ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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料理でも甘やかしたい模様

「えっと……キャベツにニンジン、おネギにっと……あっ! ホウレンソウとかどう!? ラーメンにも入ってたよね!?」

 

「いいね! あとはキノコ類も多めに買っておこうよ。シイタケとかシメジとか、大好きなんだ」

 

「おっと、大事な情報がさらっと出てきたね! 雄介くんはキノコが好きっと……あと、お肉も多めに買っておこうか。雅人くんと大我くんもいっぱい食べるだろうしさ!」

 

「そうしてもらえると助かるよ。鍋は肉の消費がすごいことになるからなぁ……」

 

「あははははっ! じゃあ、豚バラ肉を多めに買って……鶏つみれも追加しちゃう? いっぱいあっても困らないでしょ?」

 

「締め用のラーメンもいっぱい用意してっと……今日は豪勢な晩ご飯になりそうだなぁ……!」

 

 野菜にお肉にラーメンと、かごの中には次々と鍋用の食材が放り込まれていく。

 テンションが高いせいか遠慮がなくなっているところもあるが、実際これくらい食べるのだから別に構わないだろう。

 

 ダイコンとかもあると味が染みて美味しいかもなだとか、ラーメンに備えて海苔も追加しておこうかなんて話しながら買い物を続けていた僕は、ふと気になったことをひよりさんへと質問する。

 

「そういえばひよりさんは好きな鍋とかってあるの? 今回は僕が甘えて好きなやつを選ばせてもらったけど、次回はひよりさんの好きな鍋をしたいし、今の内に教えてもらえると嬉しいな」

 

「ん~……あんまりこれが好き! って鍋はないかも。知っての通り、あたしっては好き嫌いせずに何でもたくさん食べる女の子だしさ!」

 

 えっへん! と胸を張りながらひよりさんが答える。

 確かにそれは無数にあるひよりさんの素敵な部分だなと考えながら微笑む僕に対して、彼女はこう言葉を続けた。

 

「でも、食べてみたい鍋ならあるかな。海鮮鍋、一度でいいから食べてみたいんだよ」

 

「あ~……! 僕も食べてみたいな。うちだと肉がメインの鍋が基本だし、海鮮鍋ってやったことないからさ」

 

「そもそもエビとかホタテとか山ほど入ってると費用がね……そういう意味でも憧れのお鍋さんですよ」

 

「でも、石狩鍋とかなら費用抑えられそうじゃない? 鮭は比較的安い魚でしょ?」

 

「おおっ、なるほど! あたし的には塩ベースの鍋を想像してたけど、あれも確かに海鮮鍋か……!!」

 

 鍋トークというのは実に盛り上がるものだ。料理が好きな僕としては、やっぱりこういうネタは話していて楽しい。

 色んな海鮮鍋に想像を巡らせて涎を垂らしそうになっていたひよりさんは、口元を拭うと僕へと尋ねる。

 

「ちなみに雄介くんは今回の豚骨醬油以外に食べてみたい鍋ってある?」

 

「うん、実は一つあるんだよね」

 

「ほほう!? ちなみに何鍋?」

 

「……もつ鍋。僕は好きなんだけど、他の家族が苦手みたいでさ」

 

「ホルモン系って好き嫌い分かれるもんね~。あたしは好きだけど、苦手って人の気持ちもわかっちゃうな~……」

 

 メインはもつ。そこに大量のキャベツともやし、ニラと唐辛子とゴマを入れて、醬油ベースのつゆで煮込むだけ。

 もつのぷるぷる食感と大量の野菜たちから出たエキスが加わったスープのシンプルながら奥深い味わいを楽しめるもつ鍋は、地味に好きな鍋の一つだ。

 

 微妙におじさん臭いし、なかなか食べる機会がないから好物とは言いにくいけどね、と付け加えた僕へと、嬉しそうに笑ったひよりさんが言う。

 

「じゃあ、今度あたしが作ってあげるよ。雄介くんのためだけに、雄介くんが食べたいものを作ってあげる」

 

「えっ、いいの?」

 

「うん! 家にちっちゃい鍋があるしね~!」

 

 ニマニマと笑いながらそう言うひよりさんは、本当に楽しそうだ。

 そんなに僕に料理を作るのが楽しみなのかと、嬉しいけど恥ずかしくもある彼女の言葉に頬を掻きながら、僕も言う。

 

「どうせなら、二人で食べたいかな……二人きりで突く鍋っていうのも楽しそうじゃない?」

 

「あはっ! 雄介くんがそうしたいって言うなら、喜んでご一緒させてもらっちゃおうかな!」

 

「じゃあ、最初はひよりさんがもつ鍋を作るってことで。その次は僕が海鮮鍋を作るよ」

 

「わ~わ~! それは考えなくっていいの! 今は怪我してるんだし、あたしに甘えることだけ考えてて!!」

 

 そんなひよりさんの言葉に、僕は思わず苦笑を浮かべてしまった。

 こりゃ相当な『お世話したいモード』だなと思いつつ頷いた僕は、ずっしりと重くなった買い物袋を手に店を出ると、ひよりさんと手を繋いで家へと帰っていくのであった。

 

 

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