ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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甘々個室の甘え合戦

「っっ……!!」

 

 甘い……あまりにも甘いその囁きは、僕の心を激しく震わせた。

 天使のようで、悪魔のようにも見える微笑みを浮かべるひよりさんは、固まる僕へとさらに言葉を続ける。

 

「あれ~? 映画館ではあんなに大胆なことしたのに、今度は恥ずかしくなっちゃった? 誰にも見られてないんだから、遠慮する必要なんてないのにな~……♥」

 

「それはそう、だけど……」

 

「こうやって真っすぐ攻められると弱いんだ? 雄介くん、かわいいね♥」

 

 甘やかしとからかいが半々といった笑みを浮かべるひよりさんが挑発するように言う。

 そこまで言われたことで、僕も彼女の言葉に乗ってやるぞと覚悟を決めるとそっと両腕を伸ばした。

 

「あっ……♥」

 

 腕を背中に回し、ひよりさんの小さな体を包み込むようにして抱き締める。

 自分の側へと抱き寄せた僕が腕に力を込めれば、彼女の口から喜んでいるような甘い声が漏れ出た。

 

(ひよりさん、本当にちっちゃくてかわいいな……)

 

 身長百五十センチにも満たない小さな体は、僕の腕の中にすっぽりと納まってしまっている。

 改めて、これほどまでに小さいのかと実感しつつ、腕と胸に感じる温かさに微睡むような心地良さを覚えながらもう少し強く彼女を抱き締めれば、耳元で嬉しそうな声が響いた。

 

「ふふふ……っ! 久しぶりだからかな? いつもより強くぎゅ~っ、ってしてきてるね。そんなにあたしが恋しかった?」

 

「そうかも。苦しかったら言ってね」

 

「大丈夫だよ。むしろ、もっと強く抱き締めてほしいな……♥」

 

 そう言いながら、ひよりさんが僕の背中に回している腕に力を籠める。

 それに応えるように僕もまた彼女を抱き締める腕にもっと強く力を込めれば、甘い吐息に続いてこんな囁きが聞こえてきた。

 

「雄介くんも成長しましたな~。出会った頃はあたしのおっぱいが当たっただけであたふたしてたのに、今はもう全然気にしなくなってるじゃん」

 

「気にしてないわけじゃないよ。ひよりさんにたくさんからかわれたから、耐性が付いてるだけ」

 

「そっかそっか~! ちょっとず~つ慣らしていくあたしの計画は見事成功してたかぁ……!」

 

 嬉しそうに囁くひよりさんの言葉が本当かどうかはわからない。

 ただ、確かに彼女の言う通り、以前と比べたら慌てなくなったような気もする。

 

 今日は厚着だから感触がわかりにくかったり、二人きりだから存分に甘えられるということもあるが、これもひよりさんの計画通りなのかと思うと苦笑してしまいそうだ。

 

「ん……っ♥ 雄介くん、そろそろあたしの番でいい?」

 

「えっ……?」

 

「言ったでしょ? あたしだって、寂しかったし物足りなかったって……雄介くん成分を補充するために、今度はあたしが甘えさせてもらうから」

 

 そう言ったひよりさんが、僕の後頭部へと腕を回す。

 そのまま自分の胸に僕の顔を押し付けるように強く頭を抱き締めた彼女は、少し慌てる僕の上から楽しそうな声で甘い囁きを繰り返し始めた。

 

「えへへ……♥ スポーツテストの時以来かな? 今ではあたしが雄介くんに抱き締められるようになっちゃったけど、最初はこうしてあたしがぎゅ~っ、ってしてあげたよね」

 

 髪を弄られながらその囁きを聞いた僕は、あの頃と変わらない柔らかく温かい感触に目を閉じる。

 少しずつ腕に力を籠めていくひよりさんは、そんな僕を甘やかすように頭を撫でながら優しい声で言った。

 

「あたし、こうやって雄介くんを甘やかしてあげるの、好きなんだ。いっつもあたしを幸せにしてくれる雄介くんが全部をあたしに委ねて、リラックスしてくれてる姿を見ると、胸がぽかぽかするんだよね」

 

「……僕に甘えるって言ってたのに、逆に甘やかすだけでいいの?」

 

「うん。こうしてると幸せだから。結果として雄介くんに幸せにしてもらってるわけだから、甘えてるってことになるんじゃないかな?」

 

 ちょっと不思議な考え方だが、それでひよりさんが幸せだと言うのならば僕が拒む理由なんてない。

 何より、僕自身もこの状況に心地良さを感じているし……と考える中、ひよりさんが甘い声で言う。

 

「ちなみにだけど、あたしのおっぱい、スポーツテストの頃より大きくなってるんだよ? 気付いた?」

 

「い、いや、よくわかんないよ。それに、このタイミングで言われると緊張しちゃうっていうか……」

 

「ふふっ♥ ドキドキさせるために教えたんだよ~だっ♥ くらえ~っ♥ あたしの幸せぱ~んちっ♥」

 

 ふわふわとした幸せが籠っている、甘くて暖かい声。

 それを感じながら彼女に抱き締められた僕は、大きくなったらしいひよりさんの胸に顔をさらに強く押し付けられる。

 

 改めて考えてみるとかなり大胆なことをしていることに気付いた僕がまんまと彼女の思惑に乗せられて心臓の鼓動を早くする中、不意に頭を抱き締めていた腕の力が緩んだ。

 

「ん……じゃあ、もう一回交代だね。次は雄介くんの番だよ」

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