ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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短編・ひよりさんと僕と色んな秋
楽しくて甘い食欲の秋デート


 秋……それは様々なものが流行る季節。

 例えばスポーツの秋だったり、芸術の秋だったり、読書の秋というものだってある。

 

 暑い夏が終わり、涼しくなるにつれて、運動や芸術活動に精を出しやすくなる季節だということなのだろう。かく言う僕も今、ひよりさんと秋を堪能している真っ最中だ。

 学校帰り、もはや行きつけと言ってもいいレベルで通っているスイーツバイキングで食事を楽しんでいる僕たちは、秋の味覚を存分に楽しんでいた。

 

「ん~っ! やっぱり秋と言えば和スイーツだよね~! お餅ももちもち食感が堪らな~い!」

 

 幸せそうに頬を押さえながら言うひよりさんは、文字通り食欲の秋を思い切り味わっているようだ。

 大きく口を開けて串団子を頬張る彼女を見つめながら、僕も笑顔を浮かべ、言う。

 

「こういうスイーツもそうだけど、秋は旬の果物も多いから、フルーツをそのまま食べるのも美味しくていいよね」

 

「わかる~! 柿にぶどうに梨もそうでしょ~! 今回は和スイーツのコースにしちゃったけど、次はフルーツコースを楽しむのもいいな~!」

 

 【秋の味覚満喫フェア】と書かれた横断幕を見つめながら、ひよりさんの言葉に頷く。

 普段以上の種類のスイーツが並べられているショーウィンドウにはお客さんたちが集まっていて、全員が楽しそうにしていた。

 

「さ~て、次に行くぞ~! 何食べよっかな~っ!?」

 

 僕がそんなことをしている間にひよりさんはお皿の上の料理を食べ終え、おかわりを求めて立ち上がっていた。

 やっぱり大食いだなと思いながら、そういうところもかわいく思っている僕もまた、席を立ちあがりスイーツたちを取りに行く。

 

「モンブランにさつまいものタルト、季節のフルーツを入れたゼリーもある! ああ、迷っちゃう……! どれを食べよう……!?」

 

「あ、こっちに栗ご飯もあるんだ。さつまいもが入った豚汁も用意されてるし、すごいなぁ……!」

 

「パスタコーナーには秋限定のきのこパスタも置いてあったよ! 食べたいものが多過ぎて本当に困っちゃうよね!!」

 

 スイーツバイキングのお店だが、甘いものばかりでは飽きるためかそういう主食も用意されてあった。

 秋ということで普段よりも力が入っているのか、期間限定のフードメニューもかなり美味しそうだ。

 

「こういうの見てると、甘いもの以外にも秋は美味しいものが多いってことを思い出すよね。今度、炊き込みご飯とか作ろうかな?」

 

「いいね! 栗ご飯とかさつまいもご飯も美味しいけど、きのことか鶏肉をたっぷり入れた炊き込みご飯も美味しくって好きだな!」

 

「あとは……魚も旬が多いか。王道のサンマにサケ、サバもそうだ」

 

「うあ~っ! 口の中が甘いせいか、しょっぱい魚が食べたくなってきた……! 脂の乗ったサンマに醤油をかけて、ご飯のおかずとして一口。涎が、涎がぁ~……!」

 

 僕が美味しいものを挙げる度に、ひよりさんがその味を想像して身をよじるようにしながらリアクションを見せる。

 ちょっと面白いなと思いながらその姿を見守る僕に対して、彼女はこう言ってきた。

 

「雄介くん! 今日の晩ご飯、サンマにしよう! もしくはサケ! あるいはサバ!!」

 

「あははっ! うん、いいよ。でも、バイキングでお腹いっぱいになるまで食べるのに、夜ご飯も食べられるの?」

 

「大丈夫だよ! 甘いものは別腹、だしさ! さ~て! そうと決まったらほどほどにいっぱい食べちゃうぞ~!」

 

 そう言いながら、ひよりさんが秋限定のスイーツを次々とお皿に乗せていく。

 今日という日と、食欲の秋を存分に堪能するひよりさんはとても幸せそうな笑顔を見せていたが……この時の僕は知らなかった。

 

 数日後、厳しい現実が彼女を襲うということを……。

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