ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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のんびりロビーで話そう

「ふぃ~、ここなら落ち着いて話せそうだね」

 

「ちょっと人が多いけど、ここが一番良さそうだ」

 

 風呂場近くの休憩場から離れた僕たちがやって来たのは、ホテルのロビーだった。

 フロントのスタッフさんや出入りする人たちがちょこちょこいるが、ソファーも置いてあるし落ち着いて話すには申し分ない場所である。

 

 少し跳ねるようにして元気よくソファーに座ったひよりさんの隣に座った僕は、置いてあるテレビを見ながら軽く話を振った。

 

「天気予報、明日も晴れだって言ってるね。帰る時に苦労しないで済みそうだ」

 

「やったね! 優希と遊佐くんも仲直りできたし、たこ焼きも美味しかったし、何より楽しかったし……今回の旅行は大成功だ!!」

 

 目的を達成したことはもちろんだが、仲のいい友達五人で楽しい思い出を作れたこともとても嬉しい。

 基本的にたこ焼きを食べ歩いただけではあるが、それでも十分に楽しい旅行だったと言い切れる。

 

「吾郎さんと睦美さんに感謝しないとね。色々、手配してくれたしさ」

 

「いいホテルだよね、ここ! お風呂も綺麗で広かったしさ~! おかげでお肌もツヤツヤですよ!!」

 

 そう言いながら、頬をきゅっきゅっと鳴らすように撫でたひよりさんが楽しそうに笑う。

 隣に座る僕へと視線を向けた彼女は、目を細めながらこんなことを聞いてきた。

 

「お風呂上がりのあたしたちを見た時、ドキッとしてたでしょ? 色っぽくてびっくりしちゃった?」

 

「あ~……バレてた? まあ、うん。浴衣姿は見慣れてないから、ちょっとドキドキしちゃったかな」

 

「へぇ~? パジャマ姿は見慣れてるはずなのに、それでもドキッとしちゃったんだ? なるほど、なるほど……!」

 

 僕と楽人の反応を見逃さなかったひよりさんの言葉に、苦笑を浮かべながら正直な答えを返す。

 その答えを聞いてにや~っと笑う彼女へと、僕はこう続けた。

 

「そもそも、パジャマ姿だって見慣れてはいるけどドキドキしてないわけじゃないからね? 家族の前だから冷静でいられるように努力してるだけだよ」

 

「おっ? そうなの?」

 

「好きな女の子の無防備な姿を見て、緊張しない男なんてどこにもいないよ。楽人だってそうだったでしょ?」

 

「えへへ~……! そっかそっか~……!」

 

 お風呂上がりの熊川さんの姿を見て、僕以上にドギマギしていた楽人の姿を思い出したひよりさんが上機嫌に笑う。

 嬉しそうに足をぱたぱたした後、フロントを見た彼女は、僕に顔を近付けると共に小さな声でこう言ってきた。

 

「やっぱりあれかな? ここであんまりイチャイチャし過ぎたら注意されちゃうかな?」

 

「だろうね。そういうことは部屋でやれって言われちゃいそうだ」

 

「う~む、その辺のラインはしっかり守らないとか~……ちなみにキスってアウトだと思う?」

 

「普通に考えて、余裕でアウトでしょ」

 

「え~っ!? でも、外国のお客さんとかは挨拶でキスすることもあるだろうし、ワンチャンない?」

 

「ないない、絶対にない」

 

「ちぇ~、残念だな~……!!」

 

 不満気に頬を膨らませるひよりさんだが、流石に場を弁えてくれてはいるようだ。

 ……ただ少し、こういう会話をしている時点でアウトな気がしなくもない。

 思えば、さっきの楽人もそうだが、たこ焼き屋さんを探している時にも熊川さんと鉢村さんからバカップル扱いされてしまったし、その辺については色々と気を使わなくちゃいけない気もしてきた。

 

 だがまあ、深く考えるのも良くない気がしたので、これ以上は止めておこう。

 キスとかハグとか、そういう接触みたいなことをしないで小声で話せば問題ないだろうという考えの下、僕はひよりさんと話を続けていく。

 

「今回は食べ歩きだけで終わっちゃったけど、今度は色んな所に行ってみたいよね! 本場のお笑いも見てみたいし、テーマパークにも行ってみたい!!」

 

「大阪、色んな名所があるもんね。たこ焼き以外にも美味しいものもあるだろうし、食い倒れの旅も楽しそうだ」

 

 色んな妄想を膨らませながら、僕たちは次の旅行ではどんなことをしようかと話していく。

 美味しい物をお腹いっぱい食べるのも、名所を巡るのも、色んなアクティビティを楽しむのも全部面白そうだと話していきながら、僕はひよりさんへと質問を投げかける。

 

「大阪もいいけど、他の観光地にも行ってみたいよね。ひよりさん、どこか旅行してみたい場所とかある?」

 

「う~ん、そうだな~……いっぱいあって迷っちゃうな~……!!」

 

 僕からの質問にひよりさんはさらに想像を巡らせて、楽しそうに答えを考え始める。

 ふんふんと少し唸った後、彼女は幾つか思い浮かべた答えの内の一つを僕に教えてくれた。

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