ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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ひよりさんと僕と、文化祭準備にかこつけたデート
文化祭の出し物を決めよう!


 僕たちが通う高校では、十月の上旬に文化祭が開催される。

 なので、生徒たちは夏休みが明けて早々に出し物を決めたり、その準備に奔走したりと、いきなり忙しい日々に放り込まれるわけだ。

 

 始業式が終わり、数日後……僕たちのクラスでも実行委員になった楽人と熊川さんが先導して、文化祭で何をするかという会議が行われていた。

 各クラスで出し物が被り過ぎないよう、実行委員の初会議でくじ引きをした結果、僕たちのクラスは教室を使っての飲食系の出し物をすることが決まり、具体的に何をするのかという話し合いが始まったのだが……?

 

「だ~か~ら~! 少しはまともな案を出せって言ってるんだ、こっちは!!」

 

「人聞きの悪いことを言うなって! 俺たちはまともな案を出してるだろうがよ!」

 

「メイド喫茶のどこがまともな案だっての!? 明らかに女子の負担がデカい……というより、あんたらの下心がバリバリ見えてるのよ!」

 

「エロ男子どもが! 全員まとめて冥途送りにしてやろうか!?」

 

 ――とまあ、こんな感じで現在大絶賛迷走中だ。

 出し物としてメイド喫茶を推す一部の男子たちとそれに反発する女子たちの言い争いには、書記を務める楽人も苦笑いである。

 

「そんなにメイド喫茶がやりたきゃ、お前らがメイド服を着て接客しなさいよ! 私たちは絶対に着ないからね!!」

 

「俺たちが着るのは一向に構わん! だが、女子たちも着てくれなきゃ意味ないだろ!?」

 

「この教室を使って飲食系の出し物をするなら、やっぱ店形式になるわけじゃん? んでもってある程度のインパクトを持たせるとしたら、メイド喫茶は悪い選択肢じゃないと思わねえ?」

 

「エロい衣装を着ろって言ってるわけじゃないんだよ! 普通のメイド服でいいの! 俺たちも一緒に恥掻くし、このくらいのお祭り感があってもいいじゃん!?」

 

 熱弁する男子たちの意見からは下心が見え隠れしてはいるが、意外と的外れな内容というわけでもない。

 

 折角の文化祭なのだから何か面白いことをしたいという気持ちはわかるし、普通に料理を提供するだけではつまらないというのも理解できる。

 そもそも僕たち高校生が料理のクオリティで勝負をすることなんかできるわけがなく、だったら店の形式でインパクトを与えようというのは納得の意見だ。

 

 ただまあ、女子たちが反発するのも当然といえば当然だし、問題は数多くある。

 文化祭二日目は一般公開で学校外からも人が来るし、そこに盗撮犯とかが紛れ込んでいたらマズいことになる……などの懸念点が多く存在しているため、僕も諸手を挙げて賛成という気持ちにはなれなかった。

 

「熊川さん、少し落ち着いて。このままヒートアップしても話が脱線していくだけだしさ」

 

「遊佐くんの言う通りだって。優希も否定するんならちゃんと理由を交えた方がいいよ」

 

「ぐぬぅ……!」

 

 書記を担当していた楽人と親友である鉢村さんに窘められた熊川さんが小さく呻いた後で深呼吸をする。

 どうやら少しは落ち着きを取り戻したようで、そこから彼女はメイド喫茶を主張する男子たちへとそれを否定する具体的な理由を説明し始めた。

 

「そっちの意見もわかったけど、実際難しいんだよ。防犯の観点から考えても学校側から許可が下りるかは微妙だし、衣装を用意するための予算もいる。休憩を回したりすることを考えてもそれなりの量のメイド服が必要になるだろうし、男女で着回すわけにもいかないでしょ?」

 

「うっ……」

 

「それに、メイド喫茶をやるにしても結局はどんな料理を出すかも考えなくちゃならないだろ? そこがメインなんだから、そっちから考えようぜ」

 

「くぅぅ……! 了解……!」

 

 ようやくこの問題にも一応の決着がついたようで、僕も一安心だ。

 ただ、楽人が言ったように一番大事などんな料理を提供するかの部分に関しては一切話し合いが進んでいない。

 まずはそこを決めなくちゃダメだよなと考える僕の前で、楽人が女子たちへと話を振る。

 

「ここまでは男子が好き勝手言ってたから、女子の話も聞いてみるか。何か案とかある?」

 

「いや、実はいい案が全く浮かんでなくって……」

 

「文化祭だし、色々縛りとかあるでしょ? 生ものはダメとかさ。スイーツ系がいいかとも思ったんだけど、そういうのって外にお店を構えたクラスが気軽に食べれるものを提供するイメージだしさ」

 

「そもそも私たちってそこまで料理が得意ってわけじゃないし、高度な技術が必要な料理は作れないと思う……」

 

「そっか……よし、一旦必要なことをまとめてみるか!」

 

 女子たちも案を考えてくれていたみたいだが、なかなかいい出し物を見つけられずにいるようだ。

 迷走した会議を締めるため、楽人は手を叩いて今挙がった重要な要素について抽出して話をしていく。

 

「出す料理としては簡単なものがいい。だけど座って食べることを考えると軽過ぎるのはだめだ。それと、食べるのに時間がかかり過ぎるのもお客さんを待たせちゃうからアウトと……」

 

「男子の意見の中から取り入れるとするなら、インパクトがある料理がいいってことかな? で、生ものの提供や作り置きは禁止。割と縛りが多いね」

 

「この辺の事情を加味して、案が浮かんだ人はいるか? 質問もわかる範囲で答えるから、気になったことがあったらとりあえず聞いてみてくれ」

 

 実行委員の二人のまとめを受け、みんなが一生懸命に頭を悩ませ始める。

 僕も色々考えた末に少し知りたいことがあったので、思い切って質問してみることにした。

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