ちっちゃくてデカくて可愛い七瀬さんを勘違い元カレから奪って幸せにする   作:烏丸英

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前章で省略した「大会後に何があったのか?」の部分を詳しく描いたものです。
詳しく知りたい人は読んでね!


閑話・大会が終わった後のバスケ部について
大会が終わった翌週の朝


「おいおいおい! 尾上、大丈夫か!?」

 

「ああ、うん。大丈夫だよ。そう大したことないって病院の先生も言ってたし……」

 

「バスケ大会優勝おめでとう! って言いたいところだけど、なんかちょっとあれだよな……」

 

「気にしないでよ。あと、祝ってくれてありがとうね」

 

 大会の翌週、登校した僕の机の周りにはクラスメイトたちが集まっていた。

 みんなから話を聞いて知ったのだが、地域バスケットボール大会に見事優勝した僕たちの活躍は地元のメディアに取り上げられ、学校でもちょっとした話題を呼んだようだ。

 

 決着の瞬間、楽人からのパスを受け取って決めた僕のダンクシュートの写真は大会を主催した地元組織のサイトに掲載されているようで、実際にその現場を目にした人たちの話も相まって、学校中に一気に広がっているらしい。

 クラスメイトたちが僕たちのことを気にかけてくれていたことや、優勝という結果を祝福してくれることは嬉しいのだが、こうしてうわさの対象になるとちょっと居心地の悪さを感じてしまう。

 

「雄介くんは悪いことをしたわけじゃないんだから堂々としてればいいんだよ! 気にすることないって!」

 

「そうだね。胸を張って、堂々としていようか」

 

 そんな僕の心境を察したであろうひよりさんからのお言葉を頂けたことで、気持ちが楽になった。

 そのまま、僕は彼女と話を続ける。

 

「みんなも言ってたけど、目の怪我は心配しちゃうよね。早く治るといいんだけど……」

 

「全治三週間、って病院の先生に言われたよ。腫れはもう少し早く引くらしいけどね」

 

「は~あ……三週間かぁ……最初に聞いた時も思ったけど、クリスマスには間に合わないね……」

 

 とても残念そうにため息を吐くひよりさんの呟きには、僕も同意しかなかった。

 しばらくはこの眼帯を外せそうもないし、片目が塞がった状態で出掛けるのは地味に危ない。クリスマスまでに腫れが引いてくれる可能性は十分にあるが、大事を取って大人しくしておけと先生にも言われてしまった。

 

「仕方ないよ。これも雄介くんは悪くないんだしさ。お家でクリスマスパーティーでもして過ごそっか!」

 

「うん、いいね。それも楽しそうだ」

 

 ひよりさんの提案に僕は笑みを浮かべながら同意する。

 少し気が早いかもしれないが、こんなふうに彼女と何をするかを考えるのは本当に楽しいなと考える中、教室の扉を開け、楽人が姿を現した。

 

「おう、雄介。目は大丈夫か?」

 

「おはよう、楽人。問題ないよ」

 

「そっか……そりゃ良かった。安心したよ」

 

 真っすぐに僕の下に向かってきた楽人は、目の怪我が大したことないと聞いて安堵のため息を漏らした。

 そうした後、気まずそうにこう続ける。

 

「本当、同じバスケ部員として申し訳ねえよ。俵山の奴がしたこと、許してやってくれとは言えないし……ごめんな」

 

「楽人が謝ることじゃないさ。僕は気にしてないから、大丈夫だよ」

 

 気にしていない、というのは少し違うかもしれない。この目の怪我のせいでひよりさんとクリスマスデートもできなくなってしまったし、家族にも迷惑をかけるから、やっぱり少し思うところはある。

 だが、俵山くんがやったことと楽人は無関係だし、ここまで一緒に頑張ってきた親友に心を病んでほしくなかった僕は、笑顔を浮かべながらそう答えることにした。

 

「尾上くんの言う通り、遊佐くんが謝ることないよ! 謝るべきは怪我させた本人と、それを容認したあっちのチームの人間でしょ?」

 

「遊佐くんが凹む気持ちもわかるけど、気にし過ぎるとそれはそれで雄介くんも凹んじゃうからさ。元気出してよ、ね?」

 

「……ああ。みんな、ありがとうな」

 

 援護射撃とばかりに励ましの言葉を投げかける熊川さんとひよりさんのおかげで、楽人も少し元気を取り戻したようだ。

 ほっとする僕に対して、一つため息を吐いた後で楽人が言う。

 

「謝りついでにもう一個報告があるんだけど、放課後ちょっと時間もらえるか?」

 

「別にいいけど、どうしたの?」

 

「……大会でのこと、先生たちの間でも広がってるらしい。事実確認とかバスケ部の処分とかについて話がしたいから集まってくれって言われてて、そこで雄介からも話が聞きたいんだってさ」

 

 その話を聞いた時、僕は少し不安な気持ちを抱いた。

 先に述べた通り、大会での出来事は地元紙で小さな記事として取り上げられ、学校でも広まっている。

 ただ、広まったのは僕たちの活躍だけでなく、そこでの紫村たちのチームのやらかしもそうだ。

 

 本当に……あっちのチームは色々とやらかした。多分、数えたら両手でも足りないくらいだ。

 現在、活動停止処分を食らっているバスケ部が、それだけのやらかしを見せてしまったら……より重い処分が下されるかもしれない。

 もしかしたら、紫村は敢えてそれを狙ってあれだけの悪辣な行為をしたのかもしれないと思いつつ、僕は沈鬱な表情を浮かべている楽人へと言った。

 

「わかった、付き合うよ。色々心配だろうけど、楽人も冷静にね」

 

「ああ、サンキュー」

 

 短く返事をした楽人に対して、僕の言葉が大した助けになっていないことはわかっている。

 どうか最悪の事態は避けられますようにと、僕は親友の幸福も祈りつつ、そう願うのであった。

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