ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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打ち上げは焼肉っしょ~っ!by尾上雅人

「というわけで、今日はお疲れ様! 大会も頑張れよ~! かんぱ~い!」

 

 それから数時間後、ボランティア清掃を終えた僕たちは田沼先生に焼肉を奢ってもらうことになった。

 バスケチームのメンバーだけでなく、雅人や大我に鉢村さんも加わって結構な人数になってしまったが、その全員の代金を支払うと言ってくれた先生には本当に感謝している。

 

 申し訳なさもあるが、ここで変に遠慮して先生のご厚意を無下にするのはもっと申し訳ない。

 ということで、僕も遠慮せずにご馳走になることにした。

 

「ひゃっほ~っ! 人の金で食う焼肉! 最高に美味いぜ!!」

 

「カルビとタンとハラミ追加しようぜ! あと、誰かドリンクバーに行くんだったら俺の分もよろしく!」

 

「お前ら、ちゃんと先生に感謝しろよ!? それとバカ騒ぎすんじゃねえぞ!? バスケ部の評判に関わるんだからな!」

 

「「「は~い!」」」

 

 楽しそうにはしゃぐ仲間たちへと、しっかり注意をする楽人。

 みんなもわかっているだろうからそこまで心配することはないだろうが、バスケ部の現状が現状なため、気を緩め過ぎないようにと釘を刺す彼のことを見つめていた田沼先生がしみじみと呟く。

 

「遊佐の奴、いいまとめ役になってるじゃないか。ゲーム中の司令塔としての素質は感じていたが、こっちもしっかりしてるとはな……!」

 

「普段の練習中も頑張ってますし、リーダーとして一生懸命やってくれてると思います。私たちマネージャーにも気を遣ってくれますし、代理キャプテンとしての役目をしっかり果たしてくれてますよ」

 

 楽人を褒める先生へと、熊川さんがさらに褒め言葉を重ねる。

 そんな彼女へと視線を移した田沼先生は、楽し気に笑いながら言った。

 

「なんだ、尾上と七瀬だけじゃなくてお前たちも付き合ってるのか? 青春してるじゃないか、うん!」

 

「いやっ! あのっ! 私と遊佐くんはそういう関係じゃないですよ! 勘違いしないでくださいって!!」

 

「……そこまで必死に否定されると傷付くものがあるよなぁ」

 

 田沼先生の言葉に顔を真っ赤にしながら反応した熊川さんが全力の否定を見せる。

 当然ながら彼女の大声を聞いてしまった楽人が肩を落としながら嘆く中、その空気を断ち切るように間沼くんと弟たちが先生へと声をかけた。

 

「すみません。関係ない俺たちまでご馳走になっちゃって……」

 

「いやいや! まだ中学生なのにボランティアに参加するだなんて、素晴らしい心がけじゃあないか! 運が良かったと思って、思う存分食べてくれ!」

 

「ありがとうございます! 全力全開で感謝しつつご馳走になります!!」

 

 改めて、弟たちにも焼肉を奢ってくれる太っ腹な田沼先生に感謝しつつ、僕は網の上に肉を並べていく。

 まずは定番のカルビとハラミ。続いて薄くて簡単に火が入ってくれる牛タン。野菜とソーセージなんかも網の端に並べたら、後は待つだけだ。

 

「ありがとね、雄介くん。次はあたしが並べるから、食べる側に回っちゃって!」

 

「うん。ありがとう、ひよりさん」

 

 普段の癖で焼き側に回った僕へと、ひよりさんが声をかけてくる。

 ここは彼女と交代しつつ肉を焼いていこうかなと考えたところで、くすくすと笑った鉢村さんが口を開いた。

 

「なんかさ、こういうのっていいよね。みんなの違う一面が見られるっていうか、普段どんな感じなのかがわかるっていうかさ」

 

「ん? どういうこと?」

 

「例えば、遊佐くんはこういう場面ではまとめ役としてしっかりみんなを統率してるでしょ? 多分、家でもああやってお姉さんたちに指示してるんじゃない? 尾上くんの場合は家で焼肉をする時とかも肉を並べる役目を引き受けてるから、こういう場でも率先して動く。んで、ひよりはそんな尾上くんに気を遣って、バトンタッチで食べる時間を作ってあげてる……でしょ?」

 

「そう言う鉢村さんは、普段から周囲のことを観察してるってことかな?」

 

「あっ! 言われてみれば、プールの時とか男子の視線に一番早く気付いたのも玲香だったね!」

 

「えっ……!? 俺らの視線、気付かれてるの……!?」

 

「むしろ気付かれないと思ってたの? 女の子はそういうのに敏感なんだから、エロい目で見られたらすぐに気付くよ?」

 

「みんながひよりと玲香のスク水姿を血走った眼で見てたことくらい、気付いてたよ~! 私が視界に入ってなかったこともね……っ!!」

 

「熊川さん、怖い。声に殺意を乗せないで」

 

「と、とりあえず肉を食べましょう! お腹が膨れれば殺意の波動も治まるはず!!」

 

「イートハラミ! イートハラミ! ジューシーッ!!」

 

「雅人、うるさい。静かにしろ」

 

 肉の焼けるいい匂いに混じって、そんな話が続いていく。

 段々と会話が弾んでいく中、田沼先生が僕たちへと言った。

 

「いや~、楽しそうじゃあないか。酒が飲めないのが残念だな。それはまあ、同窓会が開かれる時までお預けってところか」 

 

「同窓会って、まだまだ先の話っすよ。それに、志乃たちは参加できないでしょ?」

 

「でも、先生の言う通り、ここにお酒があったら面白そうではあるよね! 高校を卒業した後、久々にみんなで会って飲んでる感じっていうかさ!」

 

 楽人と熊川さんの言葉に、僕たち全員がそれぞれの反応を見せる。

 僕もまた確かにそれっぽいなと思う中、会話は未来についてのものになっていった。

 

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