ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする 作:烏丸英
「雄介くん、大丈夫?」
「ああ、ごめん。僕は平気だよ。変な空気になってなかった?」
「そっちの方こそ大丈夫だよ。遊佐くんも言ってたけど、雄介くんが言葉を選んでくれてたしさ」
そう言いながら、ひよりさんが僕に近付いてくる。
巫女装束姿の彼女を独占できていることに少しだけ喜びを感じる僕へと、ひよりさんは軽く手を叩いた後で腕を伸ばしてきた。
「んっ! 雄介くんのモヤモヤが飛んでいきますように! えいっ!!」
「ふふっ……! もしかして、巫女さんのコスプレをしてるから、僕のために祈ってくれたの?」
「うん、そんな感じ! どう? 効果あった?」
「もちろん。効果覿面だよ」
かわいらしいひよりさんの気遣いに感謝しながら、笑顔の彼女へと頷く。
元々、そこまで怒っていたわけではなかったし、ひよりさん自身が気にしていないのなら僕としてはどうでもいいことだと考える中、彼女が言う。
「にしても、失礼しちゃうよね! 確かに合法ロリ爆乳幼稚園児とか面白くはあるかもしれないし、ある種のロマンがあるかもしれないけどさ~!」
「……なんか、巨乳が爆乳に差し替えられてない? 割と乗り気?」
「ふっふっふ~! 雄介くんが見てみたいって言うなら、普通に着るよ! まあ、そんな趣味はないみたいだけどさ!」
これは多分、遠回しに「あたしは気にしていない」と僕に伝えているのだろう。
冗談めかして言いつつも、しっかり僕を気遣ってくれるひよりさんに改めて感謝した僕であったが……続く彼女の言葉に、思わず固まってしまった。
「まあ、そもそもこの巫女服もそこまで趣味じゃないでしょ? 一番見たかったコスプレ、他にあるよね?」
「えっ……!?」
そんなひよりさんの言葉に、僕はギクッという音が見えるくらいにわかりやすいリアクションを見せてしまった。
にやにやと笑う彼女は、まるで名探偵のように自分の考えを語っていく。
「雄介くんのさっきのリアクションを見るに、あたしが見世物みたいになるのは嫌だと思ってるはず。ということはつまり、スモックみたいなネタ衣装はもちろん、露出が激しかったり体のラインが出るような服は着せたくないわけでしょ?」
「うっ……」
「この巫女装束はそういった条件から外れてる中から選んだ、いわば消去法の果てに選択したコスプレ。ここにみんながいなければ、他にあたしに着てもらいたかった服があるんだよね?」
「あ~……う~ん……?」
「そして何より……一番重要な情報がすっぽ抜けてる」
「い、一番重要な情報? 何のことかな……?」
小悪魔の尻尾、再び。僕を見つめるひよりさんは、いたずらっぽい笑みを浮かべながら甘い声でこう言った。
「雄介くんは……し♥ り♥ ふぇ♥ ち♥ だってことだよ!」
いちいち一言ずつ区切らなくていいです。あと、それは誤解です。
蠱惑的にそう言ったひよりさんへとツッコミを入れるよりも早く、彼女は笑顔を浮かべながら話を続ける。
「そういうわけで、あたし的にも色々考えて……雄介くんが好きそうなコスプレ、選んでみたんだよね~! そんで、試着して撮影してみた!」
「そ、そうなんだ……?」
「……見たくないの? あたしが雄介くんのために選んだコスプレしてる姿」
「……見たいです」
「ふふふふふ……っ! そう言うと思って、もう写真送っておいたよ。スマホ、見てみて」
ちょっぴり湿度を感じさせる笑みを浮かべながらのひよりさんの言葉を受け、言われるがままにスマホを取り出す。
完全に手玉に取られてるなと思いながら彼女からのメッセージを確認した僕は、ひよりさんから送られてきた画像を確認して思わず息を飲んでしまった。
「ふふっ! どう? 本当は、これを着てほしかったんじゃないかな~?」
……そう尋ねてくるひよりさんが送ってきた写真は、確かに僕が心惹かれたコスプレをしている姿だった。
シンプルな白の体操服と、紺色のブルマ……本当に変態チックだったし、体のラインが出る服でもあったから止めておこうと真っ先に外したものだったが、確かに巫女装束よりも見てみたいと思ったかもしれない。
鏡に向けてスマホを構えるひよりさんはブルマに包まれた大きなお尻が見えるように体勢を作っていて……それがなんだか、僕のフェチズムを理解している彼女ムーブに見えて、よりドキドキしてしまう。
改めて言うが、僕は尻フェチではない。しかし、この写真を見ているとそう言われてもいいかな……と思ってしまうだけの魔力があった。
「……ありがとうございます」
「えへへ~! 他にも着てほしい服があったら言ってね! 二人きりの時に着てあげるからさ! ……えっちなコスプレも、雄介くんが見たいならしてあげるからね」
これがもう十分えっちですと、大きなお尻と体操服に包まれた胸を強調するようなひよりさんの体操服姿に対する感想をギリギリで飲み込む。
彼女に理解され過ぎてるのもそれはそれで問題だなと思いながら、僕は