ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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今年は、家族六人で

「ほ~ら息子たち! じゃんじゃん包みなさい! まだまだ皮も餡もあるわよ~!」

 

「アラホラサッサ~! 任せてくだせえ、母上!」

 

「もう慣れたもんですよ! ガハハ!」

 

 父の墓参りに行き、電車を使って家の最寄り駅まで戻った後、近所のスーパーで買い物をして……自宅に帰ってきた僕たちは、家族そろって料理をしていた。

 

 母が作った餃子餡を皮に包み、皿に並べる僕たちは、毎年の恒例行事となったこの作業を慣れた手付きで進めていく。

 ひよりさんも同じように餃子を作っていく中、その隣に座った母が自分もまた皮を手に取りながら彼女に話しかけた。

 

「お父さんが帰ってきた日にわざわざ家族総出で餃子を作るなんて、変なことするなって思ったでしょ?」

 

「いえ、そんなことないですよ。こうやってみんなで何かするの、楽しいです!」

 

 明るい笑顔を浮かべながらのひよりさんの答えに、母が微笑みながら頷く。

 作業に慣れている僕たちよりも数段早く丁寧に餃子を作りながら、母は話を続けていった。

 

「毎年ね、迎え盆の日はみんなで揃って墓参りに行った後、こうして餃子を作るのよ。尾上家、夏の恒例行事ってやつね」

 

「毎年のことだったんですね。ちなみに、どうして餃子なんですか?」

 

「ん~? みんなで作って、ホットプレートを囲んで食べると、家族が全員そろってるな~……って気持ちになるのと、そうね――」

 

 また一つ餃子を作り終えた母がそれを皿に置いた後、リビングに飾ってある家族写真を見る。

 そこに写っている父を見つめながら、じみじみとした声でひよりさんの質問に答えた。

 

「――あの人が、一番好きだった料理だからかな」

 

 どこか過去を懐かしむような声でそう言った母は、再び手を動かし始めた。

 そうしながら、ひよりさんへと父との思い出を語っていく。

 

「あの人は私の料理ならなんでも美味しいって言って食べてくれたけど、特に餃子が大好物だったの。お友達にも、私の餃子は店で出しても恥ずかしくない美味しさだ~! って自慢しちゃうくらいでね。恥ずかしかったけど、嬉しかったことをよく覚えてるわ」

 

 そう語る母の横顔を、ひよりさんは黙って見つめていた。

 その視線を浴びながら、母は話を続ける。

 

「家族五人でホットプレートを囲んで餃子を食べた時のこと、今でもはっきり覚えてるの。あの人、すごく楽しそうだった。だからかしらね、あの人が家に帰ってきた日は、こうして家族みんなで餃子を食べるって決めたのは」

 

「……きっと、お義父さんも喜んでいると思います。家族がみんなで自分の大好物を作ってくれてるんですから」

 

「ふふふっ! そうね! それに今年はかわいい長男のお嫁さんが一緒なんだから、いつも以上に喜んでくれてるはずよ!」

 

 そう言った母がひよりさんの前に自分が作った餃子を乗せた皿を差し出す。

 ひよりさんは母の顔とその皿を順番に見つめた後、餡を包み終えた餃子をそっと置いた。

 

「……今年は、()()()()ね。今までで一番楽しいお盆になりそう」

 

「うん、そうだね……父さんもきっとそう思ってるよ」

 

「きっとじゃなくって絶対だよ。俺、そんな顔してるだろ?」

 

「父さんの意思にお前の顔は関係ないだろ、アホ雅人」

 

 僕の言葉に変顔をしながらボケた雅人へと、大我の鋭いツッコミが飛ぶ。

 そんなやり取りの後、明るい笑い声が響いたリビングの中でひよりさんが小さく呟いた。

 

「そうか……あたしも家族の一員かぁ……!」

 

「もう、随分と前からね。でもまあ、雄介に愛想を尽かしたらいつでも言ってちょうだい。あいつを家から追い出して、ひよりちゃんを娘として迎えるから!」

 

「ちょっと!? 長男の扱いが雑過ぎやしませんかね、母上!?」

 

 僕の慌てた声に、今度は大爆笑が沸き起こる。

 まったく……とは思いながらも楽しそうに笑うひよりさんを見た僕は、まあこんな扱いもたまにはいいかと思いながら、餃子を包むのであった。

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