ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする 作:烏丸英
(初めてひよりさんがうちに泊まったのも半年以上前か……なんだか懐かしいな)
出会ってそう時間も経っていない頃に事故のような形で我が家に泊まるようになってから早半年、ひよりさんは当たり前のように家に泊まるし、僕たちもそれを平然と受け入れている節がある。
まあ、夏休みの間、ずっと一緒に生活していたんだから、当たり前といえば当たり前なのだが……慣れたもんだなと自分でも思ってしまう。
(初めてのお泊りの時はずっと緊張しっぱなしだったのに、今では平然とそれを受け入れられるようになってるんだもんなぁ……)
ひよりさんが我が家に泊まることになったあの日は、本当に落ち着かなかった。
寝る前に僕の部屋で話をして、ようやくどうにかなったが……それまでは何から何までそわそわしっぱなしだったと思う。
クラスメイトの女の子がお泊りするとなったら、それも当然の話だろう。
それをラッキーと思えるような図太さはあの頃の僕にはなかったし、今後もそれを身につけられる自信はない。
そんなことを考えつつ、今やクラスメイトの女の子から彼女になったひよりさんとのこれまでのことを思い返しながら感慨深さに浸っていた僕は、改めて初のお泊りのことを振り返っていく。
そういえば、あの時もお風呂に入っていたひよりさんと話をしたな……と考えたところで、風呂場の扉越しに見えた彼女のシルエットが勝手に頭の中に浮かび上がってきた。
シャワーを浴びるために立っていたひよりさんの、朧気に見える体の輪郭。
体はとても小さかったが、胸とお尻はすごく大きかったなと不埒なことを考えたところで、僕はハッとして首を振る。
あんまりそういうことを考えるべきではないとは思っていたのだが……何分、ひよりさんと恋人という関係になった今の僕には、あの日に見てしまった彼女のぼやけた姿を補完するだけの情報を得てしまっている。
しかも今の今まで運動用の薄着になっていたひよりさんの姿を見ていたから、胸やお尻の大きさが割とはっきりイメージできるようになっていた。
(いやいや、駄目だって! そういうの良くないぞ、僕!!)
女の子の裸を想像するなんて良くないと自分にツッコミを入れつつも、解き放たれてしまった想像力は勝手に僕の脳内にイメージを作り出している。
湯気を纏いながらシャワーを浴びるひよりさんの体に当たったお湯がそのまま膨らんだ胸や大きなお尻を伝い、太腿から脚へと流れ落ちていって……と、その光景を想像して顔を赤くしていた僕は、不意に自分を呼ぶ声を耳にして驚き、跳び上がってしまった。
「雄介くん、ごめん! ちょっといい!?」
「うわっ!? ななな、何? ど、どうかした?」
良くない妄想を働かせていたところで、イメージしていた相手であるひよりさんから名前を呼ばれた僕の動揺は、とんでもないものだった。
狼狽して何度か噛んだ後、どうにかこうにか平静を装って返事をした僕へと、ひよりさんが言う。
「ボディソープがなくなっちゃってさ、悪いんだけど新しいの出してもらっていいかな?」
「あ、ああ、うん。わかった、ちょっと待ってて」
ある意味では絶好のタイミングで声を掛けられた僕は、自分を落ち着かせるように深呼吸を繰り返した後で風呂場へと向かう。
そして、そこで扉の前に立つひよりさんのシルエットを目にして、再び先ほどまでの想像をぶり返らせて顔を赤くしてしまった。
「ごめんね。お世話になってばかりで申し訳ないや」
「き、気にしないでよ。大丈夫だからさ」
そう返事をしつつ、洗面台の下にある収納スペースを漁る。
確かそこに替えのボディソープがあったはずだ……と考えながらお目当ての品を探し出した僕は、それを手に扉を閉めたところでそのすぐ傍にあった物に気付いてしまった。
「あっ……!?」
とてつもないデジャヴなのだが……脱衣場には、当たり前ながらひよりさんが脱いだ服が置いてある。
その一番上に置かれていた彼女の下着たちを目にしてしまった僕は、かつての思い出をフラッシュバックさせると共に目を手で覆った。
(またやってしまった……)
動揺しっぱなしだったせいでその部分を想像できなかったというか、気を回す余裕がなかった。
なんかもう、完全に初お泊りの時の再放送じゃないかと自分にツッコミを入れる中、ひよりさんが声をかけてくる。
「あ、もしかしてだけど、またあたしの下着見ちゃって動揺してる系?」
「……大正解です。ごめんなさい」
「あははははっ! また謝っちゃって! まあ、確かに汗の染みとかできてるであろう下着を見られちゃったのは恥ずかしいけど……全然嫌じゃないから大丈夫だよ!」