ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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朝食、甘いひと時を……

「お待たせ。席取っておいてくれてありがとうね」

 

「こっちこそ料理持ってきてくれてありがとう! ささっ! 冷める前に食べちゃおうよ!」

 

 駅近くのハンバーガー屋に向かいながら色々と散策していた僕たちは、その道中で発見したコーヒーショップで朝食を取ることにした。

 それなりに埋まっていた店内から空いている席を見つけ出し、ひよりさんに確保してもらっている間に注文を済ませた僕は、それを乗せたトレイを手に彼女の向かい側の席に座る。

 

 本日の朝食はホットサンド。自宅では滅多に食べることなんてない、お洒落な料理だ。

 僕はセットドリンクにアイスコーヒーを頼み、ひよりさんは甘党らしく蜂蜜ラテを頼んだようだ。

 

 ふわりと漂う蜂蜜の甘い香りに笑みを浮かべる僕であったが、同時にその横に並んでいる料理を見ると、ついつい苦笑をこぼしてしまう。

 

「朝からいっぱい食べるよね。ひよりさんらしいといえばらしいんだけどさ」

 

「逆、逆ぅ! 朝なんだから、一日のエネルギーを補充するためにいっぱい食べないとでしょ~?」

 

 僕とは別の種類のホットサンドにミニサラダ。そこにベーコンエッグとボイルウインナーと小さなヨーグルトという大量の朝食を指差しながら、ひよりさんが胸を張って言う。

 サマ―ニットを着ているせいでゆさっ、と揺れた胸に一瞬目を奪われたことは忘れてもらいたいなと思いながら、ミルクをコーヒーに入れて混ぜる僕はやはり苦笑を浮かべていた。

 

「とかなんとか言いながら、僕はいっぱい食べるひよりさんが好きだからいいんだけどね。っていうか、僕が少な過ぎるのかな?」

 

「それはあるかもね。ラーメン屋さんの時もそうだったけど、絶対にお店の人は体格的に雄介くんがいっぱい食べるんだと思ってるよ」

 

 別に僕が少食というわけではないのだが、朝はあまり体を重くしたくないという理由でお腹いっぱいまでは食べないようにしている。

 ホットサンドの種類もツナチーズというずっしり系を選んだひよりさんに対して、僕はハムタマゴサラダというフレッシュな具材を選んでいた。

 

 ひよりさんの言う通り、体格的に考えて僕の方が大食いする側にしか見えないよな……とは思いつつも、無理してたくさん食べる必要もないかとこの話を結論付ける。

 大事なのは美味しく、楽しく食事することだと考えたところで、僕は顔を上げて正面に座るひよりさんに目を向けた。

 

「あ~むっ! うん、美味しい!!」

 

 大きく口を開けてホットサンドを頬張る彼女は、実に満足気に感想を述べると共にうんうんと頷いている。

 油断し切ったかわいい姿を間近で見れることもそうだが、ここまでひよりさんが僕に気を許してくれているということがとても嬉しかった。

 

「ん……! そんなにじ~っと見られると、流石のあたしも恥ずかしいんだけど?」

 

「ああ、ごめんごめん。ついうっかり見とれちゃった」

 

「むぅ……!」

 

 そんなふうにひよりさんの食べる姿を見つめていたら、しっかりと彼女に怒られてしまった。

 またしても苦笑しながら軽く詫びる僕に対して頬を膨らませるひよりさんだが、そこまで怒っているわけではないようだ。

 

 これ以上彼女を見つめ続けるのも気持ち悪いだろうし、作ってもらった料理を放置したままにするのもお店の人に悪い。

 そう思いながら自分が頼んだホットサンドを一口頬張れば、シャキシャキとしたレタスの食感と共に旨味のあるハムとタマゴサラダの味が口の中いっぱいに広がった。

 

「んっ! 美味しい……!!」

 

「初めて来たけど、いいところだね! 飲み物の種類もいっぱいあったし、また食べに来ようよ!」

 

「うん、そうだね。昼とかにはケーキも食べれるみたいだし、軽食にぴったりのお店かも」

 

「こういうところってコーヒーに合わせるケーキが美味しいしね! うん、楽しみだ!」

 

 まだ朝食を食べ始めたばかりなのに既に次に来る時のことを話しているというのは、考えてみると気が早過ぎるかもしれない。

 というわけで、今は目の前の料理を美味しく食べることにしようと、僕たちは別の話題について話していく。

 

「そういえば雄介くん、家でコーヒーとか飲むの? インスタントコーヒー置いてあったよね?」

 

「あれは母さんのだけど、僕も一応飲んだりはするかな? 今は夏だからあんまり飲まないだけで、寒くなってきたらホットコーヒーを作ったりはするよ」

 

「へぇ~、そうなんだ……あれ? ガムシロップ入れてないじゃん。もしかしてミルクのみ派?」

 

「うん。コーヒーはあんまり甘くするものじゃないかなと思ってさ。とはいえ、ブラックコーヒーは流石に苦くて飲めないから、ミルクだけは入れてる。ホットの時も、砂糖は入れてないよ」

 

 そう言いながらストローでグラスの中のアイスコーヒーをかき混ぜた後、それを一口飲む。

 少しだけマイルドになったコーヒーの苦みで口の中をすっきりさせている僕に対して、微笑んだひよりさんが意味深に言う。

 

「なるほど、雄介くんはコーヒーにお砂糖を入れないのね。用意してあげる時は、ミルクだけ出せばいいのか。覚えた!」

 

「……それは、僕にコーヒーを淹れてくれる予定があるってことかな?」

 

「んふふ~……! どうでしょう? そこは雄介くん次第かな~?」

 

 にやにやと笑いながらそう答えるひよりさんは実に楽しそうだ。

 その時が来るのを楽しみに待っていようと考える僕へと、再び彼女が口を開く。

 

 

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