなり余裕があった。

 温泉に入ってリラックスモードになった後じゃあもう一度プールで遊ぶ気にはなれないし、残りの時間はどうするのかと遊佐くんに尋ねれば、彼はため息を吐いてからこう答える。

 

「一応、この中の店に予約入れといたからさ、そこで飯食っていこうぜ。お土産とか買いたい奴もいるだろうけど、それはバスが来る少し前くらいでいいだろ」

 

「マジ!? そこまでしてくれてたの!? 遊佐くん、やる~っ!!」

 

「あっ、ああ。結構な大人数だし、シーズン中だから客が多いし、念のためにしておいた方がいいかなと思ってさ……みんな何が食えるかわかんなかったからバイキングの店にしておいたけど、大丈夫だよな?」

 

「大丈夫どころじゃねえ! 最高だ! 最高だよ、お前!!」

 

「流石遊佐! 名ポイントガード! 素敵! 抱いてっ!!」

 

「今日は遊んでばっかで何も食べてなかったからな~! 帰る前に飯を食えるのはありがた過ぎる!!」

 

 色々と気を遣ってくれた遊佐くんの言葉に熊川さんがいち早く反応すれば、その話を聞いたみんなが口々に彼に感謝し、褒め始める。

 思った以上に賞賛されている状況に気恥ずかしさを感じているであろう遊佐くんが苦笑いをしながら頬を掻く中、僕とひよりさんはくすくすと笑った後で二人で話をしていった。

 

「遊佐くんのおかげで助かったね! あたし、もうお腹ぺこぺこ!!」

 

「あははっ! でも、温泉でリラックスした後でお腹いっぱいになったら、もう完全に眠くなっちゃいそうだよね」

 

「確かに! まあ、いいんじゃない? あとは帰るだけだしさ! ……ああ、でも真理恵さんたちにお土産は買っていった方がいいよね?」

 

 そう、声を落として尋ねてきたひよりさんへと小さく頷く。

 家族のために気を遣ってくれる彼女に感謝しながら、僕も周りのみんなに聞こえないような声量で言った。

 

「ご飯を食べ終わったら、バスが来るまでの間にちょっと見に行こうか? そのくらいの時間はあると思うし、僕たちの他にもお土産を買いたい人もいるだろうしさ。後で遊佐くんに提案してみるよ」

 

「うん! そうしよう! えへへ~……! 一緒にお土産を見て回るの、プチデートみたいで楽しそうだね~!」

 

 にししっ、と楽し気に笑ったひよりさんが弾んだ声で言う。

 そうした後、僕に向かい合うように位置を変えた彼女は、近くにあった壁へと寄りかかりながら大きく伸びをしてみせた。

 

「ふぁぁぁ……っ! この後の予定はさておき、やっぱり温泉はいいですな~……!」

 

「んっ……!?」

 

 ぐぐぐっ、とやや猫背気味になっていたひよりさんが体を伸ばした拍子に、彼女の胸がぷるんっと揺れた。

 先ほどまでひよりさんが肩まで湯船に浸かってくれていたおかげで意識しなくて済んでいたのだが、唐突に出現したそれの不意打ちを食らった僕は思わず体を震わせて反応してしまう。

 

 ちゃぽちゃぽちゃぽ、という音を響かせるように胸の谷間に溜まっていたお湯が温泉の中に垂れていく様を目にしてしまった僕はそこでようやく我に返り、視線を逸らした。

 

 ひよりさんにバレていないかと内心ビクビクする中、小さく息を吐いた彼女がこんなことを言ってくる。

 

「こうやってみんなで一緒にっていうのもいいけどさ……二人で行ってみたいよね、温泉」

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