ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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私はこれからどうすればいい……?(二奈視点)

「どうすればいいのよ……? いったい、どうすれば……!?」

 

 ――あの最悪の大会から、一週間ほどの時間が過ぎた。

 私を取り巻く状況は最悪の一言で、大会以前の日々が天国だと思えるくらいだ。

 

 大前提として私のチームが勝ち、尾上たちに敗北の苦汁を舐めさせてやるはずが、結果は真逆。

 見事にこちらが負け、私を裏切った遊佐たちを調子付かせることになってしまった。

 

 それだけでも最悪なのに、事態はより悪くなっていく。

 私たちが大会で見せた数々の問題行為が、ほとんど全て大勢の人々に知られることになってしまったのである。

 

 まずはチーム名……これは私も問題があると思っていたというか、敢えて問題がある名前にした。

 活動停止処分を食らっている状態で高校の名前を堂々と使ってバスケ部を名乗ることに問題はあると思っていたが、それは大会終了後に勝って浮かれている藪瀬先輩たちに冷や水をぶっかけるためのものだった。

 

 この事実が明るみになるまでには私はバスケ部を離れる予定だったし、どうにかできると思っていたのだが……事態は私が思っていたよりも早く、そして広く多くの人々に伝わってしまっている。

 

 大会中のラフプレーはもちろん、対戦相手へのリスペクトのない行為が尾ひれが付いた状態で広まった結果、私たちは完全に悪役兼問題児としてのレッテルを張られてしまった。

 学校の教師たちも問題視するレベルで、藪瀬先輩たちには指導が入り、強烈なお説教を校長が直々にするくらいマークされている。

 

 藪瀬先輩たちが私はただ巻き込まれただけの被害者だと言ってくれたおかげで指導は免れたが……元々、クレーマーメイドなんていうありがたくないあだ名を付けられていた私は、この大会での出来事がきっかけでさらに評判を失墜させてしまった。

 文化祭のトラブルだけでも学校内外に悪評が広まるレベルだったのに、今回はそれに輪をかけてひどいことになってしまって……クラスの連中どころか学校の全員が私のことを腫れ物に触るかのように接している。

 

(少し前まであんなに良くしてやったのに、今は誰も彼もが私を馬鹿にしてきやがる……! どうしてこんな目に……!?)

 

 友達だとは思っていなかったが、私にも仲良くしてやっている連中はいた。

 それもクレーマーメイド事件から少しずつ私の傍から離れ始め、今や私に近付こうとする者は誰一人としていない。

 落ちぶれた私をクスクスと笑い、見下す始末……学校にいる間、ずっと聞こえてくる嘲笑は、私のプライドを大きく傷付けた。

 

 だからといって学校の外で心が休まることもない。あのストーカーが、さらに激しく粘着を始めたからだ。

 大会の準備のためにバスケ部の連中が一緒にいてくれたから、ここしばらくは問題なかったが……彼らと離れた今、私が孤独になった隙を見逃さないように奴は付き纏いを再開した。

 

 視線の強さは今まで以上。どこにいても誰かの気配を感じ、落ち着くことなんてこれっぽっちもできない。

 家族に相談しても困惑するばかりで、もう本当にどうしようもなかった。

 

(バスケ部の連中とも連絡が取れなくなった。もう私を守ってくれる人間は、誰もいない……)

 

 藪瀬先輩をはじめとするバスケ部のメンバーに連絡を取っても、返事はない。

 更生プログラムの一環としてブロックされたのか、あるいはあいつらがこれ以上私と関わってもろくなことにならないと判断して疎遠になろうとしているのかはわからないが、もうあいつらを頼ることはできないという事実は理解せざるを得なかった。

 

 新しい男を探そうにも、学校内外に広まった悪評のせいでそれもできない。

 女友達も同じ。私のことを下に見て、近付こうとすらしてこない。

 

 完全に孤立した今の状況はストーカーにとっては願ってもない状況だ。

 冬ということで日が早く落ちることもあり、私は学校が終わったら急いで家に帰ることしかできず、休日も気晴らしに出かけることもできないでいる。

 

(どうすればいい? 私はどうすれば……!?)

 

 暗い部屋の中、私は何度も何度も同じことを考え、悩み、苦しみ続けている。

 誰もこの苦悩をわかってくれないと、世の中に対しての憎しみを燃え上がらせた、その時だった。

 

「え……?」

 

 真っ黒だったスマホの画面が光り、メールの着信を告げる。

 見たこともないアドレスから送られてきたそのメールには、バスケ大会に参加していた私の写真が添付されているではないか。

 

「ひっ……!?」

 

 そのメールには短く『お前を見ている』という文章だけが添えられていた。

 ストーカーが確実に存在する証拠を手に入れた私だが、それ以上に自分が見られているという恐怖が強まり、震えながら布団に包まる。

 

(これを見せて相談すれば、助けてもらえる? 警察も動いてくれる? ダメだ、わからない……!)

 

 これは証拠になると思った。だけど、これまでしてきたことのせいで私への信頼は失墜している。

 この写真も自作自演だと思われたら……誰も力になってくれないかもしれない。

 

 自業自得のオオカミ少年と言われればそれまでの話。だが、こんなにも自分がしてきたことが因果応報という形で返ってくるとは思わなかった。

 終わりのない思考のループに陥りながら……私は、自分がこれからどうするべきかを考え続けることしかできなかった。

 

 

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