ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする 作:烏丸英
ボランティア清掃に参加することになりました
「お~し! 全員集まったな! そんじゃ、公園のゴミ拾い始めるぞ~!」
日曜日の早朝、広い公園に楽人の元気な声が響く。
僕たち以外にもいくつかのグループ(大体がお年寄りの集団だ)の姿が見える中、僕やひよりさんを含むバスケチームは軍手にトングにポリ袋と、ゴミ拾いの装備を万全にした状態で集合していた。
今日、僕たちがこの公園に集まったのは、ゴミ拾いのボランティアをするためだ。
貴重な練習日を潰してまでこの行事に参加したのには、もちろん理由がある。
何日か前にバスケ部の顧問である田沼先生が、バスケ部員の反省の意を示すためにこの行事に参加することを打診してきた。
バスケ部の活動を再開させるためには、そういった姿勢を見せる必要があるようだ。
確かに問題を起こした後、何もせずに時間だけ潰していても、活動停止処分は取り消されないだろう。
というわけで、これが少しでも活動再開につながるのならという理由で、楽人たちがゴミ拾いのボランティアに参加することを決めたようだ。
「良かったのか、雄介? 別にお前たちがボランティアに参加する必要はなかったんだぞ? 久々に七瀬さんと二人きりで遊びに行けば良かったのに……」
「こういうのはメンバー全員で参加した方がいいんだよ。何より、ひよりさんも乗り気だったしね」
楽人の言う通り、これはバスケ部員たちが評価を稼ぐためにやっている行動だ。
バスケ部に所属しているわけではない僕やひよりさんが参加する義務はなかったが、それでもこういったところから気持ちを一つにしていきたいと思っている僕たちは、楽人たちに協力することを決めた。
「それに、参加してるのはあたしたちだけじゃないでしょ? 優希もそうだし、間沼くんも来てくれたじゃん!」
「そこは本当に感謝だよな。特に志乃なんて、受験勉強で大変な時期なのにさ……」
「気にしないでください。勉強が大変だったら、そもそもバスケの大会に出ようとか思いませんよ。何より、このままだと俺が先輩たちの学校に入学した時、バスケ部が活動してないことになっちゃうじゃないですか」
そう、なんてことでもないように駆け付けてくれた間沼くんが言う。
続けてくすくすと笑った熊川さんが楽人へとこう言葉を投げかけた。
「こうやって人が集まってくれるのは遊佐くんの人望あってのことだって! 胸張りなよ!」
「ああ、うん。ありがとう」
少し恥ずかしそうに熊川さんに応えつつ、頬を掻く楽人。
その横顔にどこか悲しみのようなものが滲んでいるように見えた僕へと、ひよりさんが声をかけてくる。
「遊佐くん、やっぱり気にしてるのかな? 自分たち以外のバスケ部員が来てないこと……」
「多分ね。どうしようもないことだってわかってるから楽人も切り替えようとはしてるみたいだけどさ」
田沼先生は、もちろんバスケ部全員に声をかけた。
しかし、部長の藪瀬先輩を含む多くのメンバーがその誘いを断ったという。
バスケ部の活動再開のためのボランティア活動なのに、誰よりも頑張らなくてはいけないバスケ部員が参加していないことに楽人は心を痛めているのだろう。
失望や悲しみ、不安といった感情を抱えてはいるが、それを外に出さないように一生懸命になっているように見える。
やっぱり責任感が強いせいか色々と抱えがちになっているな、と親友のことを心配する僕であったが、ひよりさんは明るい声でこう言ってきた。
「でも、大丈夫だよ! 優希も一緒だし、場を明るくするのにうってつけな子たちが来てくれてるでしょ?」
「あ~……うん。まあ、その部分に関しては僕も間違いないとは思うけどさ……」
笑顔のひよりさんの言葉に、僕は若干の不安を抱きながら同意する。
確かに場を明るくすることに関しては超一流な連中が来てくれているが、頼りになるかどうか聞かれると首を傾げざるを得ない。
そんなことを考える僕のすぐ後ろで、楽人がその連中と挨拶をしていた。
「あっ、君たちが雄介の弟くんたち? どっちもでっかいなぁ……!!」
「はじめまして! いやぁ、本当にいつも愚兄がお世話になっております!」
「今日は日ごろのお礼も兼ねて、ボランティア活動に協力するために馳せ参じました! よろしくお願いいたします!」
「……やっぱあいつら、連れて来ない方が良かったんじゃないかなぁ……?」
ビシィ! と敬礼のポーズを取って楽人へと挨拶をする弟たちを見ながら僕がぼやく。
そんな僕の心配をよそに、親友たちは二人の弟と楽しく会話を繰り広げていた。