ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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大阪を発つ日の朝に……

「ふぃ~! 朝風呂気持ち良かった~!」

 

「これで大阪ともお別れか。あっという間だったけど、楽しかったね」

 

「気軽に参考にできるようなレベルじゃなかったけど、たこ焼きも美味しかったしね! さあ、帰って文化祭の準備を進めるぞ~!」

 

 昼前、ホテルをチェックアウトした僕たちは、帰りの新幹線に乗るべく駅までやって来ていた。

 大阪旅行は鉢村さんの言った通り、あっという間に終わってしまったが……たくさんの楽しい思い出が作れて、僕たち全員が満足している。

 何より、気がかりだった楽人と熊川さんの関係が修復できたことを喜んでいた僕の前で、二人は何かを話していた。

 

「ねえねえ! 新幹線に乗る前に駅でお弁当買おうよ! こっちでしか食べられない駅弁もいっぱいあるだろうしさ!」

 

「いいね! どうせ食い倒れるなら、最後まで美味いもの食べまくっちゃおう!」

 

「そのためにわざわざ朝ご飯を抜いたみたいなところもあるしね~! ひっひっひ~! な~に食べよっかな~?」

 

 最後まで食い気が全開だが、この旅行はそれでいいのかもしれない。

 ひよりさんも途中から参加し、大阪の駅で買える駅弁について三人が話す中、咳払いをした鉢村さんがその話題を中断させながら言う。

 

「はいはい、一旦ストップね。とりあえず、今のうちに帰りの席順決めとかない?」

 

「え? 必要ある? 乗り込んだ後で適当で良くない?」

 

「まあ、私たちはそれでもいいけどさ……ほら、行きの新幹線で離れ離れになってたカップルがいるじゃん?」

 

「ああ~、なるほど……」

 

 ちらり、と僕とひよりさんを見ながらの鉢村さんの言葉に、熊川さんが納得する。

 若干ふざけての言葉なのだろうが、彼女と楽人は結構真面目に受け取ったようだ。

 

「そうだよね。私と遊佐くんに気を使ったせいで、昨日は別々で座ってたもんね……」

 

「その辺は申し訳なく思ってるし、帰りは二人で隣の席に座って、遠慮なくイチャイチャしてくれ」

 

「う、うん……なんか逆に気を使われ過ぎて困るな……」

 

「まあまあ、いいじゃない! 問題も無事に解決したし、逆に気を使ってくれるくらいには余裕もできたってことでさ!」

 

 それはその通りなのだが、楽人と熊川さんの雰囲気から察するに、かなり真面目に言っているような気がしてならない。

 もしかしなくとも、二人は僕たちが常時イチャついてなければ死ぬ生き物だと思っているのだろうか? 流石にそれはツッコまざるを得ないのだが……。

 

「まあ、冗談は別にしても、二人は隣同士がいいわけでしょ? 無理にイチャつけとは言わないけど、大食いのひよりは駅弁の食べ比べとかもしたいだろうし、二人は隣ってことで」

 

「今、なんか余計なこと言ってなかった? あたしの気のせい?」

 

「まあまあ、いいじゃない。僕も駅弁は楽しみにしてるし、別々のものを買ってシェアしようよ」

 

 鉢村さんにツッコミを華麗にスルーされたひよりさんが頬を膨らませる中、僕は彼女にフォローを入れる。

 イチャつくわけではないが、そういう楽しみもあるよねという僕の言葉にひよりさんも納得してくれたようだ。

 

「こういうのは大食いとは関係ないけど、たくさん種類を食べられた方が嬉しいからね! 新幹線が来るまで時間もあるし、二人で色々見て回ろっか!」

 

「うん、そうだね」

 

「……やっぱこの二人、イチャつくまでが早くない? これって実質、デートの約束でしょ?」

 

「このくらいは別に普通だよ。学校でも友達同士で購買とか見に行って、お昼ご飯に何を食べるか話したりするでしょ?」

 

「そうだな……まあ、そうか……?」

 

 これに関しては考えすぎだと、訝しむ二人へと僕は冷静にツッコミを入れた。

 やっぱり脳内補正が強過ぎて僕たちが実際以上のバカップルに見えているんだなと思いながら、ちょっとずつこの偏見の眼差し(?)を解消していこうと僕は心に決める。

 

 楽人と熊川さんはまだどこか納得していない様子を見せていたが……鉢村さんはそんな二人へと視線を向けると、さも当然といった様子でこんなことを言う。

 

「んで、そこの二人も隣同士ね。私は余った席に一人で座るわ」

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