ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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二度目のコスプレ、僕たちが決めるの!?

 楽人と熊川さんの気まずさが払拭されてからの打ち上げは、実に楽し気な雰囲気で進んでいった。

 

 二人を心配していたクラスのみんなも不安が解消されたおかげでよりハイテンションになり、予想以上の盛り上がりを見せていく。

 ひよりさんたちに続いて、参加者の半分以上がコスプレを始め、その状態で歌ったり騒いだりするというカオスな雰囲気になったが……とりあえず、みんなが楽しめているならいいことだと思う。

 

 僕もみんなと話したり、恥ずかしがりながらも歌ってみたり、フードメニューをつまんだりして、存分に打ち上げを楽しんでいた。

 

 そんな中、一曲歌い終えた鉢村さんがこんなことを言う。

 

「さ~て、そろそろお色直しといっちゃいますかね~。折角だし、別のコスプレとかも楽しんでみたいでしょ?」

 

「おっ、いいね~! 他にも色々かわいい衣装もあったし、そっちも着てみたかったんだ~!」

 

「それじゃあ、あたしも別の衣装にチェンジしてきちゃおっかな~っ!!」

 

 鉢村さんの提案に、いつも通りの元気を取り戻した熊川さんが両手を上げて賛成する。

 ひよりさんも楽し気に声を弾ませて同意する中、ニヤリと笑った鉢村さんが僕と楽人に向けて言ってきた。

 

「だったら折角だしさ、今度は尾上くんと遊佐くんが見てみたいコスプレにしてみればいいんじゃない? そっちのが、二人も嬉しいでしょ?」

 

「えっ? ええっ!?」

 

「いや、流石にそれは……!!」

 

 いきなりそんなことを言われた僕たちは大いに慌ててしまう。

 僕はまだしも、楽人の方はまだ付き合っているわけでもない熊川さんに図々しいというか、恥ずかしいことはできないと暗に伝えていたのだが、当の彼女は逆に乗り気な態度を見せていた。

 

「別にいいんじゃな~い? こういうのはノリでしょ、ノリ!」

 

「そ、そうかなぁ……? まあ、熊川さんが良いって言うなら、俺は別に構わないけど……」

 

「ふふっ! 遊佐くんのリクエストに応えてあげるんだから、ちゃんと褒めてよね!」

 

「は、はい……!!」

 

 どこか楽しそうにしている熊川さんの笑顔は、普段と少し違うように見えた。

 いつもとまた違う彼女の魅力を目の当たりにして緊張している楽人が背筋を伸ばす中、ニコニコ顔のひよりさんが僕へと紙を差し出してくる。

 

「はい! 貸し出してるコスプレ衣装の一覧表ね! これ見て、好きなの選んでいいよ!」

 

「ど、どうも、ありがとうございます……?」

 

 なんでひよりさんも楽しそうなんだと思いながらも、彼女の性格ならば楽しむかとも思った僕が謎の敬語で表を渡してくれたことに感謝を述べる。

 「羨ましいぞ~!」だとか「流石は彼氏~!」だとかのクラスメイトたちからの野次に顔を赤くしながら、この空気に逆らうわけにはいかない僕は、一覧表に載っている衣装を確認していった。

 

「男同士で相談とかしないで、自分だけで選んでね!」

 

「つまりあれか? これで雄介と楽人の性癖がわかっちまう、ってことか!?」

 

「これ、結構恥ずかしくない? 彼女にどんな格好をさせたいとかだけじゃなくって、どういうコスプレが好みなのかもわかっちゃうんだもんね……!!」

 

 そんなみんなの話を聞くと、恥ずかしさが余計に強まってしまう。

 確かに個人的な趣味が露見するのは恥ずかしいし、明日からクラスのみんなに変な目で見られるようなコスプレを選んだらちょっとした地獄が始まってしまうだろう。

 

 かといって日和った衣装を選んだらそれはそれでブーイングを浴びそうだしなと考えながらちらりと楽人の方を見れば、親友もまた色々と悩んでいるようだった。

 おそらくはかなりの緊張とプレッシャーを感じているであろう彼が汗をだらだらと流している姿に同情しながら、僕はこの問題に対する答えを模索し始める。

 

(最優先事項は肌を見せないことだな。ひよりさんのあられもない格好をクラスの男子に見せたくないし……)

 

 僕にとって何よりも優先すべきはそこだ。

 バニーガールみたいな露出の激しい衣装も用意されているが、こんなもの絶対にひよりさんに着せるわけにはいかない。

 

 ……いや、見てみたくはあるのだ。でも、他の男子たちの前でこんな衣装を着てもらうだなんて、彼氏としては絶対に許せなかった。

 

「ほら~、早く選びなよ~! みんなもあたしも待ちくたびれちゃうよ~?」

 

「待って……! もうちょっと待って……!!」

 

 にやにやと笑うひよりさんのお尻からは、かわいらしい悪魔の尻尾が生えているように見えた。

 なんでそこまで楽しそうなんだと心の中でツッコミを入れつつも必死に頭を悩ませた僕は、ようやく決めた衣装の希望を彼女に伝える。

 

「おっけ~! じゃあ、楽しみにしててね~!」

 

 最後まで楽しそうに笑いながら、ひよりさんは部屋を出て行った。

 残された僕は楽人と共に周りからの視線に耐えながらただ待ち続け、そして……三人が戻ってくる。

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