ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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二人で過ごす朝食の時間

「わわわっ!? 雄介くん、朝食まで作ってくれたの!?」

 

「うん。ひよりさんの口に合うかはわからないけど、一緒に食べようよ」

 

「ありがとう! うわ~! すっごい美味しそう!」

 

 厚切りの食パンとベーコンエッグを乗せた皿に加えて、牛乳を注いだマグカップをテーブルの上に置く。

 そのタイミングで着替え……もとい、下着を着けてきたひよりさんが戻ってきて、僕が作った朝ご飯を見ながら目を輝かせる。

 

 簡単なメニューだが、そこまで喜んでくれたなら作った甲斐があると思いながら、僕は彼女と向かい合って朝食を食べ始めた。

 

「じゃあ、いただきま~す! はぁむっ! んん~っ! やっぱり美味しい!!」

 

「お気に召したようで何より。ひよりさん、食パンに何塗る? ジャムとかマーガリンとか、チョコソースとかあるよ」

 

「イチゴジャムをお願いします!」

 

「うん、わかった。いちご、好きなんだね」

 

「ケーキバイキングでもいっぱい食べたしね~! そう言う雄介くんは何を塗るの?」

 

「その日の気分によるかな? 今日はないけど、マーマレードとか好きだよ」

 

「そうなんだね! じゃあ、今度からうちに用意しておこうかな? 雄介くんが泊まりに来た時のためにさ!」

 

 本気なんだか冗談なんだかわからないことを言うひよりさんと、楽しく笑い合う。

 食パンに何を塗るのが好きかなんて小さなことだったけど、またこうして彼女のことを知って、僕のことを知ってもらえたことが嬉しくて、この日の朝食は普段よりもずっと美味しく感じられた。

 

 その後、ゆっくりとミルクを飲みながら朝の情報番組を確認していた僕たちは、昨晩この近辺を襲った爆弾低気圧が過ぎ去ったことを知った。

 外は昨日の荒天が嘘のように晴れ渡っていて、番組の司会も絶好のお出かけ日和と語っている。

 

『折角の休日、ちょっと映画でも見に行きませんか? ということで、最新映画ランキング発表の時間です!』

 

 そんな流れで毎週の特集である映画ランキングの発表が始まって、僕たちは話しながらそれを眺めていった。

 最新の邦画や海外の話題作、アニメ作品なんかの人気度合いが発表される中、三位の作品を見たひよりさんが言う。

 

「あ……! この映画、ちょっと気になってるんだよね」

 

「へぇ~……」

 

 最近、話題になっているミステリー映画。少し前に短期でアルバイトをした本屋で原作小説が並んでいるのを見たから、僕も覚えている。

 その時はちょっと気になる程度だったが……これもいい機会だと考えた僕は、テレビを見ていたひよりさんへとこう返した。

 

「じゃあ、今日見に行く?」

 

「えっ? いいの!?」

 

「さっき絶好のお出かけ日和だって言われてたし、いい機会だしね。ひよりさん、予定は大丈夫?」

 

「もちろん大丈夫! へっへ~! お家にお泊まりに続いて、休日デートかぁ……!!」

 

 自分でも驚いたが、本当に自然にデートに誘うことができていた。

 色々と自分の中で覚悟が決まったからそうなっているのかと今更ながら僕が自分自身の大胆さに驚く中、嬉しそうに笑うひよりさんが言う。

 

「……なんか、あれだね。昨日、大我くんも言ってたけどさ。こんなふうに朝食を食べながらさらっとデートが決まるの、本当に夫婦みたいだ」

 

「……そうかもね。うん、そうだ」

 

 ちょうど、僕もそう思ったところだった。

 照れくさくて口にはできなかったけど、そういうことを簡単に口に出してくれるひよりさんのおかげで気持ちが共有できていると実感できて、それを僕も嬉しく思っている。

 

「さて、そうなると一旦帰っておめかししないとね! 一旦帰って、着替えてくるよ!」

 

「わかった。じゃあ、昼過ぎに改めて集合するってことで」

 

「オッケー!」

 

 スマホを取り出し、お目当ての映画の上映時間を確認してからの僕の提案に、ひよりさんは元気よく同意してくれた。

 その後は朝食で使った食器を一緒に洗って、ひよりさんに貸していたシャツとハーフパンツを返してもらって、自分の服に着替えたひよりさんを玄関まで見送って……靴を履いた彼女は、家を出る寸前に振り向いて言う。

 

「今日はありがとう! 真理恵さんや弟くんたちにもよろしく伝えておいて!」

 

「こっちこそ楽しかったよ。じゃあ、また後で」

 

「うん! また後でね! 今日のデート、楽しみにしてるから!!」

 

 笑顔で手を振ってから、ひよりさんが玄関のドアを開けて外へと出ていく。

 扉が閉まるまで手を振り続けて彼女を見送った僕は、この後のデートへの期待に胸を弾ませつつ、弟たちを起こしに向かうのであった。

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