ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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上手いこと親友をアシストしよう

「うっ、うわあっ!?」

 

「くっ、熊川さん!? 急に何を……!?」

 

 幽霊のような雰囲気を纏って出現した熊川さんに、僕も楽人も思わず怯えてしまった。

 そんな僕たちへと、何か残酷なものを見てしまったかのような表情を浮かべながら、熊川さんが話をしていく。

 

「あいつ……っていうか、あれは何なんだよ? デカいよ。絶対に前に見た時より大きくなってるよ。ってかデカいよ。巨乳通り越して爆乳だよ。あのかわいらしさでこのレベルの凶器を持ってるのは絶対に何らかの法に引っ掛かるよ。なんなんだよこの差は? ってかケツも含めてデカ過ぎるんだよ……!」

 

「く、熊川さん、戻ってきて……!」

 

「お~い! もしも~し!」

 

「食った分と幸せが胸と尻に行ってるよ。なんだおい、チートじゃねえかよ。私は食べたらお腹が出るんだぞ? なんでひよりみたいな感じにならないんだよ? ズルいじゃんかよぉ……!!」

 

 世界って残酷だ、今の熊川さんを見ているとなんだかそう思ってしまう。

 女子には女子にしかわからない苦悩があるんだなと僕が思う中、急にこっちを見てきた熊川さんが僕へと問いかける。

 

「ねえ、なんで尾上くんはあれを前にして理性を保っていられるわけ? ちっちゃくてデカくてかわいい上にスケベなひよりちゃんじゃん? 私が尾上くんなら、あの乳これでもかってくらいに揉みまくってるよ?」

 

「熊川さん? ここ、人がそこそこいるからね? その会話、聞かれたらマズいって理解してる?」

 

 あまりにも真っすぐな目で僕を見つめる熊川さんの、とんでもなく馬鹿げた質問の内容に思わずツッコミを入れる。

 そうこうしている間に牛乳を手に戻ってきたひよりさんが腰に手を当ててそれを一気飲みすると、満足気な声で僕たちへと言ってきた。

 

「ぷはぁ~! やっぱ風呂上がりはこれだよね~! で、何の話してたの?」

 

「この世の残酷さと格差社会の無慈悲さと尾上くんの理性が鋼鉄過ぎる件について」

 

「あははははっ! 優希はすらっとしててスタイルいいのに、気にし過ぎなんだよ! あたしにはあたしの、優希には優希の良さがあるんだって!」

 

「それはなぁ! ひよりが持ってる者だから言えるんだよ!! 持たざる者である私の気持ちになってみなって!!」

 

 明るく励ますようなひよりさんの言葉に逆に傷付いたであろう熊川さんが血の涙を流さん勢いで噛みつく。

 そんな彼女の言葉を受けてにやりと笑ったひよりさんは、唐突に楽人へと話を振ってみせた。

 

「だから気にし過ぎだって! 遊佐くんだって、優希には優希の良さがあるって思うでしょ?」

 

「えっ!? あ、ああ、うん……そこはその通りだって俺も思う、かな……?」

 

 そこは言い切ってほしかったなと、僕は親友に心の中でツッコミを入れた。

 しかし、楽人は楽人なりに勇気を振り絞って今の発言をしたのだから、足りない部分のフォローは僕がしてあげればいい。

 

「まあ、その通りだよね。熊川さんはどうしても気になっちゃうんだろうけど、そこだけを見てる男ってろくでもない奴だと思うよ」

 

「そうそう! どこぞのロリ爆乳の幼馴染とかね!」

 

 とても覚えがある出来事を振り返った僕がひよりさんの発言に苦笑を浮かべる。

 彼女の中でこうしてネタとして使えるくらいには傷が癒えていることをこっそり喜びながら、僕は言った。

 

「容姿から人を好きになる人間はいると思うけど、容姿だけを重視した上でその人を好きでい続けられる人間はいないよ。それに、人の好みなんて千差万別なんだしさ。ひよりさんと比べて熊川さんが劣ってるとかそうじゃないとか、気にする必要なんてないって。そうだよね、楽人?」

 

「そっ、そうだな! 熊川さんだって十分かわいい女の子だし、七瀬さんにも負けてないと思うよ!!」

 

 僕からのアイコンタクトを受けた楽人は、僕のメッセージを理解して今度ははっきりとそう告げた。

 熊川さんはその言葉に視線を泳がせながら、同時に頬をピンク色に染め、呟く。

 

「あ、ありがと……! でも流石にちょっと恥ずかしいって……!!」

 

「人のおっぱいがどうとか堂々と話してたのは誰だっけ~? 言っとくけど、あたし、ちゃ~んと聞いてたからね? で? 誰のケツがデカ過ぎるだって?」

 

「うげっ……!? さ、さ~て、みんな集合したし、折角だからご飯でも食べよっか~!」

 

「あっ! 逃げるな! 待て~っ!!」

 

 痛いところを突かれた熊川さんがわざとらしくそう言いながら食堂へと向かっていく。

 その後を追うひよりさんの姿に苦笑を浮かべながら、僕は楽人と一緒に彼女たちの後を追っていった。

 

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