ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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どうしてひよりさんより僕の方が信頼されてるんだろう……?

「ば、ばかっ……!?」

 

「ちょ、え? 母さん?」

 

 なんか違う。フォローのつもりで言っているのかもしれないが、なんか違う。

 変なことを言い始めた母のせいで僕だけでなく睦美さんも困惑の表情の表情を浮かべる中、どこか納得した様子で弟たちがうんうんと頷きながら口を開いた。

 

「確かに母さんの言う通りっすね。食事中でも料理中でもテレビを見てる最中でも家族の前でも、好きなだけイチャついてます」

 

「昔はただのヘタレだったんです……!! でもいつの間にかあんなことをするようになって、正直今でも信じられないっていうか……」

 

 僕たちのやり取りを思い返しながら語る大我と、まるで犯罪者についてインタビューされた人間のようなふざけた回答をする雅人へと、僕が怒りを込めた視線を向ける。

 二人そろって僕からのツッコミをスルーして口笛を吹き始める中、母が再び睦美さんへと言った。

 

「変な話ではありますが、この二人がそういうことをするためにわざわざ遠くに行くというのはまずないと思います。いい意味でも悪い意味でも、正直な子たちなので」

 

「それは……まあ、そうですね……」

 

 これで納得してもらえることを喜ぶべきなのか、それとも悲しむべきなのか、僕にはわからない。

 ただ少し釈然としない気持ちを抱える僕の前で、今度は吾郎さんが口を開く。

 

「宿泊先や新幹線のチケットなんかは、我々が用意してしまえばいいだろう? そうすればいつでも確認できるし、予定にない行動を取ったらそれもすぐにわかるさ」

 

「当然、夜更かしだとか夜の街に繰り出すなんてことはさせないようにして、いつでも我々親側が何をしているか確認できる状態にすれば、睦美さんの不安も多少は軽減できるのではないでしょうか?」

 

「そう……ですね……」

 

 渋々、といった感じではあるが、睦美さんも僕の母と吾郎さんの説得で納得してくれているようだ。

 僕が心の中で協力してくれる二人に感謝する中、こちらへと向き直った吾郎さんが言う。

 

「というわけだ。新幹線のチケットと宿泊先に関しては私が用意しよう。代金に関しても、こちらで支払っておくよ」

 

「えっ!? い、いいんですか!?」

 

 新幹線のチケット代+宿泊費×五人分となれば、金額はかなりのものになるはずだ。

 それを代わりに出してくれるという言葉に驚く僕に対して、吾郎さんが言う。

 

「……夏休みもそうだが、君には本当にお世話になった。そのお礼だと思ってくれ。お友達に対しても、色々と大変だった時期に娘を支えてくれたお礼と伝えてほしい」

 

「あ、ありがとうございます……!!」

 

「ただ、危ない真似はしないでくれよ? ホテルでも羽目を外し過ぎないようにしてくれ。まあ、改めて雄介くんに言う必要はないとは思うが……」

 

「……()()()()()()って、どういう意味? まるであたしは信用できないって言ってるみたいじゃん!」

 

「そう言ってるんだよ。お前は本当に信用ならないからなぁ……」

 

 ……他所のお宅の子供より、我が子を信用できないというのはどこの家庭でも同じなのかもしれない。

 普通、こういう時って娘が男に手を出されないか心配するもんじゃないかなと考える僕へと、睦美さんが言う。

 

「あの、雄介くん? もしも娘が変な真似をしたら、普通に怒っていいからね? ひよりも雄介くんに変なことはするんじゃないわよ? わかった?」

 

「ええっと……注意の相手と内容、間違ってませんか? 普通、逆じゃありません?」

 

「いや……夫が言っていた通り、雄介くんが今さらそこまでして娘に手を出すとは考えてないの。不安なのはひよりの方で……」

 

「お母さんまでそういうこと言う!? あたしを何だと思ってるのさ!?」

 

 実の両親からの信頼が全くと言っていいほど存在していないことを知ったひよりさんの絶叫が響く。

 なんにせよ、こうして旅行の許可を家族からもらった僕たちは、来週の祝日に向けて、計画を練っていくのであった。

 

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