ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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ひよりさんと僕とスポーツの秋(筋トレ編)

「りょ~か~い! よっしゃ! やってやるぞ~っ!!」

 

 元気よくそう言ったひよりさんが、縄跳びを始める。

 言われた通り、最初はゆっくりとしたペースで体を慣らしながら、彼女は僕へと言ってきた。

 

「う~ん、懐かしい……! もう何年もやってないけど、体が覚えてるもんだね~!」

 

「小学生以降はやってないはずだけど、割と二重跳びとかってできるもんだよね。まあ、今回はそこまでする必要はないんだけどさ」

 

 懐かしいなと思いつつ、小学生時代を振り返る。

 体育の授業で縄跳びや大縄跳びをやったよなと思い返しながら、いつの間にか授業でそういうこともやらなくなったなと考えて少し寂しさを覚えた僕へと、ひよりさんが笑みを浮かべながら口を開いた。

 

「え~? でもそっちの方が色々と揺れて雄介くんも嬉しいんじゃない?」

 

「嬉しくないです。っていうか、揺れたら痛いって話を聞くし、むしろ揺れない方がいいです」

 

「いやまあそうなんだけど、やっぱり彼氏がそういうえちえちな姿を見たいって言うなら、彼女として協力することもやぶさかじゃないかな~って……!! ダイエットに協力してもらってるお礼も兼ねて、乳揺れくらいはサービスするよ!」

 

「大丈夫だから、ひよりさんが健康的に痩せてくれればそれでいいから」

 

「う~む、やっぱり尻フェチ……胸の方にはあんまり興味がないか……」

 

「そうじゃないからね? っていうか、そこまで話せるならもうウォーミングアップは十分かな?」

 

 そうツッコミを入れつつ、僕はポケットからストップウォッチを取り出す。

 ぴょこぴょことかわいらしくジャンプを続けるひよりさんを見つめながら、僕は彼女へと言った。

 

「じゃあ、そろそろペースを上げていこうか。一分に六十回のペースがダイエットには最適なんだって」

 

「一分に六十回!? それってつまり、一秒に一回跳ばなきゃいけないってことじゃん!!」

 

「うん、そうだよ。頑張ろうね、ひよりさん」

 

「優しい顔して地味に大変なこと言ってるよね!? くぅぅ……! でも、やるっきゃないか……!!」

 

 そう言って意を決した表情を浮かべたひよりさんが、少しずつジャンプのペースを速めていく。

 大きく跳ぶのではなく小刻みな跳躍を繰り返し、体力を消耗し過ぎないように調節しながらペースを作り上げていく彼女は、段々と余裕を失っていった。

 

「やっぱ、結構、きつい……!! 縄跳びって、こんな大変だったっけ……?」

 

「でもペースとしてはいい感じだよ。その調子で頑張って!」

 

「頑張ってる、もう頑張ってるよ! ぐぅぅ……っ! 小学生の頃から背は伸びてないのに、胸とお尻が育ったせいで体が重い……っ!!」

 

 そう呻くひよりさんの言葉を聞いたせいで少し意識してしまった僕が視線を彼女の胸に向ければ……そこはまあ、見事に揺れていた。

 ゆさっ、ゆさっ、という大きな揺れではないが、やっぱりあれだけ大きいと跳躍に合わせて上下するもんなんだなと考えたところで、自分の不埒な考えを頭の中から追い出す。

 

 幸い、跳ぶことに精一杯なひよりさんはそんな僕の変な考えに気付いてはいないようで、段々と呼吸を荒げながら必死に縄跳びを続けてくれていた。

 

「ゆ、雄介くん? もう一分は跳んだよね? 休憩は?」

 

「ああ。縄跳びって三分は続けた方がいいんだって。それが一セットで、そしたら休憩ね」

 

「三分!? 一分じゃないの!? あたし、一分だけでも限界なのに、その三倍は無理だって!」

 

「う~ん……とりあえず、一回チャレンジしてみようよ。ダメそうだったらそこで調整するからさ」

 

「雄介くんって割とSだよね!? もしかしてだけど、普段からかわれてるお返しをこの機会にしてやろうとか考えてない!?」

 

 そんなつもりはないのだが、元運動部員としてはとりあえず練習は全力で頑張ってみるという考え方が根付いてしまっているから、それが原因なのかもしれない。

 僕の体育会系な言動にツッコミを入れつつも必死にジャンプを繰り返すひよりさんは、既に体力の限界を迎えて息を荒げに荒げていた。

 

「はあっ、はぁ……っ! 無理、もう無理ぃ……!! お願い、少しでいいから、休ませて……!」

 

「あと一分だから! もうちょっとだけ頑張ろう! ひよりさんならできるよ!!」

 

「んっ、ふぅぅ……これ終わったら、雄介くんもあたしと同じこと、やってね? どんだけ苦しいか、身を以て経験してもらうんだから……っ!!」

 

 どこか艶めかしい表情を浮かべるひよりさんは、頬を紅潮させながらそう僕に言った。

 その表情と荒くなる呼吸、そして揺れる胸とTシャツからちらりと覗くおへそを見た僕は再び妙な想像を繰り広げてしまうも、そこで時間がきたことを確認し、彼女へと言う。

 

「あ、三分経ったよ! じゃあ、一旦休憩しようか」

 

「い、一時間……一時間くらい休憩ちょうだい……!」

 

 へろへろになったひよりさんが、どすんと音を響かせるように大きなお尻を地面に下ろす。

 先ほどまでのどこか色っぽい雰囲気は何処へやら、完全に疲れ果てた表情を浮かべている彼女の様子を見て苦笑した僕は、少し長めの休憩時間をプレゼントした後でダイエットを続けていくのであった。

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