ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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ひよりさんが大好きな僕にぶっ刺さるコーディネート

「えっ? ああ、うっ、うん……! や、やっぱり、夏にセーターは暑そうだな~って。あはははは……!」

 

 ひよりさんにそう尋ねられ、咄嗟にごまかしの言葉を口にしながら笑った僕であったが……彼女にそんなものが通用するはずがなかった。

 浮かべているにやにや笑いを強めたひよりさんは、自ら体を揺らすように脚を大きく上げた大股で歩きながら僕へと言う。

 

「そっか~! あたしはてっきり、雄介くんがおっぱいやお尻に注目してると思ったんだけどな~?」

 

「ぐぅぅ……っ!?」

 

 全部わかってるけど? とばかりに僕を見ながら軽くステップしたひよりさんの胸が、ゆさっと揺れる。

 あの行動も全部わざとで、僕の考えなんて全部お見通しだとばかりに笑ったひよりさんは、今度は僕の斜め前に立つとぺんぺんとお尻を叩きながら口を開いた。

 

「ふっふっふ……! どうだ、今日のあたしの破壊力は!? 意識するまで時間がかかり過ぎなんだよ、もう!!」

 

「あの、ちょっ、ストップ! 恥ずかしいから、そういうの止めて!!」

 

「朝っぱらからあんまり大声出すもんじゃないよ、雄介くん! 迷惑になっちゃうでしょ?」

 

「それ、大声出す原因作ってる人が言う!?」

 

 サマーニットに比べればデニムの生地は厚そうでそこまで恥ずかしさはないのだが……それでも十分に大きさがわかるお尻を軽くこちらに突き出されながら挑発されると、恥ずかしく思ってしまうものがある。

 まだ眠っている人たちの迷惑にならないよう、小さめの声でツッコミを入れた僕のリアクションに満足したのか、ひよりさんは歩くペースを緩めて再び僕の隣を歩き出すと共に、得意気に語り始めた。

 

「その反応が見たかった! いや~、同棲生活が始まる前に急いで買った甲斐があったな~! 童貞を殺すニット!」

 

「どっ、どどど、童貞……!? 女の子がそんなこと言っちゃいけません!」

 

 何年も前に流行ったフレーズというか、概念のようなものを語ったひよりさんへと思わずツッコミを入れた僕は、同時にドギマギしながら改めて彼女の姿を見やる。

 昔、話題になった服はもっと背中ががばっと開いていた気がするから、決して本家本元の童貞を殺すニットではないのだろうが……確かに言われてみると、女の子慣れしていない男が見たら心臓が持たない格好だ。

 

 特にひよりさんのようなかわいくてスタイルも良い女の子が着ると破壊力がマシマシになるよなと心の中で思う僕に対して、彼女はさらにこう続ける。

 

「まあでも、今回はそこにさらにあたしなりの改良を加えて、雄介くんが喜びそうな格好にしてみたからね! 名付けて、『あたしが大好きな尻フェチの雄介くんにぶっ刺さるコーディネート』! どう? 完璧だったでしょ?」

 

「~~~~っ!!」

 

 にやにやと笑うひよりさんがどこを改良したのかは大体予想できる。

 サマーニットに合わせるボトムス……デニムのショートパンツだろう。

 

 確かに基本はニットを押し上げる大きな胸に目が行きがちだが、一度気付いたらお尻の方も気になって仕方がなくなる格好だよなと考えたところで、ちょっとだけ意外そうな顔をしたひよりさんが口を開く。

 

「あれ? 普段だったらここで雄介くんからの「僕は尻フェチじゃないって!」ってツッコミが入るところなんだけど……もしかして、ついに認める気になった!?」

 

「そうじゃないって! その、なんて言うかさ……」

 

 ひよりさんの言う通り、普段だったら僕もおなじみのツッコミを入れていたところだろう。でも、今日はそうしない理由がある。

 恥ずかしさを感じながら、言葉を一生懸命に選んでいった僕は、こちらを見つめるひよりさんとその格好を見つめ返しながらその理由を伝えていく。

 

「……今のひよりさんの格好って、ひよりさんが一生懸命僕が好きそうな服を考えて、選んでくれたものってことでしょ? そういうふうに考えてくれたことは嬉しいっていうか、散々ツッコんだ後ではあるけど、あんまり悪く言いたくはないかなって……」

 

 僕は尻フェチではないが、ひよりさんのお尻に変な反応をすることは確かだし、そこを踏まえた上で僕が喜びそうな服をわざわざ用意して、着て、見せてくれた彼女の行動や気持ちを考えると、嬉しく思ってしまう部分がある。

 そういう想いを恥ずかしさを感じながらもひよりさんへと伝えれば、彼女は嬉しそうに笑いながらこう返してくれた。

 

「えへへ~……! あたしも雄介くんに喜んでもらえて嬉しいよ! ぶっちゃけ、恥ずかしい格好でもあるから、なかなか着るタイミングが掴めなかったけど……その言葉だけで、頑張った甲斐があったって思えちゃうな!」

 

 ほんのりと頬が赤く染まっているのは、大胆な格好を披露しているが故の羞恥だろうか? それとも、僕の誉め言葉に喜んでくれているのだろうか?

 とんとんっ、とステップを踏み、その場でくるくると回って今の自分の姿を見せてくれるひよりさんを見つめながらそう思った僕は、まだ彼女に大事なことを言っていないことに気付いた。

 

「ひよりさん」

 

「ん? なぁに? どうしたの?」

 

 急に名前を呼ばれたことに少し驚いた様子のひよりさんが動くのを止め、首を傾げながら僕を見る。

 そんな彼女を真っすぐに見つめ返しながら、僕は大事なことを伝えた。

 

「その格好、似合ってる。かわいいよ」

 

「んっ……!」

 

 僕のためにおめかししてくれたひよりさんに、ちゃんと感謝と感想を伝えることを忘れていた。

 刺激的で目のやり場に困る格好ではあるけれど、とても魅力的だと正直な思いを伝えれば……微笑んだ彼女は、甘い声でこう答えてくれた。

 

「褒めてくれてありがとう。雄介くんのそういうちゃんと言ってくれるところ……大好きだよ♥」

 

 

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