ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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くそっ、浮気がバレた……!(仁秀視点)

「完全にやらかしたよな……? どうしよう……?」

 

 その日の夜、俺はベッドの上で悩みに悩んでいた。

 幼馴染であり、恋人の一人でもあったひよりに浮気がバレ、あいつを怒らせてしまったからだ。

 

 これまで何度も喧嘩をしたことがあったが、こういった形での争いは初めてだ。

 長年の付き合いからくる経験からしても、ひよりが相当怒っていることがわかる。

 

「でもさ、しょうがないじゃん。柴村さん……二奈だってかわいいんだからさ」

 

 正直、悪いことをしているという自覚はあった。

 ひよりと付き合うことになってからほとんど間を置かずに他校に通っていた柴村二奈(しむら にな)の告白を受け入れてしまったことに、罪悪感を抱いてもいた。それが理由でいまいちひよりとの関係を進展させられなかった部分もあったとは思う。

 

 だけど、それが不満だったら言ってくれれば良かったんだ。そうすれば俺だって色々改善できたし、愛されてるんだなって思えた。

 

 その点、二奈は「二番目の彼女でもいいから」と積極的にアプローチしてくれたし、事あるごとにメッセージを送ってくれた。

 あまり大きくはなかったけれど胸だって揉ませてくれたし、高校生になったらもっとすごいことをさせてくれると言ってくれたし……色んな形で俺への好意を伝えてくれて、好きだって気持ちを表してくれたんだ。

 

 でも、ひよりはそういうことはなかった。

 学校の連中に付き合っていることがバレるのが嫌でそういう接触は避けようと言っていたとはいえ、会話は幼馴染のそれを超えることはなかったし、デートに誘っても秋ごろから「受験勉強が優先!」とか言って、遊びに行くことも少なくなっていた。

 

 それに、なんて言うか……ひよりとは一緒に居過ぎたせいで、刺激みたいなものが感じられなくなってたんだと思う。

 恋人同士の甘酸っぱい感覚なんてものはあっという間に感じられなくなって、彼氏彼女になる前と何ら変わらない付き合い方が始まった。

 

 こんな状況で俺に好き好きアピールしてくれる女子がいたら、そっちに心が向いて当たり前だ。

 それに、俺だって改善の努力はした。ひよりに愛されてる実感が欲しかったから、少し体を触らせてもらおうと思って動いたんだ。

 

 まずは手を繋いで、キスをして、そこから胸を揉む。全部全部、二奈はやらせてくれた。

 でも正直、背はあれだけど胸のサイズは圧倒的にひよりの方が上だ。あのおっぱいが揉み放題になるのなら、俺は迷わずひよりを選ぶ。

 

 だから俺からアプローチしたのに、ひよりにチャンスをあげたっていうのに、あいつはそれを拒んだんだ。

 

 今日だってそう。俺は恥ずかしかったけどちゃんと言った。俺が好きなら、胸を揉ませてくれって言ったんだ。

 でも、あいつはそんな俺に水をぶっかけて、最低だなんて言って逃げやがった。

 状況が状況だからそうなるのも当たり前かもしれない。だけど、俺だって必死だったし焦ってたんだから、少しはその辺のことを理解してくれてもいいじゃないか。

 

 ほんの少しくらい……触らせてくれればそれで良かったんだ。

 俺は高校に入ってからモテモテだし、それはひよりだってわかってた。だったら、俺の彼女ってポジションを守るために少しくらい努力すべきだろ?

 

 俺はチャンスを与えた。だけど、あいつがそれをぶち壊した。それだけの話だ。

 俺にも悪いところはあるけど、ひよりにだって同じくらい悪い部分があるだろう。

 

「二奈の言うことを聞いてて良かった……! っていうか、ひよりと付き合ってることを隠しといて良かった~……!」

 

 まあ、ひよりとは終わったと考えよう。不安なのはあいつが俺の浮気を言いふらすことだが、その点に関しては前々から対策している。

 メールをはじめ、ひよりとは文章に残る形で付き合っている証拠は残していない。仲のいい幼馴染の会話と言われれば納得できるラインに留めてある。

 

 周りにも付き合っていたことは隠していたから、あいつが何を言おうとも「別に恋人なんかじゃなかった」と「ひよりが勝手に勘違いしてるだけ」で押し通すことができる。

 ありがたいことに、通っている高校に中学時代の友達はほとんどいないことも俺に有利に働いていた。

 

 だから俺の評判が落ちる心配はしなくていい。考えようによっちゃ、これで二奈とも堂々とイチャつけるし……俺にアプローチを仕掛けてくる女の子とも仲良くなれる。

 

 それに、ひよりとは長い付き合いだし、告白だってあいつからしてくれたんだ。

 別れ際の気分は最悪だったけど、あそこまでショックを受けるってことはまだ俺のことが好きなんだろうし、色々と落ち着いたらよりを戻せる可能性だって十分にある。

 

 そうしたら実質的に二股は公認したようなものだし、かわいい女の子二人と同時に付き合える可能性があるだなんて夢が広がりまくりだ。

 

「大丈夫だろ。最悪でも、ひよりとただ別れるだけだ。それに、あいつのことはよく知ってる。幼馴染だしな……」

 

 ひよりだって俺のことはよく知ってるだろうし、そう簡単に離れられるわけがない。あいつはそういう奴なんだ。

 多分、一か月もすれば、あんまり変わらない日常が……いや、今まで以上に楽しい日常がやってくる。そうに違いない。

 

 誰よりもひよりを理解しているのは俺なんだ。その俺がそう思うのだから、絶対に間違いない。

 自分のやらかしを反省しつつ、ひよりが機嫌を直したらどう許してやろうかと考え始めた俺は、その途中で寝落ちしてしまい……結構すっきりとした気分で翌日の朝を迎えるのであった。

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