ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする 作:烏丸英
「というわけで始まりました! 『最後まで楽しいことたっぷり! 夏休みクライマックスデー!』 早速、あたしのやりたいことをやっちゃおう! 一番最初は新しい水着での撮影会ね!!」
「あの、ひよりさん……? それ、この撮影会のためにわざわざ買ったの……?」
「イエス! 似合ってるでしょ? かわいいでしょ? サイッコーでしょ~!?」
そうやってどや顔で胸を張るひよりさんは、確かに最高にかわいい。
ただ、大喜びで直視できる姿かと聞かれると、間違いなく答えはノーだった。
彼女が着ているのは黒い水着……なのだと思う。
ただ、上衣はビキニというよりはチュープトップといった感じで、肩紐はあるにはあるものの全体的な露出度に関しては普通のビキニタイプの水着より低い。
じゃあ安心して見れるじゃあないかと思われがちだが、しっかりばっちり問題は存在していた。
この水着、露出が一切ないわけではなく……胸の谷間にあたる部分に、大きな穴が空いているのだ。
猫の顔を模したようなその穴からは、ひよりさんの大きな胸の谷間がこれでもかとばかりに存在を主張している。
上乳と下乳もフリルで隠されているが、ちょっとでも激しく動いたら全てが見えてしまいそうで不安で仕方がない。
下のビキニに関しては特に目立った点はないが、それは即ち普通のビキニとそこまで変わらない露出度ということだ。
特徴的な上衣をしているその水着に、鈴付きのチョーカーと猫耳がついたカチューシャを装着したひよりさんは、手を丸めながら甘えるような声で僕へと言う。
「にゃ~ん♥ どうどう? かわいい猫ちゃんでしょ~?」
「っっ……!!」
招き猫のようなポーズを取りながらひよりさんが軽くジャンプすれば、ちりんちりんという鈴の音と共に彼女の胸がたぷんっと揺れた。
かわいい……というよりもえっちという印象を強く持ってしまった僕は、自分を落ち着かせるように深呼吸をするもそう簡単に平静に戻れるわけがない。
(っていうか、この水着ってどう考えてもレジャー用じゃないよな? どこからどう考えても、
これを着て泳ぐには防御力が低いというか、どう考えても泳ぐ用としては設計されていないこれは、コスプレ用……というか、夜の鑑賞会のために作られた物としか思えない。
僕の心が汚れているせいでそう見えている可能性もなくはないが、普通にスケベ用と言われた方が納得できるデザインだ。
「にゃ~ん♥ にゃ~ん♥ ほら、雄介くん! ひより猫のかわいい姿をいっぱい見て、撮ってほしいにゃ~ん♥」
「う、うん……!!」
へとん、と床に座り込んだひよりさんに甘い声でおねだりされ、上目遣いで見つめられるというコンボを食らった僕は、抵抗できずにそのお願いを聞くことになった。
スマホのカメラを起動して、僕の部屋で二度目の水着撮影会を行う中……蠱惑的に微笑んだひよりさんが僕へと囁く。
「そういえばなんだけどさ……この水着、変なところに穴が空いてるよね~? どうしてかにゃ~?」
「ど、どうしてって、それは……」
自分の胸のちょうど中心、谷間が覗く猫の頭の形をした穴を指差しながらひよりさんが言う。
ニヤニヤと笑う彼女から視線を逸らした僕は、暫し呻いた後で無難な答えを返した。
「ね、猫のデザインを入れたかったからじゃないかな? ちょうど、頭の形になってるし……!」
「ふ~ん……? そっかそっか、雄介くんはそう思ってるんだね~?」
僕の答えに対して、ひよりさんは目を細めて楽しそうに笑う。
まるでいたずらを考えている猫のような、そんな表情を浮かべながら僕を見つめる彼女は……唐突に、甘く鋭い声でこう言った。
「わからないなら、教えてあげよっか? 色々と、さ……♥」
「うっ、ぐっ……!?」
ドスッ、と色んな意味で心臓に突き刺さるその言葉に思わず呻きが漏れる。
そんな僕の前で胸部分に空いた穴に指を入れ、その縁をなぞるように動かしながら……ひよりさんはさらに言葉を続けた。
「じゃあ、ヒントをあげるよ。このデザインの水着さ、胸が大きい人用のしか売ってなかったんだよね~……少なくともCカップ以下のサイズは売ってなかったんだけど、どうしてかにゃ~?」
谷間を強調するように穴を広げたひよりさんが楽しそうに言う。
僕はあの穴はただ純粋にセクシー水着として、谷間が見えるようにデザインされていると思ったのだが……どうやら違うみたいだ。
なんだかその答えを知りたいような、知りたくないような……そんな不思議な感覚と恐怖に襲われる僕がごくりと息を飲む中、笑みを浮かべたままのjひよりさんが次なる行動に打って出る。
「ああ、そうだった。雄介くんはこっちの方が好きだもんね? じゃあ、サービスしてあげようかな……♥」
そう言いながら、ひよりさんがそっと体を前に倒す。
床に膝をつき、両手もついて、四つん這いの格好になった彼女がゆっくりと体を反転させた瞬間、僕は顔が真っ赤になってしまう光景を目の当たりにしてしまった。
「にゃ~ん……♥ そんなにじっと見ちゃって、本当に雄介くんはお尻好きにゃんだから……♥」
猫のような言葉を交えて僕をからかうひよりさんだが、今はその発言にツッコむ余裕すらない。
四つん這いになったことで初めて見えるようになった猫ビキニとでも呼ぶべき水着の下部分、その尾てい骨に近しい場所に、肉球型の穴がくり抜かれていたからだ。
普通にひよりさんの大きなお尻がそこに存在しているだけで色々とマズいのに、セクシーさを際立たせるそんな穴まで空いていたらもう本当に大変なことになってしまう。
上衣が胸の谷間を覗かせているように、下の水着もお尻の割れ目が見えてしまうのではないかと思わせる位置に穴が空いているこの水着は、どこからどう考えても三百パーセント普通に着るものではないと確信できた。
「あの、ひよりさん……流石にこれは、刺激が強過ぎるって……!!」
「ふふふふふ……っ♥ そりゃあ、そういうのを選んでるからね~♥ っていうか胸よりお尻の方がいい反応してるじゃん♥ 流石は尻フェチだにゃ~……♥」
そうやっていたずらっぽく笑うひよりさんと、ふりふりと揺れる大きなお尻を見ていると、理性が崩壊しそうになる。
僕がギリギリで踏みとどまれているのは、つい先日、彼女にも話した決意のおかげだ。
吾郎さんや睦美さんの信頼に応えるためにも、ひよりさんとの今後のためにも、ここで彼女に手を出すわけにはいかない。
……という強い決意はあるにはあるのだが、僕だって健全な男子高校生、目の前でこんな光景を繰り広げられても絶対に我慢を貫き通せると断言できるはずもない。
かなりヤバい。理性が崩壊寸前。これ以上はもう本当にマズいと判断した僕は、本日一番の声量でひよりさんへと叫んだ。
「ひよりさん、ストップ! それ以上はダメ! 僕の理性が持たない!!」