ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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第一ピリオド、終了!

「くそっ! こいつら、ネチネチネチネチとっ!!」

 

「雄介、リバウンド頼むっ!」

 

 楽人たちの声を聞きながら、僕は相手チームの選手が放った苦し紛れのシュートの軌道を予測する。

 マッチアップ相手がゴール下へと入り込もうとしているのをスクリーンアウトで阻止しつつ自分のポジションを確保し、リングに当たって弾かれたボールが予想通りの軌道を描いたことを確認した僕は、大きくジャンプすると共にそれをキャッチした。

 

「速攻! 最後にもう二点取るよ!」

 

 着地と同時に近くの味方にパス。その味方がドリブルで前線へと駆け上がると共に、全員で攻撃へと移る。

 残り時間七秒、相手もこのピリオドを最後まで嫌な空気で終わらせたくないのか、必死にディフェンスをしようとしていたが、こちらのチームプレーが勝った。

 

 パスに次ぐパス、相手が追い付く前にゴールまで辿り着いた僕たちがシュートを打ったのと、ピリオドの終わりを告げるブザーが鳴ったのはほぼ同時だった。

 大きなブザー音に紛れて、パサッという静かな音が響き……審判がハンドサインで得点が入ったことを記録係へと伝える。

 

 完全にこっちのリズムに持ち込めた序盤の空気がここでリセットされてしまうことを惜しく思いながらも、最後までいい形で試合運びができたことを確信した僕は、ベンチに戻る最中、両チームの得点を確認すべくスコアボードへと視線を向けた。

 

(十四点差……上々の滑り出しだ。何事もなければ、ほぼ試合は決まったと言えるくらいだな……)

 

 気が抜けきった藪瀬先輩たちの隙を突いて得点を重ねていった僕たちに対して、どこか舐めた気持ちを持っていた相手は個人技による得点を狙い続けたが、その半分以上が失敗に終わっている。

 チームで戦う僕たちと、個の力で戦う藪瀬先輩たち。その差は得点という形で明確になっていた。

 

「みんな、お疲れ! 超いい感じだね!!」

 

「向こうのシュートも全然決まってないし、この感じでいけば楽勝なんじゃない!?」

 

「ダメだよ、優希。そういうふうに油断すると足元を掬われちゃうって」

 

「鉢村さんの言う通りだ。第一ピリオドは俺たちが先制点を取ったおかげでずっとこっちのムードだったけど、次は相手の攻撃から始まる。まずはディフェンスからリズムを作って、先輩たちにペースを握らせないようにするんだ」

 

「「「おうっ!!」」」

 

 ひよりさんたちからの歓迎を受けながらも、楽人に油断はない。

 さっきこちらがやったことを第二ピリオドで相手にやり返されないようにと味方に注意しながら、明確にすべきことを指示して意識を一つにする。

 

 キャプテンシーを発揮してチームを引っ張るその姿に僕が頼もしさを感じる中、ベンチで休んでいた間沼くんがぼそりと呟いた。

 

「いいリーダーって感じっすね、遊佐先輩。中学時代から面倒見は良かったけど、今はそれに磨きがかかってる気がします」

 

「うん……すごい頼もしいよね。前々からみんなの輪の中心にいたけど、間沼くんの言う通り、今はリーダーとしての頼り甲斐も出てきたと思う」

 

 間沼くんの呟きに反応して、熊川さんもそう楽人への評価を述べる。

 その声が本人に届いていないことは残念だが、親友が後輩や思いを寄せている相手からここまで評価されていることを、僕も静かに喜んでいた。

 

「雄介、疲れてないか? ディフェンスで頼りになりっぱなしだし、リバウンドもほぼお前一人に任せてるから、しんどいだろ?」

 

「まだ余裕だよ。休憩もできたし、フルで出続けられる」

 

「先輩、俺の出番はまだっすか? 十分回復できましたよ?」

 

「そうだな……第二ピリオドはディフェンスから始まるし、もうちょい休んでてくれ。志乃には第三ピリオドから最後まで出てもらった方が活躍してもらえそうだしさ」

 

「了解っす。その前に試合が決まっちゃったら拍子抜けっすけどね」

 

「お前なぁ、気を抜くなって言ったばかりだろ? あんま調子に乗んなって」

 

 間沼くんの活用方法を話し合いつつ、彼に釘を刺したところで休憩終了を告げるブザーが鳴る。

 タオルをベンチに置いたところで、ひよりさんが大声でエールを送ってくれた。

 

「雄介くん、ファイトだよ!」

 

 大きく手を振りながら真っすぐに応援してくれる彼女へと笑顔を返しながら、僕はコートに戻る。

 そうして相手チームがベンチから出てくるのを待っていたのだが……コートに戻ってきた選手たちの顔を見て、僕は眉をひそめた。

 

 

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