ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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よし、最後にバスケ部潰そう(二奈視点)

「二奈ちゃん、ちょっといい?」

 

 昼休み中にバスケ部の藪瀬部長に呼び出された私は、渋々体育館裏にやって来ていた。

 人気のない場所で話がしたいということで来てやったが、本来ならこうやって二人で会うことは避けるべきだ。

 

 ただでさえクレーマーメイドなんていう頭にくるあだ名が付けられているわけだし、これ以上の厄介事は御免だぞと思いながらも、私は丁寧に部長へと質問する。

 

「急にどうしたんですか? メッセージのやり取りじゃダメだったんでしょうか?」

 

「あ、ああ、ごめん。ちょっと、急な話でさ……」

 

 もごもごと口ごもりながら歯切れの悪い返事をするキャプテンに対し、心の中で舌打ちを鳴らす。

 本当に頼りにならない男だと思う私へと、藪瀬部長は呼び出した理由を話し始めた。

 

「実は、さっきヌマセンから呼び出されてさ。今度の土曜日、バスケ部でボランティア活動をしないかって誘われたんだよね」

 

「はい……?」

 

「なんか、活動再開に向けての学校側へのアピールをしようとしてるみたいなんだ。一応、今回は自主参加ってことになってるんだけどさ、二奈ちゃんはどうする……?」

 

「どうする……って、どういう意味ですか? 参加しようってことでしょうか?」

 

 一文の得にもならないボランティア活動に、もう抜ける気満々のバスケ部のために参加する? そんなの、絶対にあり得ない。

 そんなつまらないことに割く時間なんてないし、あの妙な視線と気配はまだ消え去っていない。わざわざ疲れる上に嫌な想いをするために出かけるわけがないではないか。

 

 大方、部長も田沼から圧をかけられたのだろう。

 お前は部長で、活動停止処分を受けた元凶の一人……その責任を取って参加した方がいいと思うし、同じく元凶になった私も連れてきた方がいいとかなんとか言われたに違いない。

 

(参加するわけないだろ、バ~カ! 出るんだったらお前たちだけで勝手にやってろ!)

 

 という思いをオブラートに何重にも包んで言ってみせれば、部長は何故か安堵した表情を見せた。

 

「そ、そっか。実は俺たちも気まずくってさ、出たくなかったんだよね……二奈ちゃんが出ないって言ってくれて、ちょっと安心したよ」

 

 ……ちょっと待て。その言い方だと、こいつらが出ないのは私に責任があるみたいじゃないか。

 っていうか、こいつら私に責任を押し付けてない? 自分たちがボランティアに参加したくないから、その理由を私に求めてるようにしか思えないんだけど?

 

(何なんだよ、こいつら……! 何一つとして役に立たないどころか、私の足を引っ張るだけのカスでしかないじゃん!)

 

 格好いいわけでもなく、私を守ってくれるわけでもない。それどころか私を苦境に追いやり、どうすればいいのかわからなくなったら責任を押し付けるように弱々しく頼ってくる。

 唯一、私に絶対服従するという取り柄はあるが、それ以外が最低最悪の屑揃い……私がバスケ部にマネージャーとして入部した頃の自信に満ち溢れた姿は、もう面影すら残っていない。

 

 少し前に見た、溌溂とした遊佐たちとは真逆……ジメジメうじうじしている情けない男たちの集団に自分が囲まれていることに気付いた私は、猛烈な恐怖と苛立ちに襲われた。

 

(何なのよ、こいつら!? 江間は私に迷惑をかける! 遊佐はムカつくことしかしない! 藪瀬は役に立たない! バスケ部の連中、揃いも揃ってカスしかいないじゃない!!)

 

 思えば、私がこんな目に遭っているのも全部バスケ部の連中のせいだ。

 こんな連中と関わる羽目になってしまった自分自身の運命を呪っていた私は、大きく深呼吸をして心を落ち着かせる。

 

 喚いたって、泣き叫んだって、何も変わらない。

 こういう時にすべきことは、一つしかないのだ。

 

「……ねえ、部長。一つ、お願いがあるんですけど……」

 

 笑みを浮かべ、上目遣いで部長を見つめる。

 私の媚びた視線に童貞野郎が動揺したことがまるわかりで、ちょっと面白いなと思ってしまった。

 

(どうせ離れるコミュニティなら、ぶっ壊しちゃった方がいいわよね)

 

 念のための仕込みをしておいて良かったと心の底から思いながら、私は私をムカつかせたクソどもへの復讐を誓い、動き出すのであった。

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