ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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初めての練習が終わって……

「はい、お疲れ! 練習で使った道具はあたしたちが片付けとくから、雄介くんたちは着替えてきちゃって!」

 

「ドリンクも補充しといたから、着替えながら飲んじゃってよ!」

 

 アップから入り、ディフェンスやレイアップシュートなどの基礎トレーニングを行った後でチームプレイの練習。

 その後はメンバーをとっかえひっかえしての三対三を行えば、あっという間に時間は流れていった。

 

 気が付けば、スポーツセンターのレンタル時間の終わりがすぐそこにまで迫っていた。

 慌てて片付けをしようとする僕たちへと、マネージャーとしてサポートをしてくれているひよりさんと熊川さんが声をかけてくる。

 

 僕たちの代わりに片付けをさせるだなんて申し訳ないと思ったのだが、本当に時間がぎりぎりだ。

 まずは急いで着替えて、その後で片付けをしに来た方がいいと判断した僕は、二人に感謝と謝罪の言葉を述べる。

 

「ごめん! すぐ戻ってくるから!」

 

「気にしなくていいよ! ごゆっくり~!」

 

 笑顔で手を振ってくれるひよりさんたちに軽く頭を下げつつ、僕は駆け足で男子更衣室に向かう。

 同じく小走りになってついてきた楽人と一緒に服を脱ぎ、汗を拭いて……と着替えながら、軽く会話を交わし始めた。

 

「いい汗かけたっていうか、充実した時間だったな。ただちょっと、最後の三対三は考えなきゃいけないところがあるな」

 

「そうだね。チーム分けが難しくなっちゃうね……」

 

 集まったメンバーは合計七人。三対三で試合をすることはできるのだが、問題が一つある。

 メンバーの中でビッグマン……要するに、背が高い人間が僕しかいないのだ。

 

 かく言う僕も飛び抜けて大きいわけではないが、僕の次に背が高い男子の身長が百七十ちょっとだといえば、差の大きさがわかるだろうか?

 十センチの差だけならばまだしも、他のみんなは普段スモールフォワードやシューティングガードといったポジションを担当している選手であり、インサイドでプレイすることに慣れていない。

 

 要するに、インサイドのビッグマンである僕にボールを渡せば、慣れと身長のおかげで比較的楽にシュートを決められるわけで、その結果、三対三のゲームでは僕がいる側が全勝という形になっていた。

 

「これだと俺たちもお前も練習にならないしな。ちょっとやり方を考えねえと……」

 

「センターとか、パワーフォワードの選手が参加してくれると助かるんだけどね。あるいは、もう少し人数を増やせばチームプレイで何とかなるかもだし……」

 

 背の高いインサイドのプレイヤーが入ってくれるか、あるいはもっと人数が増えて、四対四や五対五の試合ができれば、集団で僕を止める戦術が使えるようになる。

 充実した練習だったからこそ浮き彫りになった『人材不足』という問題に直面した僕たちがその対処法を考える中、楽人が小さく呻いてから言った。

 

「う~ん……しょうがねえ。ちょっと心当たりに声をかけてみるか」

 

「えっ? 誰かいい人いるの?」

 

「まあな。今はその話より、急いで着替えて熊川さんたちの手伝いに行こうぜ」

 

 こういう状況で声をかける心当たりがいることに驚く僕へと、シャツを替えた楽人が言う。

 彼に遅れないように慌てて脱いだシャツを鞄に放り込んだ僕もまた、更衣室を飛び出して体育館へと向かった。

 

「ひよりさん、お待たせ! モップ掛け、代わるよ!」

 

「あれ? もう戻ってきたの? もっとゆっくりしても良かったのに~!」

 

「そういうわけにはいかないよ。ほら、貸して」

 

 体育館では、僕たちの汗で汚れたコートをひよりさんがモップ掛けしていた。

 楽人が使った機材を片付ける熊川さんの手助けに向かう中、ひよりさんからモップを受け取った僕は彼女に代わってコートを掃除していく。

 

 ならばとひよりさんは熊川さんの手伝いに向かおうとしたようだが、楽人の邪魔をするのは悪いと考えたようだ。

 他にすることもなさそうだった彼女は、僕の横を歩きながら声をかけてくる。

 

「久しぶりのバスケはどうだった? 感想は?」

 

「楽しかった……かな。うん、その一言に尽きる」

 

「そっか! ふふっ……! 良かった!」

 

 色んな言葉が出てきそうになったが、一番僕の気持ちを表してくれる言葉はこれだろう。

 微笑みながら楽しかったという感想を述べた僕に対して、嬉しそうに声を弾ませたひよりさんへと、言葉を続けていく。

 

「ひよりさんもありがとう。ドリンクの補充とか、タイム測定とか、ボール出しとか……色んな部分でサポートしてもらえて、助かったよ」

 

「へっへ~……! まあ、経験者だからね! 人数も少なかったし、あれくらい余裕だよ!」

 

 えっへん、と大きく胸を張ったひよりさんがドヤ顔になりながら言う。

 そんな彼女を見つめながら、僕はもう一度感謝の言葉を繰り返した。

 

「……今日、久しぶりのバスケを楽しめたのは、ひよりさんがいてくれたっていうのも大きな理由だよ。本当にありがとう。感謝してる」

 

「んっ……! 褒め過ぎだよ、もう……!」

 

 結構本気で言ったせいか、真面目な僕の雰囲気に当てられたひよりさんは恥ずかしくなってしまったようだ。

 顔を赤くした後で呟いた後、大袈裟に体を動かして、彼女は言う。

 

「雄介くんのせいで顔が熱くなってきちゃったじゃん。思ってたより汗もかいちゃったし、上着脱ごうっと……!」

 

 ジジジ……と、ひよりさんがウインドブレーカーのジッパーを下ろす。

 その動きに合わせて彼女の胸元が解放された瞬間、むわっ……♥という湯気が昇ると共に、どこか艶めかしい光景が僕の目に飛び込んできた。

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