ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする 作:烏丸英
「楽人、どうなると思う? 告白、上手くいくかね~?」
「俺はダメな方に一票! あいつってなんか、友達としか見れないタイプの男じゃん?」
「雄介は? どっちだと思う?」
「僕は……OKしてもらえる方に一票かな」
「おっ! 彼女持ちの一票は実質百票くらいの価値があるからな! まあ、だからといって告白の成功率が上がるわけじゃあねえんだけどさ」
「俺も成功するに一票だけど……嫌だな~! またリア充が増えたら、置いてきぼりにされてる感が強くなっちまうじゃねえかよ~!」
あはは、とそんな嘆きの叫びに僕たち全員が笑う。
ややあって、その笑い声が静まった後、誰かがぼそりと言った。
「……上手くいくといいよな。あいつ、頑張ってたしさ」
その言葉に、僕を含めた全員が静かに頷く。
なんだかんだとからかったり、上手くいかないんじゃないかと想像したりしている友達もいたが……心の中では、楽人の想いが届くといいなとみんな思っていた。
文化祭の実行委員として頑張る姿も、紫村との一件でバタついてしまった時の多方面へのリカバリーも、当日の奮闘に関しても、僕たちは全部見ている。
それを熊川さんがどう評価するかはわからないが、男子も女子も上手くいってほしいと同じことを願っていた。
「でもダメだったらどうするよ? 慰める方法とか、今のうちに考えとくか?」
「打ち上げの時とか気まずいぞ~! 立役者の二人がそんなんじゃ、空気が絶対ヤバイことになるって!!」
「地味にだけど、楽人が失敗する前提で話してるのって良くない気がしてきたな……」
ふざけた会話をしているように見える僕たちだが、実はこれで結構緊張している。
告白する本人も絶対緊張しているだろうが、結果を待つ僕たちの方もそれなりにそわそわするものなのだと、こういう立場になって初めて知った。
(多分これ、僕がひよりさんに告白した時よりも緊張してるよな……?)
と、自分が告白した時のことを考えたタイミングで、他のみんなも似たようなことを考えたようだ。
緊張をごまかすような笑みを浮かべながら、僕に質問を投げかけてくる。
「告白といえばさ~! 雄介の時はどうだったんだよ? やっぱ緊張したのか?」
「いや、こいつはそんなんじゃないだろ? だって、付き合う前からもうほぼほぼ付き合ってた感じだったしさ~! 勝ち確の勝負なんだから、緊張はしなかったんじゃね?」
「そんなことないだろ? やっぱどんな時だって告白は緊張するもんだよなぁ?」
やっぱりみんなも思うことは同じなんだなと苦笑しながら、一つ息を吐く。
近くの椅子に座った僕は、みんなからの質問にこう答えた。
「緊張は……それなりにしたかな? やっぱり特別な感じではあったし、しっかりけじめをつけるつもりでの告白だったしさ」
「うおっ、思ってたよりも真面目だな、おい……!」
「でも雄介はそんな感じだろ。恋人みたいなことしてるなら恋人になる、なあなあの関係のままじゃ良くないって思って行動するって、男らしくていいと思うぜ」
「ありがとう。やっぱり不安もあったからこそ、ひよりさんにOKしてもらえた時も嬉しかったな。ちゃんと想いが通じ合った気がしたし……だから、楽人もそうなればいいなって、僕は思ってるよ」
好きな人に好きだと伝える緊張も、その気持ちが通じた瞬間の喜びも、とても大事なものだ。
今、熊川さんに告白しようとしている楽人も、あの日の僕と同じような感情を抱いているのだろうか……と考えたところで、その楽人からメッセージが届く。
「お、おい! 楽人、こっち来るって!」
「け、結果は? どうなったんだ!?」
敢えて告白の結果は報告せず、こちらに来るという文章だけを送ってきた楽人の真意が読めない僕たちは、感じていた緊張を一気に跳ね上げた。
楽人の方は楽になっただろうに、どうして僕たちがこんなにそわそわしなくちゃならないんだと心の中で思う中……教室の扉が開き、楽人が姿を現す。
「が、楽人……結果は?」
俯いたままの楽人へと、僕は固唾を飲みながら声をかける。
その声に反応して顔を上げた彼は、こちらを見つめながら深呼吸をし、そして――!!