ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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今日で全部ぶっ壊してやる……!(二奈視点)

「トーナメント表、出たね。あいつらも気付いたかな?」

 

「気付いたと思いますよ。多分、びっくりしてると思います」

 

「そうだよね。二奈ちゃんが言った通り、調子に乗ってるあいつらを締めとかないと、活動再開した時に面倒なことになりそうだし……この不意打ちはいい先制パンチになったはずだよ」

 

「ええ。完全に不意を打たれて、動揺してるはずですよ。案外、私たちと当たる前にあっさり敗退しちゃったりして」

 

 トーナメント表を見た後、アップ前に藪瀬部長と話しながら、私はそう答える。

 バスケ部として、錦の旗を背負っていることを証明するためにも高校の名前をチーム名に入れようと提案したが、本当の目的は遊佐たちの動揺を誘うことにあった。

 

 そうでなきゃ、わざわざわかりやすく高校の名前をチーム名に入れるものか。

 本当はあいつらの反応を見てやりたかったところだが、大会が始まる直前に下手に騒ぎを起こしたら、面倒なことになるだろう。

 

 まあ、騒ぎが起きたら困るのは私たちよりも尾上たちの方だろうが……と思いつつ、私はこの場に集まった男たちを見やる。

 尾上たちのチームに参加していない残りのバスケ部員の大半(マネージャーは一人もいないが)がこちらのチームに参加しており、十人足らずのあちらに比べて選手の数も層もこちらの方が上だ。

 特に先輩たちが集まっているおかげで技量に関しても上回っているはずだと思いながら、私は男たちに見えない位置で忌々し気にため息を吐く。

 

(本当、余計な労力を使わせやがって……!)

 

 尾上に誘われた遊佐や、七瀬をはじめとする女どもが無駄な抵抗を続けて青春キラキラみたいな馬鹿げたことをしなければ、私がこんなことをする必要なんてなかった。

 私がこんなに大変な思いをしているのに、私に屈辱を味わわせたあいつらが楽しそうにしているだなんて、許せるはずがない。

 

 藪瀬部長からこの大会の話を聞いた時、念のために他の男に連絡して参加手続きをさせておいて良かった。

 前もって準備をしておいたおかげでこうして急遽バスケ部の連中を集めて大会に参加することができたわけで、ドタキャン上等で用意しておいて本当に良かったと思っている。

 

 部長をはじめとした部員の説得だとか、そういった部分に苦労させられたが、そこはもういい。

 これで尾上たちへの復讐を果たせると思えば、まだ我慢できる範疇だ。

 

(みんなで楽しくバスケして、大会に出て、いい思い出を作るとか、絶対に許さねえから……!! 絶対、私をコケにした償いをさせてやる……!!)

 

 尾上も七瀬も遊佐も他の連中も、全員許さない。私が今、こんなに惨めな思いをしているのは全部あいつらのせいだ。

 だから全部ぶっ壊してやる。今日までの努力も、明日からの希望も、全部ここで粉々に打ち砕いて、私と同じ思いをさせてやる。

 そうじゃなきゃ私の気が済まない……と心の中で憎悪を滾らせる私へと、藪瀬部長が声をかけてきた。

 

「二奈ちゃん、みんなに何か一言いいかな?」

 

「あっ、は~い! わかりました~!」

 

 その言葉に振り向きながら、私は満面の笑みを浮かべる。

 馬鹿で間抜けで役立たずな男たちはそんな私の笑顔に明らかに興奮した様子を見せていて、それが本当にアホらしくて心の中に呆れと侮蔑の感情が湧き出てきた。

 

「大会本番、頑張ってくださいね! あんまり練習はできてないけど、皆さんなら絶対優勝できるって信じてますから! 活躍した人には特別なご褒美……あげちゃうかもしれませんよ?」

 

 そんな、心にもない言葉を吐いてみれば、男たちは一層興奮を滾らせたように歓声を上げた。

 本当に……馬鹿ばっかり。まあ、こいつらも私がこうなる元凶を作った連中だし、最後に使い潰してポイするんだからこのくらいのサービスはしてやろう。

 

(せいぜい、最後くらい役に立ってよね。勝ち方も教えてあげるんだからさ……!)

 

 腐っても現役バスケ部員。多少のブランクがあるとはいえ、お遊びでバスケをやってるジジイやガキたちを相手に負けることはないだろう。

 ただ、それは尾上たちにも言える。決勝戦は私たちとあいつらの勝負になるはずだ。

 

 しかし……私は、()()()()()()()()()()()()に気付いていた。

 そこを突けば、間違いなく勝てる。あいつらにリベンジできる。

 

(尾上も、七瀬も、遊佐も、バスケ部も……私をムカつかせるものは全部、ぶっ壊してやる……! 今日でこいつら全員を地獄に叩き落してやる……!!)

 

 ようやく雪辱を果たすことができると、湧き上がる興奮を表情に出さぬよう必死に抑えながら、私は強く拳を握り締め、心の中で呟く。

 何も知らない能天気な馬鹿男たちの姿に小さく鼻を鳴らした後、私は今か今かと全てが壊れる瞬間を待ち侘び続けるのであった。

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