ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする 作:烏丸英
「おはよ、二人とも。今日も一緒に仲良く登校か」
「おっはよ~、玲香! 聞いて聞いて! さっき雄介くんがね~!」
「ちょっと待って! 誤解! 誤解だから!! ひよりさんも嬉々として話そうとしないで!!」
「……外はこんなに寒いのに、あんたらは本当に熱々だよね。ちょっと暖を取らせてほしいレベルなんだけど」
そんなこんなで教室に入って早々、鉢村さんに先の出来事を報告しようとしているひよりさんを止めた僕は、彼女の親友からの生暖かい視線を浴びる羽目になっていた。
にゃははと楽しげに笑ったひよりさんは、きょろきょろと教室内を見回した後で鉢村さんへと尋ねる。
「あれ? 優希、まだ来てないの?」
「ああ、うん。私もまだ見てないね」
あともう少しで朝の
遅刻だろうかと考えながら何の気なしにひよりさんに倣って教室を見回した僕は、そこで気になるものを目にしてしまった。
(楽人……? なんか、元気なくないか……?)
バスケ部の一員であり、僕の親友とも呼べる男子、遊佐楽人。
普段は陽気なはずの彼は、自分の席に座ったまま、どこか浮かない顔をしている。
そんな彼の様子に不安を覚えたところで、隣に立つひよりさんの元気な声が響いた。
「あっ! 来た来た! 優希、おはよう!」
「ああ、ひより……おはよう。玲香と尾上くんもおはようね……」
教室に入ってきた熊川さんに明るく挨拶するひよりさんだが、彼女からの反応はどこか元気のないものだった。
普段とはまるで違う熊川さんの様子が気になったのは僕だけではないらしく、ひよりさんと鉢村さんが訝し気に彼女へと問いかける。
「どしたの、優希? なんかテンション低いじゃん」
「寒さで気が滅入ってる……って感じじゃないね。何かあった?」
「あ~……うん、ちょっとね」
そう言いながら、彼女がちらりと楽人の方を気にしたことを、僕は見逃さなかった。
先の楽人の様子も含めて気になることが増えた僕は、思わず熊川さんへとこう聞いてしまう。
「もしかしてだけど、楽人と何かあった?」
「えっ? あっ、そういうんじゃないよ。でも意外と鋭いね、当たらずとも遠からずって感じ」
どうやら親友とその想い人との間に何かトラブルがあったわけではないと知って、僕はほっと胸を撫で下ろした。
しかし、何か悩んでいる様子の熊川さんと楽人が全くの無関係というわけではないようで、そこを気にしたであろうひよりさんたちが追及を始める。
「遊佐くん関連で何かあったってこと? 言われてみれば、なんか遊佐くんも元気なさ気だね……」
「言いにくいなら無理にとは言わないけど、悩んでるなら相談してよ」
「うん、ありがと」
親友たちからの温かい言葉に、熊川さんが微笑みを浮かべる。
そうした後でため息を吐いた彼女は、顔を上げると小さな声で僕たちへと言う。
「……実はさ、さっきちょっと用事があって職員室に行ったんだけど……そこで、田沼先生と他の先生の話を聞いちゃってさ……」
「
田沼先生は楽人が所属しているバスケ部の顧問だ。おそらくだが、熊川さんが聞いたのはバスケ部関連のことなのだろう。
しかも二人の反応を見るに、あまりいい内容ではないことなんだろうなと考える僕であったが……熊川さんの口から飛び出してきたのは、そんな僕の予想の斜め上を行く、あまりにも悪いニュースだった。
「……バスケ部、