ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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たこ焼き屋のおばさん、パワフルだ……!

「はいはいお待たせね~! たこ焼き三昧スペシャル、おあがりよ!」

 

「わ~い! ありがとうございま~す!!」

 

 元気のいいおばさんが運んでくれた、おしゃれな皿。

 その上には様々なトッピングが施されたたこ焼きが、まるでワンプレートランチのように並べられている。

 

 僕たちがよく知る舟形の紙皿に盛られたものではなく、一つ一つの味を楽しむような面白い盛り付けのそれは、ちょっとした新体験だった。

 

「定番のソースマヨにポン酢、チーズ明太に醤油味……色んなたこ焼きがいっぺんに楽しめていいね!!」

 

「一つ何もかかってないたこ焼きがあるんですけど、これはなんでしょうか?」

 

「そら岩塩をかけたやつやな! 関東のお客さんからすると、結構珍しいやろ?」

 

 おばさんの解説に、なるほどと思いながら見たことのないトッピングのたこ焼きを見やる。

 そうした後でそれぞれが好きなたこ焼きを串に刺し、頬張れば……カリカリの食感とトロットロに蕩けている中身の深い味わいが口いっぱいに広がってきた。

 

「んん~っ! おいひ~っ!! 熱々だから気を付けなくちゃだけど、やっぱりこの感じがたこ焼きだよね!!」

 

「トッピングだけじゃなくてたこ焼きの生地自体にもしっかり味が付いてて美味しいね。これは普通のたこ焼きミックスじゃ出せない味だ」

 

「ちょっと手を加えれば美味しくできそうではあるけど、この味には到底及ばないよね~!」

 

 流石は本場といったところか、地元とはまた違った味わいには僕たちも感心するしかない。

 その上で、自分たちの料理に取り込めることはないかと話し合う中、お店のおばさんが大量のお茶をドンッ、と僕たちのテーブルに置いてくれた。

 

「うちのたこ焼きを褒めてくれておおきにな! これはお礼やで! 遠慮せんと飲んでな!!」

 

「いいんですか!? ありがとうございます!!」

 

「あんたら、旅行でこっち来てるんやろ? 遠いところから来たお客さんにはサービスせな!」

 

 ガッハッハ、と大きく口を開けて豪快に笑いながらおばさんが言う。

 そのご厚意に甘えることにした僕たちが感謝を込めて頭を下げれば、彼女は続けてこんなことを言ってきた。

 

「あんたら、大学生? おばちゃんにはもう、若い子たちがどのくらいの歳なのか見分けがつけへんのよ!」

 

「ああ、いえ。実はまだ、高校生で……」

 

「そうなの!? お兄ちゃん背が高いし、大人っぽいから高校生には見えへんわ~! そっちの女の子は小っちゃいけどおっぱいはおばちゃんの腹ぐらいおっきいし、やっぱ高校生には見えへんね~!」

 

 自分のお腹をバンッ、と叩きながらのおばさんの言葉に、僕は苦笑を浮かべてしまった。

 色んな意味でエネルギッシュだなと思う中、今度は声を落とした彼女がこんなことを聞いてくる。

 

「それで、どうなん? あんたらの中に、付き合ぉてる子とかいるん?」

 

「ああ、だったらその違う意味で大きな二人が恋人同士ですよ!」

 

「ええ~っ! そうなん!? めっさええやないの! 青春してて、おばちゃんも若い頃を思い出すわ~!」

 

 ドラマとかでよく見る、コテコテな雰囲気で尋ねてくるおばさんへと鉢村さんが答えれば、彼女は実に嬉しそうに大声でそう言ってきた。

 これが初対面だとは思えないくらいにぐいぐい来るお店のおかみさんは、その答えを聞くと自分の腿を叩き、僕たちへと言う。

 

「ほなら若いカップルといい思い出のために、もうちょっとサービスしちゃいましょうか! 若いんだからまだまだ食べられるわよね?」

 

「えっ!? で、でも流石にこれ以上は悪いですよ!」

 

「そ、そうっすよ! 飲み物もサービスしてもらっっちゃってるのに……」

 

「いいの、いいの! 若い子が遠慮するもんやないって! 男の子やねんから、もうちょっとガツガツいっちゃいなさい!」

 

 おばさんの過剰なサービスに申し訳なさを抱いた僕と楽人が辞退しようとするも、彼女は全く気にしていない様子で僕たちの不安を笑い飛ばしてみせた。

 そうした後、楽人の方を見たおばさんは彼へと質問を投げかける。

 

「あれ、ちょう待ちぃ? そっちのお兄ちゃんはこっちのちっちゃくておっきな子と付き合ぉとるんやろ? ジブンはどうなん?」

 

「あ、いや、俺はこいつと違って、彼女なんていなくって……」

 

「そうなん? お兄ちゃんもカッコええから、彼女の一人や二人はいると思ったんやけどな……」

 

「いや、彼女が二人以上いたらマズいですって!!」

 

「おっ! いいツッコミやね!! お嬢ちゃん、おばちゃんと漫才コンビ組むか?」

 

 おばさんの言葉に対するひよりさんのツッコミだが、彼女の境遇を考えると微妙に笑えない。

 そういう僕たちの思いなど知る由もないおばさんは、改めて楽人の方を向くと再びコテコテの演技をしながらこんなことを尋ねてきた。

 

「で、お兄ちゃん、どうなん? 実はこっちの女の子たちの中に、狙ってる子とかいるんと違うん?」

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