ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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新婚夫婦ってこんな感じだと思う

「考えてみたら、あたしが雄介くんとのイチャラブチャンスを潰されるのってこれで二回目じゃない!? 江間と紫村め! よくも邪魔してくれたな……!! この恨み、晴らさでおくべきか……!!」

 

「あはははは。まあまあ、いいじゃない。時間はいくらでもあるんだから、焦ることないでしょ?」

 

「それはそうだけどさぁ……! っていうか、なんであたしの方が悔しがってるの? 普通、こういうのは男の子の方が残念に思うんじゃない!?」

 

 お昼時、僕たちは簡単に作れるざるつけ麺で昼食を取っていた。

 ちなみにしっかりとひよりさんは水着からシャツとハーフパンツという(開いている胸元から覗く谷間を除けば)目のやり場に困らない格好に着替えている。

 

 そこで改めて江間と紫村さんへの文句を言う彼女は、やややけ食い気味に昼食を頬張っていた。

 僕はそんなふうにちゅるちゅると麺を啜りながら愚痴をこぼすひよりさんを小さな微笑みを浮かべながら見つめていたのだが、そんな僕の態度に気付いた彼女が訝し気な表情を浮かべると共に質問を投げかけてくる。

 

「雄介くん、ご機嫌だね? あたしの水着写真を撮影できたのがそんなに嬉しかった?」

 

「それもあるけど……いつも家では隣同士でご飯を食べてたからさ、こうして向かい合いながら食べるのちょっと新鮮だなって」

 

 デートで外食する時なんかはこうして向かい合っているが、家の中で同じことをするのは初めてかもしれない。

 他愛のない会話を繰り広げながら、家の中で自分が作った料理を食べてくれるひよりさんをずっと見ていられるというのは、なんだか恥ずかしくも嬉しいものがある。

 

 そういうことを僕が言えば、ひよりさんもくすくすと笑った後でこう言ってくれた。

 

「そっか! じゃあ、愚痴なんか言ってないで食事を楽しんだ方がいいよね! 折角、雄介くんがあたしのために作ってくれたんだしさ!」

 

 今日は僕とひよりさん以外の家族がいない。ということは、食事も僕と彼女だけのために用意したものになる。

 少し違うかもしれないが、ひよりさんの言った通り彼女のために作った料理にもなるのかもしれないと思う中、宣言通りひよりさんは美味しそうに僕が作ったざる麺を食べてくれた。

 

「ん~っ! うまうま! 愛情の詰まった味ですな~!」

 

「そ、そう言われると恥ずかしいんだけど……ほとんど既製品だし、麺をちょっと茹でてタレの味を調えただけだし……」

 

「いいじゃん! 雄介くんがあたしのために作ってくれた料理ってことに変わりはないんだしさ! お礼じゃないけど、夕食は任せてね! 雄介くんに負けないくらい、愛情をたっぷり込めて作るからさ!」

 

 この会話、二重の意味で恥ずかしい。だけどやっぱりひよりさんからそう言われて嬉しい気持ちもあるから、複雑なところだ。

 嬉しさよりも気恥ずかしさに耐えられなくなった僕は、今、食べているざる麺からヒントを得て、強引に話を変える。

 

「色々と問題が解決したらさ、二人でラーメンを食べに行こうよ。学校近くのあのお店、最近行けてなかったしさ」

 

「いいね~! おじさんも寂しがってるだろうし、顔を見せてあげないとね! これから寒くなってラーメンが美味しい時期になるし、すっごく楽しみだ!」

 

 自由に外出できるようになったら、どこに行くか? まず最初は行きつけのラーメン屋に行きたいねというところから始まって、次々と候補が飛び出してくる。

 話題の映画も見に行きたいし、スイーツバイキングを楽しみたくもあるし、クラスのみんなとまた色んなところにも遊びに行きたい……と話したところで、ひよりさんがふふっと笑いながら言う。

 

「もう少しで学校が始まるけどさ、そうしたらイベントだらけだよね? 文化祭にスポーツ大会、学校行事じゃないけどハロウィンもあるしさ~! そっちも楽しみでしょ?」

 

 クラスのみんな、という言葉で学校のことを思い出したのだろう。

 確かに二人で出掛けることばかり考えていたが、秋は学校行事が目白押しだ。

 

 そういった行事の中で、ひよりさんと楽しい思い出を作っていけたらいいな……と考えていた僕は、彼女がニヤニヤと笑っていることに気付いた。

 先ほどとは逆にそんな彼女へと質問を投げかければ、ひよりさんは楽し気に声を弾ませながらこう答える。

 

「いや~……! 新婚夫婦の会話ってこんな感じなのかなって思ったら、ついつい頬が緩んじゃって……!」

 

「っっ……!!」

 

 えへへ、とかわいらしく笑いながらのひよりさんの回答に、思わず息を飲む。

 恥ずかしさを回避するために話題を変えたのに、結局恥ずかしい話に戻ってきてしまったじゃないかと思いながら顔を赤くする僕へと、箸を置いて両手を合わせたひよりさんが言う。

 

「ごちそうさまでした! 洗い物、あたしがやるね!」

 

 そう言って自分の使った食器を手にぱたぱたと小走りで台所に向かうひよりさんの耳も、ほんのりと赤くなっている。

 お互い、やっぱりこの状況だから色々と意識してるんだな……と思いながら、僕は改めて心を強く持とうと自分自身に言い聞かせるのであった。




お世話になっております!烏丸です!
更新が途切れ途切れになってしまい、申し訳ありません!

今月の14日に自分が原作を担当する『彼女のリアルが切り抜けない!』という漫画作品が、20日には読んでくださっているこちらの小説『ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする』の第三巻が出版されるということで、かなり忙しい日々を過ごしておりまして……ハーメルンさんに手を回す余裕がなかったという。
本当に申し訳ありません。

三巻は現在読んでいただいている部分を加筆修正し、瑠川ねぎ先生のイラストを付けていただいております!
二巻を読んでくださった方ならわかると思いますが、内容が微妙に変わっているので、そこに合わせて三巻の内容も変わっています!

完全に別物!とまではいきませんが、追加エピソードも合わせて楽しんでいただけるような内容にはしておりますので、よろしければ書店で手に取ったり、予約してやってください!

あらすじの部分に三巻の表紙イラストを置いておきますので、そちらも見ていただけると嬉しいです!
季節は冬ですが水着!最高にドえっちなひよりさんの水着姿を楽しんでください!
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